【ITニュース解説】SPA vs SSR: What’s the Difference and When to Use Each?
2025年09月06日に「Dev.to」が公開したITニュース「SPA vs SSR: What’s the Difference and When to Use Each?」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
Webページの表示方法、SPAは操作が滑らかだが初回読込が遅い。対してSSRは初回表示が速くSEOに強いがサーバー負荷がかかる。操作性重視ならSPA、ブログなど情報発信が主ならSSRが適している。(117文字)
ITニュース解説
Webアプリケーション開発において、ユーザーが快適に利用できるかどうかは非常に重要である。ウェブサイトやアプリケーションの表示速度や操作感は、ユーザー体験に直結する要素であり、開発者はこれを常に考慮する必要がある。このユーザー体験を向上させるための代表的なアプローチとして、「Single-Page Application(SPA)」と「Server-Side Rendering(SSR)」の二つがある。これらはそれぞれ異なる仕組みを持ち、得意なことと苦手なことがあるため、プロジェクトの目的や要件に応じて適切に選択することが求められる。
まず、SPA(Single-Page Application)について解説する。SPAは、ブラウザが最初に一つのHTMLページを読み込んだ後、その後のコンテンツ更新はJavaScriptによって動的に行われる仕組みである。これにより、ユーザーが異なるコンテンツへ移動しても、ページ全体が再読み込みされることなく、必要な部分だけがシームレスに更新される。 このSPAの利点は、非常にスムーズで高速なユーザー体験を提供できることだ。デスクトップやモバイルアプリのような感覚で操作でき、インタラクティブなダッシュボード、ツール、アプリケーションの開発に特に適している。 一方で、課題も存在する。初回読み込み時に、アプリケーションの動作に必要なJavaScriptコードの全てを読み込むため、ファイルサイズが大きいと時間がかかる場合がある。また、コンテンツの大部分がブラウザ上でJavaScriptによって動的に生成されるため、デフォルトの状態ではSEO(検索エンジン最適化)に不利となることがある。検索エンジンのクローラーが、JavaScriptが実行される前の情報しか読み取れない可能性があるためだ。 そのため、SPAは、ダッシュボード、ソーシャルメディアアプリ、Eコマースのカートなど、高度なインタラクションを重視するUIに活用されることが多い。
次に、Server-Side Rendering(SSR)について解説する。SSRはSPAとは対照的に、ユーザーからのリクエストがあるたびに、サーバー側でページのHTMLを完全に生成し、そのレンダリングされたHTMLをブラウザに送信する仕組みである。つまり、ブラウザはすでに完成された形でページを受け取るため、JavaScriptの実行を待つ必要がない。 SSRの大きな利点は、初回読み込みが非常に速いことだ。コンテンツはサーバー側で事前にレンダリングされているため、ユーザーはすぐに画面の内容を見ることができる。これは、特に回線速度が遅い環境や、スペックの低いデバイスを使っているユーザーにとって、非常に快適な体験となる。また、SSRはSEOに非常に有利であるという点も重要だ。検索エンジンのクローラーは、サーバーから送られてくる完全にレンダリングされたHTMLを問題なく読み取れるため、コンテンツが検索結果に適切に表示されやすくなる。ブログ、ランディングページ、ニュースサイトなど、情報提供が主目的のサイトでは、このSEOの強みが特に活かされる。 しかし、SSRにもデメリットは存在する。各ユーザーのリクエストごとにサーバーがHTMLを生成する必要があるため、サーバーへの負荷が増大する可能性がある。トラフィックが多いサイトでは、サーバーの処理能力がボトルネックになることもあり得る。また、SPAに比べると、高度にインタラクティブなアプリケーションでは、ページ全体が再読み込みされることで、操作が少しスムーズさに欠けると感じられる場合がある。 SSRは、ブログ、ニュースサイト、ポートフォリオ、企業のランディングページなど、コンテンツの表示が中心で、SEOや初回表示速度が重要なプロジェクトに適している。
これまでSPAとSSRのそれぞれの特徴を見てきたが、Webアプリケーション開発の現場では、どちらか一方を選ぶだけでなく、両者の利点を組み合わせたいというニーズが高まっている。そこで登場するのが、Next.jsのようなフレームワークだ。Next.jsは、SPAとSSRの選択肢を開発者に強制することなく、柔軟に使い分け、さらには同じプロジェクト内で両方を組み合わせる「ハイブリッドアプローチ」を可能にする、非常に強力なツールである。 Next.jsを使えば、特定のページではクライアントサイドレンダリングを利用してSPAのようにスムーズな体験を提供し、別のページではSSRを活用してSEOを強化したり、初回表示を高速化したりできる。例えば、ユーザーの認証情報が必要なダッシュボードのようなページはSPAとして実装し、一方で、会社の紹介やサービス内容を説明するブログ記事のようなページはSSRでレンダリングすることで、検索エンジンからの流入を効果的に狙う、といったことが可能になる。 このような柔軟性のおかげで、Next.jsを使用することで、パフォーマンス、SEO、そしてユーザー体験という、Webアプリケーション開発において重要な要素を全て同時に最適化できるようになる。つまり、プロジェクトの特定の要件に合わせて最適なレンダリング戦略を選択できるため、開発者はより効率的かつ効果的にアプリケーションを構築できるのだ。
最終的に、どのレンダリング戦略を選択するかは、アプリケーションの目的と最も重視する点によって決まる。もし、アプリケーションが高度なインタラクティブ性を持つことが重要であり、ユーザーの操作のスムーズさが最優先で、SEOの優先度がそれほど高くない場合は、SPAが適していると言える。例えば、リアルタイムでのデータ更新が多い管理画面や、複雑な操作を伴うツールなどがこれに該当するだろう。 一方で、検索エンジンでの可視性、つまりSEOが非常に重要であり、コンテンツの初回表示速度や全体的なパフォーマンスが最優先される場合は、SSRを選択するのが賢明である。ブログ記事、ニュース速報、企業の製品紹介ページのように、静的なコンテンツの配信が中心となるサイトでは、SSRがその真価を発揮する。 そして、SPAとSSRの両方の利点を享受したい場合、つまり、アプリケーションの一部では高いインタラクティブ性を、別の一部では優れたSEOと高速な初回表示を実現したい場合には、Next.jsのようなハイブリッドフレームワークの導入を検討すべきである。Next.jsは、これらの異なる要件を一つのプロジェクト内で効率的に管理し、最適なWebアプリケーションを構築するための強力な基盤を提供する。 開発者はこれらの知識を基に、プロジェクトの特性を理解し、最適なアプローチを選択することで、より良いユーザー体験とビジネス成果に繋がるWebアプリケーションを構築できるだろう。