Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

PS/2(ピーエスツゥー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

PS/2(ピーエスツゥー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ピーエスツゥ (ピーエスツゥ)

英語表記

PS/2 (ピーエスツー)

用語解説

PS/2とは、主にパーソナルコンピュータ(PC)のキーボードやマウスを接続するために使われたシリアルポートの規格である。IBMが1987年に発表した「IBM Personal System/2(IBM PS/2)」シリーズで初めて採用されたことから、その名がつけられた。この規格は、それまでのPC/AT互換機で使われていたキーボード用の大型DINコネクタや、マウス接続に使われたシリアルポート(RS-232C)または専用のバスカードに比べて、小型化と専用インターフェースの提供により、利便性と統合性を高めることを目的としていた。現代のPCではUSBが主流となり、PS/2ポートはほとんど見られなくなったが、かつてはPCの標準的なインターフェースとして広く普及し、その後のPCハードウェアの進化に大きな影響を与えた歴史的な規格である。システムエンジニアを目指す上で、過去の技術がどのように発展し、現在の技術に繋がっているかを理解することは、問題解決能力や将来の技術動向を予測する上でも重要となる。

PS/2コネクタは、小型の丸形6ピンのミニDINコネクタを採用しており、一般的にキーボード用が紫色、マウス用が緑色に色分けされているのが特徴だ。このカラーコードは、ユーザーが誤って接続するのを防ぐために広く普及した。PS/2インターフェースは、キーボードとマウスそれぞれに専用のポートを提供し、データとクロックの2本の信号線を用いた同期シリアル通信方式でデータをやり取りする。この方式は、CPUからの直接的な制御を必要とし、低レベルでのハードウェア制御が可能であった。そのため、一部のレガシーOSやBIOSレベルでの操作においては、USB接続のマウスやキーボードよりも安定性や確実性が高いとされ、特定のサーバーや産業用PCなどでPS/2ポートが搭載され続ける理由の一つとなっている。

PS/2が誕生する以前のPCでは、キーボードは大型の5ピンDINコネクタで接続され、マウスはRS-232Cシリアルポートや、専用の拡張カード(バスカード)を介して接続されるバスマウスが一般的であった。これらの方式は、それぞれに課題を抱えていた。DINコネクタは大型で、シリアルポートは通信速度が遅く、複数のデバイスを接続するにはポート数が不足しがちであった。バスマウスは専用カードが必要で、コストや拡張スロットの消費が問題だった。

IBMがPS/2シリーズを発表した背景には、当時のPC/AT互換機のアーキテクチャが持つ限界があった。特にI/Oインターフェースの統合と標準化は大きな課題であり、PS/2では、キーボードとマウスに加えてグラフィックや拡張スロット(Micro Channel Architecture; MCA)など、様々な部分で新しい標準を提案した。この中で、キーボードとマウス専用のインターフェースとしてPS/2コネクタが採用されたのは、周辺機器の接続を簡素化し、ユーザーエクスペリエンスを向上させるための重要なステップだった。PS/2ポートは、それぞれのデバイスに対して専用のデータラインとクロックラインを提供し、リアルタイム性の高い入力を可能にした。ホットプラグ(PCの電源を入れたままデバイスを抜き差しすること)には対応していなかったが、その小型さと専用性から、瞬く間にPCの標準インターフェースとして普及していった。

技術的な詳細を見ると、PS/2コネクタはミニDIN 6ピンで、以下のピンアサインが一般的だ。

  1. データ (DATA)
  2. 未使用 (キーボードのみ) またはリザーブ (マウスのみ)
  3. グランド (GND)
  4. +5V電源 (VCC)
  5. クロック (CLOCK)
  6. 未使用 (キーボードのみ) またはリザーブ (マウスのみ)

データラインとクロックラインは双方向通信が可能で、デバイス(キーボードやマウス)からPCへ、またはPCからデバイスへコマンドやデータを送受信する。例えば、キーボードがキー入力イベントをPCに送信するだけでなく、PCはキーボードに対してLED(Caps Lock、Num Lockなど)の点灯制御コマンドを送信できる。この双方向通信能力は、当時のシリアルポート接続と比較して高度な制御を可能にした。

しかし、PS/2規格もやがて新たな課題に直面する。複数のデバイスを接続する際には、それぞれに専用のPS/2ポートが必要であり、汎用性に欠けた。また、PCの電源を入れたまま抜き差しできないホットプラグ非対応である点も、現代的な使い勝手から見れば不便であった。この状況を打破したのが、1996年に登場したUniversal Serial Bus(USB)である。USBは、その名の通り「汎用」のシリアルバスとして設計され、キーボードやマウスだけでなく、プリンター、スキャナー、ストレージなど、多種多様な周辺機器を一つのポートで接続できる汎用性、ホットプラグ対応、より高速な通信速度、そしてデバイスへの電源供給能力といった画期的な特徴を備えていた。

USBの普及に伴い、PCメーカーは徐々にPS/2ポートをPCから削減し始め、多くのPCがUSBポートのみを搭載するようになった。現在では、新品のコンシューマー向けPCでPS/2ポートが搭載されているモデルは非常に稀である。しかし、完全に姿を消したわけではない。一部のゲーミングキーボードやマウスでは、PS/2接続がUSB接続よりも入力遅延が少ないという説や、Nキーロールオーバー(複数のキーを同時に押してもすべて認識される機能)の確実性が高いといった理由から、PS/2接続をサポートする製品も存在する。また、前述の通り、古いシステムや特殊な用途の組み込み機器、あるいはBIOSレベルでの高い互換性を要求される環境では、依然としてPS/2が利用されることがある。USB-PS/2変換アダプタも存在し、レガシーデバイスを現代のPCで利用したり、その逆の用途で使われたりすることがあるが、通常はUSBデバイスをPS/2に変換するアダプタでは、USBデバイスがPS/2プロトコルをエミュレートする必要があり、単純なピン変換だけでは機能しないため注意が必要だ。

PS/2は、PCの進化の歴史において、キーボードとマウスの接続方法を標準化し、利便性を向上させた重要な技術である。その役割はUSBに引き継がれたが、その設計思想や技術的特徴は、現代のインターフェース技術にも影響を与え続けていると言えるだろう。

関連コンテンツ