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【ITニュース解説】Securing Workloads with AWS KMS and Encryption Best Practices

2025年09月08日に「Dev.to」が公開したITニュース「Securing Workloads with AWS KMS and Encryption Best Practices」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

AWSでのデータ保護には暗号化が重要だ。AWS KMSは暗号化キーを安全に一元管理するサービスで、S3やRDSなどのデータを守るために利用される。キーへのアクセス権を最小限にし、定期的に更新するなどの対策を実践することが推奨される。

ITニュース解説

クラウドコンピューティングが主流となる現代において、データは企業にとって最も重要な資産の一つである。この大切なデータを、不正なアクセスや情報漏洩から守ることは、ビジネスを継続する上で不可欠な課題だ。特に、GDPR(EU一般データ保護規則)やHIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)といった各国の法規制や業界標準では、データの暗号化と鍵の管理が単なる推奨事項ではなく、遵守すべき義務として定められている。Amazon Web Services (AWS)は、こうした要求に応えるための強力なセキュリティサービスを提供しており、その中心的な役割を担うのが「AWS Key Management Service (KMS)」である。AWS KMSを利用することで、開発者やセキュリティ担当者は、暗号化に用いる「鍵」を一元的に管理し、様々なAWSサービス上で一貫した暗号化ポリシーを適用することが可能になる。

そもそもなぜクラウド上でデータを暗号化する必要があるのか。その理由は、内部関係者による不正アクセス、設定ミスや認証情報の漏洩によるデータ侵害、そして前述した法規制への対応といった、多様化する脅威からデータを保護するためである。暗号化は、許可された者だけがデータを読み取れるようにする「機密性」と、データが改ざんされていないことを保証する「完全性」を提供し、コンプライアンス要件を満たすための基盤となる。AWS KMSは、この暗号化を容易に実現するためのマネージドサービスである。具体的には、暗号化に必要な鍵の作成、管理、使用状況の制御をシンプルに行えるように設計されている。S3(ストレージ)、EBS(仮想ディスク)、RDS(データベース)といった多数のAWSサービスと緊密に連携しており、これらのサービスに保存されるデータを簡単な設定で暗号化できる。さらに、鍵の定期的な自動更新(ローテーション)や、AWS CloudTrailと連携して誰がいつ鍵を使用したかを記録・監査する機能も備わっており、堅牢なセキュリティ体制の構築を支援する。

AWS KMSでは、用途や管理要件に応じていくつかの種類の鍵を使い分けることができる。初心者がまず理解すべきは「AWSマネージドキー」と「カスタマーマネージドキー(CMK)」の二つである。AWSマネージドキーは、AWSの各サービスがユーザーに代わって自動的に作成・管理する鍵であり、例えばS3バケットの暗号化を有効にする際に手軽に利用できる。運用負荷が低い一方で、誰がその鍵を使えるかといった細かい権限設定はできない。一方、カスタマーマネージドキーは、ユーザー自身が作成し、所有・管理する鍵である。この鍵を使うと、鍵の更新ポリシー、エイリアス(別名)、そしてIAMユーザーやロールごとに使用権限を細かく定義できる。より厳格なセキュリティポリシーやコンプライアンス要件が求められるシステムでは、このカスタマーマネージドキーの利用が必須となる。その他にも、自社で作成した鍵をKMSに持ち込んで利用するBYOK(Bring Your Own Key)や、より高度なセキュリティ基準を満たすためのAWS CloudHSMと連携した鍵も存在するが、多くのケースではこれら二つの鍵の使い分けを理解することが第一歩となる。

システムを安全に構築・運用するためには、いくつかの基本的な暗号化の原則を遵守する必要がある。第一に、「保管中のデータはすべて暗号化する」ことである。これはAmazon S3に保存されたファイル、Amazon RDSのデータベース、Amazon EBSボリューム上のデータなど、ストレージに保存されている状態のデータを対象とする。第二に、「転送中のデータも暗号化する」ことだ。これは、ユーザーのブラウザとウェブサーバー間や、AWSのサービス間でデータがネットワーク上を移動する際に、TLSなどのプロトコルを用いて通信内容を保護することを意味する。第三に、セキュリティの基本である「最小権限の原則」を適用することである。これは、暗号鍵へのアクセス権限を、業務上本当に必要なユーザーやサービスにのみ限定することを指す。これにより、万が一認証情報が漏洩した場合でも、被害の範囲を最小限に抑えることができる。最後に、「鍵の定期的な更新(キーローテーション)」を有効にすることである。同じ暗号鍵を長期間使用し続けると、解読されるリスクが高まる。KMSでは、カスタマーマネージドキーに対して1年ごとの自動ローテーションを簡単に設定でき、セキュリティを継続的に高いレベルで維持することが推奨される。

実際のシステム開発において、AWS KMSはどのように活用されるのだろうか。例えば、HIPAA準拠が求められる医療情報システムを考えてみる。このシステムでは、患者の電子カルテデータをAmazon RDSデータベースに、レントゲン画像などの医療画像をAmazon S3バケットに保存する。この場合、まずカスタマーマネージドキーをデータベース用と画像保存用にそれぞれ作成する。そして、RDSデータベースを作成する際に、ストレージの暗号化オプションを有効にし、データベース用のKMSキーを指定する。同様に、S3バケットのプロパティでデフォルトの暗号化設定を有効にし、画像保存用のKMSキーを指定する。こうすることで、データベースとストレージに保存されるすべての機密データが、自社で管理する鍵によって暗号化され、不正なアクセスから保護される。さらに、AWS CloudTrailを利用してKMSキーの使用履歴を監視し、予期しないアクセスがないか定期的に監査することで、セキュリティ体制をより強固なものにできる。

AWSを利用したシステムセキュリティは、「共同責任モデル」という考え方に基づいている。これは、AWSがクラウドの基盤となるインフラストラクチャのセキュリティに責任を持つ一方で、その上で動作するアプリケーションやデータの保護は、利用者自身の責任であるという考え方だ。AWS KMSは、利用者がその責任を果たすための強力なツールである。S3のオブジェクト、RDSのデータベース、あるいはアプリケーション内の機密情報など、保護すべき対象が何であれ、KMSを基盤とした暗号化を導入することが不可欠である。最小権限の原則に従い、鍵のローテーションを実践し、利用状況を適切に監視することで、コンプライアンス要件を満たし、回復力のある安全なシステムアーキテクチャを構築することができる。クラウドにおけるセキュリティの未来は、あらゆる場所で暗号化を適用することにあり、AWS KMSはその実現をスケーラブルかつ実践的にサポートするサービスなのである。

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