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【ITニュース解説】Cost-Optimized Three-Tier Architecture on AWS with DevOps

2025年09月16日に「Dev.to」が公開したITニュース「Cost-Optimized Three-Tier Architecture on AWS with DevOps」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

AWSでコストを最適化し、本番レベルの3層アーキテクチャをDevOpsで構築した。S3/CloudFrontでフロント、ECS Fargateでバック、RDSでDBを構成した。Terraformでインフラをコード化し、CI/CDで自動デプロイも実現した。セキュリティ、コスト、監視を考慮した実践的なシステム構成だ。

ITニュース解説

このプロジェクトは、一般的な入門レベルのチュートリアルを超え、本番環境向けのシステムを構築する取り組みである。多くの入門記事が単一の技術要素に焦点を当てるのに対し、この取り組みでは、システムのセキュリティ、トラフィックに応じた拡張性、顧客が問題を検出する前に異常を把握できる監視体制、そして本番環境に近いテスト環境の構築といった、現実世界で求められる複雑な要件をすべて満たす方法を示している。ここでは、フロントエンド、バックエンド、データベースという三つの主要な部分から構成される「三層アーキテクチャ」という広く実績のあるモデルを採用し、これをAWSというクラウドサービス上で、最新の技術と自動化の考え方を取り入れて構築している。

システムの各部分について具体的に見ていこう。まず、ユーザーが直接触れる「フロントエンド」は、Reactという技術で作られたウェブアプリケーションだ。これはAWSのS3というストレージサービスに保存され、CloudFrontという高速配信サービスを通じてユーザーに届けられる。さらに、Route 53というサービスでドメイン名を管理し、ACMというサービスで発行されたSSL証明書により、ウェブサイトとの通信は常に暗号化され、安全性が保たれる。CloudFrontには、S3への直接アクセスを防ぎ、CloudFront経由のみに制限するOAC(Origin Access Control)を設定することで、セキュリティを一層強化している。この構成により、世界中のどこからでも高速かつ安全にウェブサイトにアクセスできる。

次に、フロントエンドからのリクエストを処理する「バックエンド」は、Spring Bootという技術で開発されたAPIアプリケーションで構成されている。これはAWSのECS Fargateというサービス上で動作するコンテナとしてデプロイされる。Fargateは、サーバー管理をAWSに任せられるため、開発者はアプリケーション開発に集中できる。このバックエンドは、複数のアベイラビリティゾーン(地理的に離れたデータセンター群)に分散して配置され、ALB(Application Load Balancer)というロードバランサーによってトラフィックが適切に分配されることで、高い可用性と拡張性を実現している。アプリケーションの更新時には、ダウンタイムなく新しいバージョンに切り替えられる「ゼロダウンタイムデプロイ」が採用されており、また、コスト削減のためにFargate Spotインスタンスを利用する工夫も凝らされている。不正なアクセスから保護するため、最小限の通信だけを許可するセキュリティグループが設定されている。これにより、バックエンドは急なトラフィックの増加にも柔軟に対応でき、安定してサービスを提供できる。

そして、システムのデータを永続的に保存する「データベース」には、AWSのRDS MySQLが利用されている。RDSは、データベースの構築や運用をAWSが代行するマネージドサービスであり、運用負担を軽減する。重要なデータは、複数のアベイラビリティゾーンにわたって同期され、自動的にバックアップが取得されるため、万が一の障害時にもデータが失われるリスクは低い。また、保存されているデータも、ネットワークを通じて送受信されるデータもすべて暗号化されているため、高いセキュリティが確保されている。データベースはVPC(Virtual Private Cloud)内のプライベートサブネットという隔離されたネットワーク空間に配置されており、外部からの不正アクセスを厳しく制限している。

これらのインフラストラクチャ全体は、「Infrastructure as Code(IaC)」という考え方に基づき、Terraformというツールを使ってコードとして記述されている。コード化することで、手作業による設定ミスを防ぎ、いつでも同じ環境を再現できる。このプロジェクトでは、Terraformのコードをネットワーク、フロントエンド、バックエンド、データベース、ドメインといった機能ごとにモジュール化しているため、コードの可読性向上、デバッグの容易化、コンポーネント交換の柔軟性向上につながる。

開発からデプロイまでのプロセスは、「CI/CDパイプライン」によって完全に自動化されている。パイプラインは、インフラの変更を扱うものと、アプリケーションのコード変更を扱うものの二種類がある。インフラ用パイプラインでは、Terraformのコードの妥当性を検証し、セキュリティ上の脆弱性がないかを自動でスキャンする。変更適用前には、人の手による承認を必須とし、意図しない本番環境変更を防ぐ。また、設定がコードと現実の環境で食い違っていないか(ドリフト)を検知する仕組みも導入されている。アプリケーション用パイプラインでは、フロントエンドのReactアプリケーションをビルドし、テストを実行した後にデプロイを行い、必要に応じてCloudFrontのキャッシュを無効化する処理も含まれる。バックエンドのSpring Bootアプリケーションについても同様に、ビルド、Dockerイメージ化、AWSのコンテナレジストリであるECRへのプッシュ、そしてECS Fargateへのデプロイが自動で行われる。これらの自動化により、開発者は煩雑な手作業から解放され、より迅速かつ安全にアプリケーションをリリースできる。

セキュリティは、システムの設計段階から深く組み込まれている。VPCを使ったネットワークの隔離や、サブネットを分割することで、各コンポーネント間の通信を厳密に制御する。すべての通信はSSL/TLSで暗号化され、ユーザーやサービスが持つ権限は必要最小限に抑える「最小権限の原則」をIAM(Identity and Access Management)サービスで徹底する。機密情報はコードリポジトリに直接記述せず、SSM(Systems Manager Parameter Store)のような安全な場所に保存する。また、CI/CDパイプラインの各段階で、コンテナイメージやインフラ設定のセキュリティスキャンを自動的に実行し、潜在的な脆弱性を早期に発見・対処する体制が整っている。

運用コストの最適化にも様々な工夫が凝らされている。バックエンドのコンテナを実行する際に、AWSの余剰リソースを安価に利用できるFargate Spotインスタンスを積極的に活用することで、通常のFargateインスタンスに比べ最大で約50%のコスト削減を実現している。CloudFrontのキャッシュ機能により、S3やバックエンドへのリクエスト数を減らし、データ転送コストを抑える。CloudWatch LogsやS3に保存されるログやファイルには、自動的に古いデータを削除するライフサイクルポリシーを設定することで、ストレージコストを削減している。さらに、開発環境やステージング環境では、本番環境よりも小規模なインスタンスタイプやリソースを使用することで、非本番環境でのコストを最小限に抑えている。

システムの安定稼働を支えるために、詳細な監視体制が構築されている。AWSのCloudWatchというサービスをシステムのあらゆる場所に導入し、ECSコンテナの動作ログを収集するだけでなく、CPUやメモリ使用率が異常なレベルに達した場合にはアラートを通知する。RDSデータベースのパフォーマンスも詳細に分析し、問題の兆候を早期に捉える。さらに、予期せぬ料金の発生を防ぐために、コストアラートを設定し、予算を超えそうな場合に通知を受け取る仕組みも用意されている。これらの監視により、システムの異常を迅速に検出し、問題が顧客に影響を与える前の対応を可能にする。

複数の環境(開発、ステージング、本番)を効率的に管理するため、Terraformのワークスペース機能と環境ごとに異なる変数ファイルを活用している。これにより、開発環境ではコストを抑えるために単一のアベイラビリティゾーンで小規模なインスタンスを使用し、ステージング環境では本番環境とほぼ同じ構成でテストを行い、そして本番環境では高可用性と厳格なセキュリティ設定を適用するといった柔軟な環境構築と運用を実現する。

このプロジェクトを通じて得られた重要な教訓はいくつかある。第一に、インフラのコードをモジュール化しておくことは、将来的なデバッグや改修を圧倒的に楽にする。第二に、セキュリティチェックを開発プロセスの早期段階から自動化することが極めて重要である。後からセキュリティ対策を施すよりも、最初から組み込む方がはるかに効率的で安全だ。第三に、インフラとアプリケーションでパイプラインを分離することで、管理がシンプルになり、各チームが自身の責務に集中しやすくなる。第四に、コスト追跡のためにすべてのリソースに適切なタグを付けておくことは、コスト管理の透明性を高める上で不可欠だ。そして最後に、システムの監視を過小評価してはならない。監視は、問題が発生した際にシステムの状態を把握し、迅速な対応を可能にするための生命線となる。このプロジェクトは単に技術を動かすだけでなく、最初から本番運用に耐えうるクラウドインフラを構築できることを実証している。モジュール化されたInfrastructure as Codeは拡張性と再利用性を高め、承認ゲート付きのCI/CDは自動化への信頼を築く。セキュリティとコスト最適化は後付けではなく設計に組み込むべきであり、そして監視は混沌を制御に変える力を持つ。

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