【ITニュース解説】Top 5 Security Mistakes in AWS (and How to Avoid Them)
2025年09月08日に「Medium」が公開したITニュース「Top 5 Security Mistakes in AWS (and How to Avoid Them)」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
AWS利用時に初心者が見落としがちなセキュリティ上のミス5つと、その具体的な回避策を解説する。安全なクラウド環境を構築するため、データ漏洩や不正アクセスを防ぐ基本的な設定や運用方法を学べる内容だ。
ITニュース解説
クラウドコンピューティングサービスとして広く利用されているAWS(Amazon Web Services)は、多くの企業がビジネスを構築する上で不可欠な基盤となっている。しかし、その便利さの裏側には、常にセキュリティという重要な課題が潜んでいる。システムエンジニアを目指すなら、AWS環境を安全に保つための基本的な知識は必須だ。ここでは、AWSにおいて特に注意すべき5つのセキュリティ上の間違いと、それらを未然に防ぐための方法を詳しく解説する。
まず一つ目の間違いは、多要素認証(MFA)を導入しないことだ。MFAとは、パスワードだけでなく、スマートフォンアプリなどで生成される一時的なコードなど、複数の認証要素を組み合わせて本人確認を行う仕組みだ。AWSアカウントのルートユーザー、つまりすべての権限を持つ最高管理者アカウントや、日常的に利用するIAM(Identity and Access Management)ユーザーにMFAを設定しないことは、非常に危険だ。もしパスワードが漏洩した場合、MFAが設定されていなければ、攻撃者は簡単にアカウントに侵入し、企業のデータやリソースを自由に操作できてしまう。このリスクを回避するには、すべてのIAMユーザーとルートユーザーに対して、必ずMFAを有効にすることが必要だ。特にルートユーザーは初期設定時のみ利用し、日常的な操作には最小限の権限を持つIAMユーザーを使用するべきであり、そのIAMユーザーにもMFAを設定するのが鉄則となる。
二つ目の間違いは、セキュリティグループのルールを不必要に開放したままにしておくことだ。セキュリティグループは、AWS上の仮想サーバー(EC2インスタンスなど)へのネットワークアクセスを制御する仮想の防火壁のような機能だ。デフォルトの設定や、テスト目的で一時的にすべての通信を許可したまま放置することは、悪意のある攻撃者がサーバーに侵入する隙を与えることになる。例えば、SSH(ポート22)やRDP(ポート3389)といった管理用ポートを、インターネット上のどこからでもアクセスできるように開放してしまうと、ブルートフォース攻撃などの標的になりやすい。この間違いを避けるためには、「最小特権の原則」に基づき、必要なポートと、特定のIPアドレス(例えば自社のオフィスやVPN経由のIPアドレスなど)からの通信のみを許可するよう、セキュリティグループのルールを厳格に設定する必要がある。また、不要になったルールは速やかに削除し、定期的にセキュリティグループの設定を見直す習慣を持つことが重要だ。
三つ目の間違いは、IAMポリシーに過剰な権限を付与してしまうことだ。IAMは、AWSリソースへのアクセスをきめ細かく管理するためのサービスで、誰が、どのリソースに対して、どのような操作を許可するかを定義する「ポリシー」を作成できる。しかし、安易に「すべてのリソースへのフルアクセス」といった広範な権限を付与してしまうと、もしそのIAMユーザーの認証情報が漏洩した場合、甚大な被害につながる可能性がある。例えば、データベースへのアクセス権限は必要ないユーザーにまで付与してしまうと、情報漏洩のリスクが高まる。この間違いを防ぐためには、ここでも「最小特権の原則」が鍵となる。ユーザーやロールには、その役割を果たすために最低限必要な権限のみを付与し、それ以上の権限は与えないようにする。IAM Access AnalyzerのようなAWSのツールを活用し、定期的にIAMポリシーを監査し、過剰な権限がないか確認することも効果的だ。
四つ目の間違いは、保存されているデータ(データ・アット・レスト)と転送中のデータ(データ・イン・トランジット)の暗号化を怠ることだ。顧客情報や機密情報など、AWS上に保存されるデータは、万が一の漏洩に備えて暗号化されるべきだ。S3(オブジェクトストレージ)やRDS(リレーショナルデータベース)、EBS(ブロックストレージ)といった主要なサービスでは、保存データの暗号化機能が提供されている。これらを有効にしないことは、情報漏洩のリスクを大きく高める。また、アプリケーションとAWSサービス間の通信や、ユーザーとアプリケーション間の通信も、暗号化されていないと通信傍受のリスクがある。この間違いを回避するには、AWSが提供するストレージサービスやデータベースサービスで、保存データの暗号化機能を常に有効にすることだ。さらに、インターネット経由の通信には、TLS/SSL(HTTPS)を使用して、データが転送される経路も必ず暗号化する必要がある。
最後の五つ目の間違いは、ログの取得と監視を怠ることだ。セキュリティインシデントはいつ発生するか予測できないため、何かが起こった際に原因を特定し、迅速に対応するためには、システムの活動状況を記録したログと、それを常時監視する仕組みが不可欠だ。AWS CloudTrailは、AWSアカウント内のすべてのアクションをログとして記録するサービスであり、CloudWatchは各種メトリクスやログを収集・監視し、アラートを発するサービスだ。また、Amazon GuardDutyは、潜在的な脅威を継続的に監視し、異常を検知するインテリジェンスな脅威検出サービスだ。これらのサービスを有効にしていない、あるいは適切に設定していない場合、不正アクセスや不審な活動が発生しても、それに気づくことができず、被害が拡大する可能性がある。この間違いを防ぐためには、CloudTrailを有効にしてアカウント内の操作履歴を記録し、CloudWatchで重要なメトリクスやログを監視し、異常時にアラートが飛ぶように設定することが必須だ。さらに、GuardDutyのような脅威検出サービスを導入し、セキュリティの自動監視体制を整えることで、より強固なセキュリティ環境を構築できる。
これらの間違いと回避策を理解し、実践することは、AWS環境の安全性を確保する上で非常に重要だ。システムエンジニアを目指す者は、AWSの豊富な機能だけでなく、そのセキュリティに関する知識と実践力を身につけることが、これからのキャリアにおいて不可欠となるだろう。セキュリティは一度設定すれば終わりではなく、常に変化する脅威に対応するため、継続的な見直しと改善が求められることを忘れてはならない。