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トランジット(トランジット)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

トランジット(トランジット)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

トランジット (トランジット)

英語表記

transit (トランジット)

用語解説

トランジットとは、IT分野、特にコンピュータネットワークにおいて、データが特定のネットワークを「通過」して、最終的な目的地に到達するまでの中継点となる仕組みや行為を指す。これは、インターネットが多数の独立したネットワーク(自律システム、AS)の相互接続によって成り立っていることから生じる概念である。あるネットワークから別のネットワークへデータを送信する際、直接接続されていない場合は、間に存在する一つ以上のネットワークを「通過」する必要があり、この通過サービスを提供するのがトランジットの基本的な役割となる。インターネット全体の接続性を確保する上で不可欠な要素であり、データが世界中のどこへでも届けられる基盤を形成している。

インターネットは、世界中の様々な組織や企業が運用する数万もの自律システム(AS)が相互に接続されて構成されている。ASとは、単一の管理ポリシーの下で運用されるネットワークの集まりを指し、それぞれが独自のルーティング(経路制御)ポリシーを持っている。例えば、NTT、KDDI、ソフトバンクといった大手通信事業者や、Google、AmazonなどのコンテンツプロバイダもそれぞれがASとして機能している。

ある利用者が属するASから、別の利用者が属するASへデータを送る場合、その二つのASが直接接続されているとは限らない。むしろ、ほとんどの場合は直接接続されていない。このような状況でデータを目的地に届けるためには、間に位置する他のASを経由する必要がある。この「他のASを経由して、インターネット上の任意のASへ到達する経路を提供する」サービスがトランジットである。トランジットサービスを提供するASは、自社のネットワークを通過する他社のトラフィックを処理し、その対価として料金を受け取る。

この仕組みをより具体的に説明すると、小規模なISP(インターネットサービスプロバイダ)がインターネットに接続し、自社の顧客にサービスを提供したい場合を考える。このISPは、インターネット上のすべてのASと個別に接続することは現実的ではない。そこで、通常はより大規模なISP(上位のプロバイダ)と契約を結び、その上位プロバイダのネットワークを通じてインターネット全体へのアクセス経路を獲得する。この上位プロバイダが提供するサービスがトランジットであり、小規模ISPのトラフィックは上位プロバイダのネットワークを「トランジット」することで、インターネット上のあらゆる場所に到達できるようになる。上位プロバイダは、さらにその上位のプロバイダや、他の大規模プロバイダと接続しているため、結果として広範な接続性を提供できる。

トランジットの対義語、あるいは関連する重要な概念として「ピアリング」がある。初心者が混同しやすい点なので、両者の違いを理解することは重要である。

ピアリングとは、異なる二つのASが、互いのネットワークを通過するトラフィックに対して料金を徴収することなく、直接トラフィックを交換する関係を指す。これは主に、同程度の規模のAS間、または互いのネットワーク間で大量のトラフィックを交換するようなAS間で行われる。ピアリングの主な目的は、特定のトラフィックをより効率的に、かつコストをかけずに交換することにある。例えば、二つの大規模ISPが相互に顧客を持つ場合、互いに相手のネットワークへ直接接続し、その範囲内のトラフィックについては自社のトランジットプロバイダを経由せず、直接やり取りすることで、トランジット費用を削減し、同時にネットワーク遅延を改善できる。

しかし、ピアリングは基本的に「相互に接続されたネットワークの範囲内」のトラフィックに限定される。ピアリング関係にある二つのASは、互いのネットワークへ直接アクセスできるが、ピアリング相手のネットワークのさらに先にある、インターネット上のすべてのASへのアクセスを保証するものではない。インターネット全体への到達性(グローバルルーティング)を確保するためには、やはりトランジットサービスへの依存が必要となる。つまり、ピアリングは特定の経路の効率化・コスト削減に寄与するが、インターネット全体への接続はトランジットによって保証されると理解できる。

トランジットサービスは、一般的にトラフィック量(データ転送量)に基づいて料金が決定されることが多い。そのため、ISPはトランジット費用を削減するために、できるだけ多くのトラフィックをピアリングに移行しようと努力する。これにより、インターネットの経路選択は常に経済的な側面と技術的な効率性の両方を考慮して行われている。

また、インターネットの経路情報を交換し、最適なトランジットパスやピアリングパスを決定するために、「ボーダーゲートウェイプロトコル(BGP)」というルーティングプロトコルが利用される。BGPは、各ASが保有するネットワークアドレスの範囲や、そこへ到達するための経路情報を他のASと交換し、インターネット全体の接続性を確立するための非常に重要な役割を担っている。トランジットの概念は、このBGPによって実現されるグローバルなルーティング基盤の上に成り立っていると言える。

このように、トランジットは単にデータが通過する場所という意味だけでなく、インターネット全体の相互接続性、経済性、そしてルーティングの仕組みと密接に関わる、極めて重要な概念である。システムエンジニアを目指す上では、ネットワークの全体像を理解するために不可欠な知識となるだろう。

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