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VNC(ブイエヌシー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

VNC(ブイエヌシー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ブイエヌシー (ブイエヌシー)

英語表記

VNC (ブイエヌシー)

用語解説

VNC (Virtual Network Computing) は、ネットワーク経由でコンピュータのデスクトップ環境を遠隔操作するためのシステムである。これはリモートデスクトッププロトコルの一種であり、インターネットやローカルネットワークを通じて、まるで目の前にあるかのように別のコンピュータのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を操作することを可能にする。VNCは、サーバーとクライアント(ビューア)という二つの主要なコンポーネントから構成され、様々なオペレーティングシステム(OS)間で利用できるクロスプラットフォーム性が最大の特徴の一つである。

VNCは1990年代後半にイギリスのAT&Tケンブリッジ研究所で開発された。その目的は、ネットワークに接続された任意の場所から、別のコンピュータのGUIを効率的に操作できるようにすることであった。VNCは特定のOSに依存しない汎用的なリモートアクセス技術として設計されており、その基盤となるプロトコルはRFB (Remote Framebuffer Protocol) と呼ばれる。RFBプロトコルは、リモートコンピュータの画面表示を「フレームバッファ」という抽象的な概念として扱い、その内容をネットワーク経由でクライアントに転送する仕組みを提供する。

VNCの動作原理は比較的シンプルである。まず、リモート操作される側のコンピュータにVNCサーバーソフトウェアをインストールし、実行する。VNCサーバーは、そのコンピュータのグラフィカルな画面イメージを定期的に取得し、これをRFBプロトコルに従ってデータに変換する。この際、画面全体を毎回転送するのではなく、前回の転送時からの変更点(差分)のみを検出して送信することで、ネットワーク帯域の消費を抑え、効率的なデータ転送を実現している。さらに、転送される画面データは圧縮されることが多く、これによりパフォーマンスが向上する。

次に、操作する側のコンピュータにはVNCビューア(クライアント)ソフトウェアをインストールする。VNCビューアはVNCサーバーに接続し、サーバーから送られてくる画面データをリアルタイムで受け取って表示する。ユーザーがVNCビューア上でマウスを動かしたり、キーボードを操作したりすると、その入力情報(マウスカーソルの位置、クリック、キー入力など)はVNCビューアからVNCサーバーへと送信される。VNCサーバーはこの入力情報を受け取ると、あたかもローカルで操作されているかのように、リモートコンピュータのOSにその操作を反映させる。これにより、遠隔地のコンピュータをあたかも手元で操作しているかのような感覚で利用できるのだ。

VNCの最も大きな利点の一つは、前述の通りそのクロスプラットフォーム性にある。Windows、macOS、Linux、UNIXといった多様なOS上でVNCサーバーやビューアが提供されており、例えばWindows PCからLinuxサーバーを操作したり、macOSからWindowsデスクトップに接続したりすることが可能である。これにより、異なる環境が混在するITインフラにおいて、一貫したリモート管理ツールとしてVNCを利用できる。また、VNCの多くの実装はオープンソースとして提供されており、無償で利用できる点も広く普及した要因の一つである。

VNCは様々なシーンで活用されている。システムエンジニアにとっては、データセンターに設置された物理サーバーや仮想サーバーの遠隔メンテナンス、トラブルシューティング、ソフトウェアのインストール作業などに非常に有用である。特にGUIベースのアプリケーションや設定ツールを操作する必要がある場合に、SSHなどのCUIベースの接続では対応できない部分を補完する。また、リモートワーク環境においては、会社のPCを自宅から操作するために使われたり、ITサポートにおいてはユーザーのPCを遠隔で見て問題を解決したりする際にも利用される。教育現場では、講師のPC画面を複数の生徒に共有するといった用途もある。

しかし、VNCを利用する際にはいくつかの注意点もある。特にセキュリティ面は重要である。RFBプロトコル自体は、データの暗号化機能を標準で持たない場合があるため、VNC通信が盗聴されるリスクが存在する。このため、VNC接続を行う際には、VPN (Virtual Private Network) やSSH (Secure Shell) トンネルと組み合わせて通信を暗号化したり、SSL/TLSに対応したVNC実装を利用したりすることが強く推奨される。また、VNCサーバーには必ず強固なパスワードを設定し、不正アクセスを防ぐ必要がある。ファイアウォールで特定のIPアドレスからの接続のみを許可するなどの対策も有効である。

パフォーマンスに関しても、ネットワークの帯域幅や遅延が直接影響するため、低速な回線や高遅延の環境では画面の更新が遅れたり、操作にタイムラグが生じたりすることがある。VNCの実装によっては、画質を落とす、色の深さを減らす、圧縮率を高めるなどの設定でパフォーマンスを最適化できる場合もあるが、ネットワーク環境に起因する限界はある。

VNCには、RealVNC、TightVNC、UltraVNC、TigerVNCなど、様々な開発元による多様な実装が存在し、それぞれに独自の機能や最適化が加えられている。通常、VNCサーバーはTCPの5900番台のポート(例えばディスプレイ0に対しては5900番、ディスプレイ1に対しては5901番など)を使用する。リモートからVNCサーバーに接続するためには、ネットワークのファイアウォール設定でこれらのポートを適切に開放したり、ルーターでポートフォワーディングを設定したりする必要がある。VNCは、その汎用性と柔軟性から、ITインフラの管理やリモートアクセスにおいて不可欠な技術の一つであり、システムエンジニアを目指す者にとって基本的な知識となる。

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