【ITニュース解説】Day 44: Relational Database Service in AWS

2025年09月08日に「Dev.to」が公開したITニュース「Day 44: Relational Database Service in AWS」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

AWS RDSは、リレーショナルデータベース(MySQLなど)の構築・運用をAWSが代行するマネージドサービスだ。サーバー管理、バックアップ、スケーリング、高可用性確保の手間をなくし、開発者はアプリケーション開発に集中できる。多種多様なDBエンジンをサポートし、初心者でも手軽に利用開始できる。

出典: Day 44: Relational Database Service in AWS | Dev.to公開日:

ITニュース解説

AWSのRelational Database Service(RDS)は、システムエンジニアを目指す初心者がクラウドでデータベースを扱う際に非常に役立つサービスだ。リレーショナルデータベースの構築、運用、そして規模の拡大をAWSがまるごと管理してくれるため、これまでデータベース管理者が行っていた多くの手間のかかる作業から解放される。

まず、リレーショナルデータベースとは何だろうか。これは、データを表(テーブル)の形式で整理し、それぞれの表が「行」と「列」で構成されるものだ。例えば、顧客情報なら「顧客ID」「名前」「住所」といった列があり、一人一人の顧客が一行のデータになる。そして、複数の表(例:顧客情報と注文情報)が互いに関連付けられている。この関連性を使ってデータを効率的に管理し、検索したり操作したりするために「SQL(Structured Query Language)」という専用の言語が使われる。

通常、自分でサーバーを用意してリレーショナルデータベースを構築する場合、OSのインストールからデータベースソフトウェアのセットアップ、定期的なパッチ適用、データのバックアップ、そしてシステムの負荷が増えた時の性能向上(スケーリング)など、非常に多くの作業が必要となる。しかし、AWS RDSを使えば、これらのサーバー管理や運用に関わる重いタスクのほとんどをAWSが自動でやってくれるため、開発者はアプリケーションの機能開発やデータベースの設計、つまり「何をどう保存し、どう使うか」という本質的な部分に集中できるようになる。

RDSを利用するメリットは数多くある。第一に、完全にマネージドなサービスであること。AWSがデータベースのプロビジョニング(準備)、ソフトウェアの更新、定期的なバックアップ、そして稼働状況の監視まで自動的に行ってくれる。第二に、優れたスケーラビリティが挙げられる。アプリケーションの利用状況に応じて、データベースの計算資源(CPUやメモリ)やストレージ容量を簡単に増減できる。また、読み込み処理が非常に多いアプリケーションのために「リードレプリカ」という読み込み専用の複製データベースを複数作成し、負荷を分散させることも可能だ。第三に、高い可用性も大きな特徴だ。Multi-AZ(マルチアベイラビリティゾーン)デプロイメントという設定をすることで、データベースのデータを複数の異なる物理的な場所に分散して配置し、万が一一方のシステムで障害が発生しても、自動的にもう一方の待機系に切り替わる仕組みを提供してくれるため、アプリケーションが停止するリスクを大幅に減らせる。

セキュリティ面も充実しており、データベースはVPC(Virtual Private Cloud)というAWS上の仮想ネットワーク内で隔離して運用でき、必要なアクセスだけを許可するように設定できる。また、IAM(Identity and Access Management)と連携してデータベースへのアクセス権限を細かく制御したり、保存されているデータ(保管時)や通信中のデータ(転送時)を暗号化することも可能だ。さらに、使った分だけ料金を支払う従量課金制のため、コスト効率も良い。テストや学習用途には無料で利用できる「無料枠」も用意されている。

RDSがサポートするデータベースエンジンも豊富だ。よく使われるMySQL、PostgreSQL、MariaDBに加え、OracleやMicrosoft SQL Serverといった商用データベースも利用できる。特に注目すべきは「Amazon Aurora」だ。これはAWSがMySQLとPostgreSQLに互換性を持たせつつ、AWSのクラウド環境に最適化して開発した高性能なデータベースエンジンで、標準的なMySQLに比べて最大5倍、PostgreSQLに比べて最大3倍高速だと言われている。

RDSを構成する主要な要素はいくつかある。まず「DBインスタンス」は、データベースを動かすためのサーバー(計算資源とストレージ)そのものだ。「エンドポイントとポート」は、アプリケーションがデータベースに接続するために必要なアドレスと通信経路の番号を示す。データベースへのアクセスを制御するのが「セキュリティグループ」で、どのIPアドレスや他のAWSサービスからの接続を許可するかを設定する。「パラメータグループ」は、データベースエンジンの詳細な設定を調整するためのもので、「オプショングループ」は特定の追加機能を利用する際に使われる。「サブネットグループ」は、RDSがどのネットワーク領域にデータベースインスタンスを配置できるかを定義するものだ。

これらの構成要素を活用することで、RDSは様々な機能を提供する。先に述べた「Multi-AZデプロイ」は高可用性を確保し、「リードレプリカ」は読み込み処理の負荷を分散させる。データの安全性を守る「自動バックアップ」機能は、過去35日間に遡って特定の時点のデータを復元できるようにする。データベースの健康状態を把握するための「監視」機能としては、CloudWatchメトリクスやPerformance Insightsなどがあり、問題発生時の迅速な対応を支援する。さらに、データは「暗号化」され、必要に応じてパスワードではなくIAMの認証トークンを使ってデータベースに接続する「IAM DB認証」を設定することもできる。

実際にRDSをどのように使うか、Eコマースアプリケーションを例に考えてみよう。もしアプリケーションがEC2インスタンスやECS/EKSのコンテナ上で動いていると仮定する。この時、EC2インスタンス内に自分でMySQLをインストールして運用するのではなく、RDS上でMySQLインスタンスを作成する。アプリケーションはRDSが提供するエンドポイント(例:mydb.rds.amazonaws.com)とポート番号(例:3306)を使ってこのデータベースに接続する。こうすることで、OSやデータベースのパッチ適用、ストレージの自動拡張、Multi-AZを設定していれば障害時の自動フェイルオーバー、そして災害復旧のためのバックアップといった運用作業はすべてAWSが自動的に行ってくれるため、開発者はアプリケーションのデータベーススキーマ(データの構造)設計や、データを取り出すためのSQLクエリの作成に集中できるわけだ。

では、具体的にどのような場面でRDSを使うべきなのだろうか。金融システム、Eコマース、企業資源計画(ERP)、顧客関係管理(CRM)など、信頼性が高く、大量のデータを扱う必要がある従来のリレーショナルデータベースワークロードには最適だ。また、高可用性と自動スケーリングが必須の要件である場合や、データベース管理者の運用負担を軽減したい場合にも適している。基本的にSQLベースのリレーショナルデータモデルを使用するアプリケーションであれば、RDSは強力な選択肢となるだろう。

初心者にとって、RDSを実際に触ってみることは非常に重要だ。ここでは、AWSの無料枠を利用してMySQL RDSインスタンスを作成し、別のEC2インスタンスから接続する基本的な流れを説明する。まずAWSコンソールでRDSインスタンスを作成する際には、MySQLエンジンと無料枠テンプレートを選び、マスターユーザー名とパスワードを設定する。ネットワーク設定では、データベースを配置するVPCとサブネットを選択し、セキュリティのために「パブリックアクセシビリティ」は「いいえ」に設定することが推奨される。そして、重要な「セキュリティグループ」では、後で作成するEC2インスタンスからのMySQLポート(通常3306番)へのアクセスを許可するように設定しておく必要がある。これらの設定を終え、インスタンスが「Available」になったら、エンドポイントとポート番号を記録する。

次に、このRDSに接続するためのEC2インスタンスを作成する。無料枠対象のt2.microインスタンスタイプを選び、RDSと同じVPC内に配置する。EC2インスタンスのセキュリティグループでは、SSH(ポート22番)で自分のPCから接続できるようにし、RDSへのアウトバウンド(外部への送信)通信(ポート3306番)が許可されていることを確認する。EC2に接続後、MySQLクライアントソフトウェアをインストールし、記録しておいたRDSのエンドポイント、ポート、ユーザー名、パスワードを使って接続を試みる。正しく接続できると、データベースに対するSQLクエリを実行できるようになる。

もし接続がうまくいかない場合は、いくつかの重要な点を確認しよう。RDSインスタンスのステータスが「Available」になっているか。設定したエンドポイント、ポート、ユーザー名、パスワードは正確か。そして最も重要なのがセキュリティグループの設定だ。RDSのセキュリティグループが、EC2インスタンスのセキュリティグループからのMySQLポート(3306番)へのインバウンドアクセスを許可しているかを再確認する。EC2インスタンスとRDSインスタンスが同じVPC内にあり、ネットワーク的に到達可能であることも重要だ。RDSをパブリックアクセス不可に設定している場合、インターネットからは直接アクセスできないため、EC2インスタンスを経由して接続することが必須となる。

これらの手順を通じて、クラウドにおけるリレーショナルデータベースの基本的な利用方法と、AWS RDSがいかにその運用を簡素化してくれるかを体験できるだろう。この経験は、システムエンジニアとしてのキャリアを築く上で貴重な一歩となるはずだ。

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