USB 2.0(ユーエスビーニテンゼロ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
USB 2.0(ユーエスビーニテンゼロ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ユーエスビー2.0 (ユーエスビーニテンゼロ)
英語表記
USB 2.0 (ユーエスビー ツーオー)
用語解説
USB 2.0は、コンピュータと周辺機器を接続するためのシリアルバス規格であるUniversal Serial Bus(USB)の主要なバージョンの一つである。その登場は2000年4月に遡り、それまでのUSB 1.xと比較してデータ転送速度が飛躍的に向上したことで、PC周辺機器の接続性と利便性を大きく変革した。この規格は、特に「Hi-Speed USB」という通称でも知られ、その名の通り高速なデータ通信を可能にした点が最大の特徴である。USB 2.0の登場により、外付けハードディスク、デジタルカメラ、ビデオカメラ、プリンター、スキャナーなど、より高速なデータ転送を必要とする多種多様なデバイスがPCと容易に接続できるようになり、デジタルライフの利便性が格段に向上した。
USB 2.0の最も顕著な進化点は、そのデータ転送速度にある。最大で480Mbps(メガビット毎秒)という理論上の転送速度を実現し、これは従来のUSB 1.1の最大12Mbpsと比較して約40倍の高速化にあたる。この高速化により、大容量のファイルを短時間で転送することが可能になり、例えば数十メガバイトの写真データをデジタルカメラからPCへ転送する際や、外付けストレージにファイルをバックアップする際の待ち時間が大幅に短縮された。ただし、この480Mbpsという速度はあくまで理論値であり、実際のデータ転送速度は、接続するデバイスの種類、ケーブルの品質、コンピュータの処理能力、OSのオーバーヘッドなど、さまざまな要因によって変動し、通常は理論値よりも低い実効速度となる。それでも、その高速性はUSB 1.xとは比較にならないほど優れており、当時の多くのユーザーにとって画期的な進歩であった。
USB 2.0は、三つの異なる速度モードをサポートしている。最も遅いモードは「Low-Speed」で、最大1.5Mbpsの速度を持つ。これは主に、データ転送量が少なく、遅延に敏感ではないHuman Interface Device(HID)と呼ばれるキーボードやマウスなどの入力デバイスに用いられる。次に「Full-Speed」モードがあり、これはUSB 1.1と同じ最大12Mbpsの速度である。このモードは、Full-Speed対応のUSB 1.xデバイスや、Webカメラ、一部のオーディオデバイスなど、Hi-Speedほどの速度を必要としないデバイスで利用された。そして、USB 2.0の真骨頂である「Hi-Speed」モードが最大480Mbpsの速度を提供し、高速なデータ転送を要求されるデバイス、例えば外付けハードディスクや高速プリンター、高解像度スキャナーなどに適用された。USB 2.0のホストコントローラは、接続されたデバイスがどの速度モードに対応しているかを自動的に認識し、最適な速度で通信を行うことができるため、ユーザーは速度モードを意識することなくデバイスを利用できた。
コネクタの種類についても、USB 2.0は広く普及した多くのタイプをサポートしている。最も一般的なのは、コンピュータ本体やUSBハブ側に接続される長方形の「Type-A」コネクタと、周辺機器側に接続される四角い「Type-B」コネクタである。これらに加えて、より小型のデバイス向けに「Mini-B」や「Micro-B」といった小型コネクタも普及した。特にMini-Bコネクタはデジタルカメラや一部の携帯電話などで広く採用され、Micro-Bコネクタはスマートフォンの充電・データ転送ポートとして一時期デファクトスタンダードとなった。これらのコネクタは、形状が異なるため誤った向きで挿入することがなく、またケーブルの抜き差しが容易な「ホットプラグ」に対応しているため、コンピュータの電源を入れたままでも安全に接続・切断が可能であった。
USB 2.0のもう一つの重要な機能は、電力供給能力である。USBポートは、5Vの電圧で最大500mA(ミリアンペア)の電流を供給することが可能であった。この電力供給能力により、多くの小型周辺機器は専用のACアダプターなしでUSBポートから直接電力を受け取ることができ、ケーブルの数を減らし、電源コンセントの消費を抑えることができた。外付けハードディスクやDVDドライブなど、より多くの電力を必要とするデバイスの場合には、複数のUSBポートから電力を供給するY字ケーブルを使用したり、外部電源を併用したりする必要があったが、マウス、キーボード、USBメモリなどの多くのデバイスは、このバスパワー供給で十分機能した。
USB 2.0は、下位互換性も重要な特徴として持っていた。これは、USB 2.0ポートにUSB 1.x規格のデバイスを接続した場合でも、そのデバイスが持つ本来の速度(最大12Mbpsまたは1.5Mbps)で動作するという意味である。逆に、USB 2.0デバイスをUSB 1.xポートに接続した場合は、USB 1.xの速度に制限されて動作することになる。この優れた互換性のおかげで、ユーザーは新しいUSB 2.0対応のコンピュータやハブを導入しても、手持ちの古いUSBデバイスをそのまま利用でき、またその逆も可能であったため、規格移行期の混乱を最小限に抑え、USB規格全体の普及を強力に後押しした。
USBのアーキテクチャは、ホスト(マスター)とデバイス(スレーブ)からなるツリー構造を基本とする。USB 2.0もこの基本構造を踏襲しており、コンピュータなどのホストコントローラが通信全体を管理し、デバイスとのデータ転送を制御する。ホストは、接続されているデバイスに対して定期的にポーリングを行い、データ転送の要求やステータスの確認を行う。この制御方式により、複数のデバイスが同時に接続されていても、ホストが一元的に通信を管理し、安定したデータ転送を保証することが可能であった。また、USBハブを利用することで、一つのUSBポートからさらに多くのUSBデバイスを接続できる柔軟性も備えていた。
USB 2.0は、その登場によって当時のコンピュータ周辺機器市場に大きな影響を与え、多くのデバイスがこの規格に対応した。しかし、デジタルコンテンツの大容量化や高速通信への要求は止まることなく、やがて480Mbpsの転送速度でも不足を感じる場面が増えていった。特に、高精細な動画データや非常に大容量のファイルを取り扱う際には、さらなる高速化が求められるようになった。このような背景から、USB 2.0の後継規格として、さらに高速なデータ転送を実現するUSB 3.0(現在のUSB 3.2 Gen 1)が開発され、USBの進化は現在も続いている。それでも、USB 2.0はその優れた互換性と普及率の高さから、今なお多くの古い機器や一部のシンプルなデバイスにおいて利用され続けており、ITの歴史における重要なマイルストーンとしての役割を果たした規格である。