【ITニュース解説】Kubernetes Security: Best Practices to Protect Your Cluster
2025年09月17日に「Dev.to」が公開したITニュース「Kubernetes Security: Best Practices to Protect Your Cluster」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Kubernetesクラスターを安全に運用するための12のベストプラクティスを解説。コンテナを非rootで実行し、特権モードやホストリソースの共有を避けることが重要だ。不要な権限を最小限に抑え、デフォルトの安全な設定を尊重することで、システム全体のセキュリティを強化できる。
ITニュース解説
Kubernetesのクラスタを安全に保つためには、いくつかの重要なセキュリティ対策がある。ここでは、システムエンジニアを目指す初心者向けに、特に注意すべき12のベストプラクティスを解説する。
まず、コンテナを非rootユーザーで実行することが非常に重要だ。デフォルトでは、コンテナ内のプロセスはrootユーザー(UID 0)として実行されることが多い。もし攻撃者がコンテナを乗っ取った場合、root権限を持っていれば、ホストシステム(コンテナが動作しているサーバー)にまで深刻な影響を及ぼす可能性がある。これを防ぐため、securityContextのrunAsUserやrunAsNonRoot設定を使って、意図的に非rootユーザーでコンテナを起動するようにする。これにより、たとえコンテナが乗っ取られても、攻撃者の持つ権限が限定され、被害を最小限に抑えることができる。
次に、特権(privileged)モードでコンテナを実行することは避けるべきだ。特権コンテナは、ホストシステムとほぼ同じアクセス権を持ち、通常のコンテナが持つ分離のメリットを失わせる。これは、コンテナをホスト上のroot権限プロセスのように扱ってしまうことであり、セキュリティ上のリスクが極めて高い。通常、アプリケーションが特権モードを必要とすることはほとんどなく、必要であれば、特定のLinux Capabilitiesを付与するなどの代替手段を検討すべきだ。
ホストのファイルシステムに直接アクセスするhostPathボリュームの使用も避ける。hostPathはノード上のディレクトリをコンテナ内にマウントするため、コンテナが侵害された場合、ホストの重要なファイルを読み書きされる可能性がある。これはコンテナの分離を破る行為であり、非常に危険だ。設定情報にはConfigMapやSecret、永続的なデータにはPersistentVolumeClaim(PVC)を使用するなど、より安全な代替手段を用いるべきである。
hostPort設定も可能な限り避けるべきだ。これは、Kubernetesノードのポートを直接コンテナにマッピングするもので、ホストのネットワークインターフェースをコンテナに公開することになる。これにより、コンテナがホストのネットワークトラフィックを傍受したり、攻撃に利用したりするリスクがある。外部へのサービス公開には、より安全なServiceリソース(NodePortやLoadBalancerタイプ)やIngressを使用するべきだ。
さらに、ホストのネットワーク、PID(プロセス)、IPC(プロセス間通信)の名前空間をコンテナと共有する設定(hostNetwork: true、hostPID: true、hostIPC: true)も避ける必要がある。これらの設定は、コンテナがホストのネットワーク、プロセスリスト、共有メモリなどを直接参照・操作できるようにするため、コンテナとホスト間の分離を著しく弱める。結果として、情報漏洩やホストの乗っ取りにつながる可能性があるため、通常のアプリケーションではデフォルトのfalseのままにするべきだ。
Linux Capabilities(権限の細分化)の設定にも注意が必要だ。コンテナはデフォルトで限定されたCapabilitiesを持つが、不必要なCapabilities(例えばSYS_ADMINやNET_RAWなど、強力な操作を許可するもの)は削除(drop)し、本当に必要なものだけを追加(add)するべきである。これにより、コンテナが持つ権限を最小限に抑え、攻撃者が利用できる機能を制限できる。
AppArmorプロファイルの無効化や上書きも避ける。AppArmorはLinuxカーネルのセキュリティモジュールで、コンテナがシステムレベルで行える操作を制限する。デフォルトのプロファイルは適切な保護を提供するため、これを「unconfined」(無制限)に設定することはセキュリティを著しく低下させる。特別な理由がない限り、デフォルトのプロファイルを使用すべきだ。
/proc仮想ファイルシステムへのアクセスについても、デフォルトの設定を維持する。/procはLinuxカーネルやプロセスの情報を提供するもので、コンテナランタイムは通常、セキュリティのために特定のパスをマスク(隠蔽)している。procMount: Unmaskedと設定すると、ホストの機密情報がコンテナから見えてしまい、情報漏洩や攻撃の足がかりとなるリスクがあるため、デフォルトのままにするべきだ。
ボリュームタイプも制限することが望ましい。Kubernetesは多くのボリュームタイプをサポートしているが、中にはhostPathのようにセキュリティリスクが高いものもある。ConfigMap、Secret、PersistentVolumeClaim、emptyDirなど、Kubernetesが安全と見なすボリュームタイプのみを使用するように心がけることで、コンテナがホストや意図しないデータソースに直接アクセスするリスクを減らすことができる。
SELinux(Security-Enhanced Linux)のカスタムオプションも、専門家でない限り設定を避けるべきだ。SELinuxは強制アクセス制御システムであり、コンテナがホストのファイルシステムなどにアクセスする際の保護を提供する。デフォルトのSELinuxコンテキストは適切な分離を提供するため、これを上書きしてより緩い設定(例えばspc_tのような特権タイプ)にすることは、コンテナの分離を弱め、攻撃者がホストにアクセスする可能性を高める。
Seccomp(secure computing mode)プロファイルもデフォルトで使用することを推奨する。SeccompはLinuxカーネルの機能で、コンテナが実行できるシステムコール(カーネルへの要求)を制限する。seccompProfile: Unconfinedと設定すると、このシステムコールフィルタリングが無効になり、攻撃対象が広がる。RuntimeDefaultプロファイルやカスタムプロファイルを使用し、危険なシステムコールをブロックすることが、コンテナのセキュリティを向上させる。
最後に、安全でないSysctls(システムコントロール)をPodで有効にしないよう注意する。SysctlsはLinuxカーネルのパラメータであり、ネットワークやメモリなどの設定を調整できる。Kubernetesでは、Podに名前空間化され、ホストから分離される「安全な」Sysctlsと、ホスト全体のカーネルに影響を与える「安全でない」Sysctlsに分類される。安全でないSysctlsを有効にすると、ホストの安定性に悪影響を与えたり、セキュリティメカニズムを無効にしたり、最悪の場合、カーネルパニックや権限昇格につながる可能性がある。デフォルトで安全なSysctlsのみを許可し、安全でないものは使用しないようにする。
これらの12のベストプラクティスは、Kubernetesクラスタのセキュリティを大幅に強化する上で不可欠なものだ。多くは「最小権限の原則」に基づき、Podが必要とする最小限のアクセス権のみを与えることで、攻撃者が悪用できる範囲を狭めることを目的としている。開発プロセスやCI/CDパイプラインにこれらのチェックを組み込むことで、より堅牢なシステムを構築できるだろう。