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トンネルモード(トンネルモード)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

トンネルモード(トンネルモード)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

トンネルモード (トンネルモード)

英語表記

tunnel mode (トンネルモード)

用語解説

トンネルモードとは、主にVPN(Virtual Private Network)などの技術で利用される通信方式の一つである。ネットワーク上でデータを安全に、または特定の経路を経由して送受信するために、元のデータパケット全体を新しいプロトコルのパケットで包み込む「カプセル化」を行う点が最大の特徴だ。これにより、あたかもトンネルの中を通るかのように、外部からは内部の通信内容が見えず、また特定のルールに従ってルーティングされるようになる。主に、インターネットのような信頼性の低い公共ネットワーク上で、二つのプライベートネットワーク間や、リモートのクライアントとプライベートネットワーク間の通信を、あたかも直接接続されているかのように安全かつ効率的に行う目的で用いられる。

トンネルモードの中心的な概念はカプセル化である。通常のIP通信では、送信元から宛先までデータがそのままルーティングされるが、トンネルモードではこの通常のIPパケット、すなわち元のIPヘッダとペイロード(TCP/UDPヘッダやアプリケーションデータなど)全てを、新しいパケットの「データ部分(ペイロード)」として扱う。そして、そのペイロードの周りに、新たに別のIPヘッダ(これを「外部IPヘッダ」または「トンネルIPヘッダ」と呼ぶ)と、場合によっては追加のプロトコルヘッダ(例えばIPsecヘッダなど)を付加する。この外部IPヘッダには、トンネルの入り口となるデバイスと出口となるデバイスのIPアドレスが記載される。これにより、通信経路上の中間にあるルータは、この外部IPヘッダだけを見て転送を行うため、内部にカプセル化された元のパケットの送信元・宛先情報や内容を直接参照することはない。受信側のトンネル出口デバイスは、この外部ヘッダを取り除き(カプセル解除)、元のパケットを取り出して本来の宛先に転送する。

トンネルモードには複数の重要な利点がある。 第一に、セキュリティの向上を挙げられる。特にIPsecと組み合わせる場合、カプセル化されたパケット全体が強力な暗号化アルゴリズムによって暗号化されるため、インターネット上を流れても第三者による盗聴から内容が保護される。さらに、改ざん検出機能や送信元認証機能が適用されることで、データが途中で不正に書き換えられていないか、また通信相手が正規のデバイスであるかを検証できるようになる。これは公共ネットワークにおけるプライバシーと信頼性を確保する上で極めて重要だ。 第二に、ルーティングの柔軟性と透過性がある。例えば、プライベートIPアドレス(例: 192.168.1.0/24)を持つ社内ネットワークのデバイス同士が、インターネットを介して通信する際、通常はグローバルIPアドレスに変換(NAT)する必要がある。しかし、トンネルモードを利用すれば、プライベートIPアドレスを持つ元のパケットがそのままカプセル化され、外部IPヘッダのグローバルIPアドレスを使ってルーティングされるため、あたかも同じプライベートネットワーク内にいるかのように通信が可能になる。中間ルータは外部IPヘッダのみを処理するため、内部のプライベートIPアドレスについて知る必要が一切なく、複雑なルーティング設定が不要になる。 第三に、異なるネットワークの透過的な接続が可能になる。例えば、IPv4ネットワーク上でIPv6のパケットを運んだり、特定のプロトコル(マルチキャストなど)を、そのプロトコルに対応していないネットワーク上で運んだりすることができる。これは、元のプロトコルのデータが「ただのデータ」としてカプセル化されるため、新しいプロトコルがそれを透過的に転送できるからだ。

トンネルモードは様々なネットワーク技術で利用されているが、その代表例としてIPsec (Internet Protocol Security)がある。IPsecは、IPネットワーク層でセキュリティ機能を提供するプロトコルスイートであり、VPN構築の主要な技術として広く用いられている。IPsecのトンネルモードでは、元のIPパケット全体が暗号化・認証され、新しいIPヘッダが付与される。これにより、インターネット経由での拠点間VPNやリモートアクセスVPNにおいて、安全かつプライベートな通信路が確立される。 また、GRE (Generic Routing Encapsulation)もトンネルモードを利用する汎用的なプロトコルだ。GREは、様々なネットワーク層プロトコルのパケットをIPパケットでカプセル化するためのもので、IPsecのようなセキュリティ機能は単体では持たないが、ルーティング情報を隠蔽したり、異なるプロトコルを透過させたりする目的で利用される。例えば、ルーティングプロトコルの情報をインターネット経由でやり取りする際に、GREトンネルを使用することがある。IPsecと組み合わせて、セキュリティを強化したGREトンネルを構築することも一般的だ。 その他、L2TP (Layer 2 Tunneling Protocol)などもトンネルモードの概念を用いる。これはデータリンク層(レイヤー2)のフレームをカプセル化し、IPネットワーク上で転送するための技術で、リモートアクセスVPNなどで利用される。

IPsecにはトンネルモードの他に「トランスポートモード」というもう一つのモードが存在する。トランスポートモードは、元のIPパケットのペイロード部分(TCP/UDPヘッダとデータ)のみを暗号化・認証し、元のIPヘッダはそのまま使用する。このため、元のIPヘッダ情報は外部に公開されたままだ。これに対し、トンネルモードは元のIPヘッダを含め、パケット全体を新しいIPヘッダでカプセル化するため、元のIPアドレス情報が外部から完全に隠蔽される。この違いから、トランスポートモードは主にエンドツーエンド(端末間)のセキュリティ保護に用いられるのに対し、トンネルモードはゲートウェイ間のVPNなど、ネットワークセグメント全体を安全に接続する用途や、異なるネットワークプロトコルを透過させる用途に優れている。

トンネルモードの通信は通常、以下のステップで進行する。

  1. 送信側デバイスでのパケット生成: 内部ネットワークのPCやサーバなどのデバイスが、通常の宛先IPアドレスを持つIPパケットを生成し、送信側のトンネル入り口となるゲートウェイデバイスに送信する。この時点では、まだ元のパケットである。
  2. カプセル化: トンネル入り口のゲートウェイデバイスは、受信した元のIPパケット全体を新しいプロトコルのペイロードとして扱う。そして、その周りに新しいIPヘッダ(外部IPヘッダ)を付加し、必要に応じてセキュリティ機能(暗号化、認証など)を適用する。この外部IPヘッダの送信元IPアドレスはゲートウェイ自身、宛先IPアドレスはトンネル出口のゲートウェイとなる。
  3. トンネル経由での転送: カプセル化され、外部IPヘッダが付加されたパケットは、インターネットなどの公共ネットワーク上を、外部IPヘッダに記述された送信元・宛先情報に基づいて転送される。通信経路上の中間にあるルータは、外部IPヘッダしか見ないため、元のパケットの内部構造やIPアドレスを知ることはない。これにより、内部ネットワークの構造が外部から隠蔽される。
  4. カプセル解除: トンネル出口となるゲートウェイデバイスがカプセル化されたパケットを受信すると、まず外部IPヘッダを取り除き、必要であれば復号化や認証情報の検証を行う。
  5. 元のパケットの転送: 復元された元のIPパケットは、本来の宛先IPアドレス(内部ネットワークのデバイス)へ向けて、通常のルーティングに従って転送される。これにより、受信側のデバイスは、カプセル化のプロセスを意識することなくデータを受け取ることができる。

システムエンジニアを目指す上で、トンネルモードは現代のネットワークセキュリティや広域ネットワーク接続の基盤となる極めて重要な概念である。特にVPN技術を理解するためには不可欠であり、企業ネットワークやクラウド環境における安全で柔軟な通信を実現する上で、その仕組みと利点をしっかりと把握しておくことは、実践的なスキルを習得する上で大いに役立つだろう。

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