WSDL(ダブリューエスディーエル)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
WSDL(ダブリューエスディーエル)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ウェブサービス記述言語 (ウェブサービス記述言語)
英語表記
WSDL (ダブリューエスディーエル)
用語解説
WSDL(Web Services Description Language)は、Webサービスがどのような機能を提供し、どのように利用できるかを記述するためのXMLベースの言語である。これは、Webサービスの「説明書」や「契約書」のようなものであり、人間が直接読むよりも、ソフトウェアが自動的に解析して利用することを主な目的としている。異なるシステム間で連携する際に、お互いが相手のサービスを正確に理解し、円滑に通信するために不可欠な技術である。特にSOAP(Simple Object Access Protocol)をベースとしたWebサービスと組み合わせて使われることが非常に多い。
なぜWSDLが必要なのか、その背景を説明する。現代のITシステムは、単独で存在するのではなく、多くのシステムが連携し合って一つの大きな機能を実現することが一般的である。例えば、ECサイトが商品の在庫情報を取得するために倉庫管理システムと連携したり、クレジットカード決済のために外部の決済サービスと連携したりする場合などがある。このような連携において、あるシステムが提供する機能(Webサービス)を別のシステムが利用しようとする際、利用側は提供側のサービスが「どんな操作を提供しているのか」「その操作にはどんな情報(データ)を渡せばよいのか」「結果としてどんな情報が返ってくるのか」「どの通信方法で、どのアドレスにアクセスすればよいのか」といった詳細な情報を知る必要がある。もしこの情報が不足していたり、人間が手動で共有していたりすると、誤解や誤実装の原因となり、開発効率も大きく低下してしまう。WSDLは、これらの情報を機械が読み取り可能な統一された形式で記述することで、上記の問題を解決する。
WSDLファイルは、Webサービスが提供する機能に関する複数の情報を構造的に記述する。主な記述内容は以下の通りである。まず、「Types」という部分では、サービス間でやり取りされるデータ(メッセージ)の型を定義する。これはXML Schemaという別のXMLベースの言語を使って記述され、例えば「商品IDは整数型である」「顧客情報は氏名と住所と電話番号からなる構造である」といった具体的なデータの形式や制約を定める。次に、「Messages」では、そのTypesで定義されたデータ型を参照して、Webサービスが送受信するメッセージの具体的な構成を定義する。つまり、「この操作の入力メッセージは商品IDと数量からなる」「出力メッセージは注文番号と合計金額からなる」といったことを明確にする。
さらに重要な要素として「PortType」がある。これはWebサービスが外部に提供する「操作」の集合、つまりサービスの「インターフェース」を定義する部分である。たとえば、「商品を注文する」「在庫を問い合わせる」「顧客情報を更新する」といった具体的な機能がここで定義され、それぞれの操作がどのような入力メッセージを受け取り、どのような出力メッセージを返すかが示される。このPortTypeは、Webサービスが「何ができるか」の抽象的な定義を提供する。
そして「Binding」は、PortTypeで定義された抽象的な操作が、実際にどのような通信プロトコルとメッセージ形式で実装されるかを具体的に定義する部分である。例えば、「商品の注文」という操作はSOAP over HTTPを使って実行され、メッセージはリモートプロシージャコール(RPC)スタイルで送受信される、といった詳細が記述される。これにより、サービスの実装方法が明確になる。最後に「Service」は、Bindingで定義された具体的な通信方法を持つWebサービスが、ネットワーク上のどこに存在するかを示す、具体的なアクセスアドレス(エンドポイントURL)の集合である。つまり、実際に「このアドレスにアクセスすれば、あのサービスが利用できる」という情報を提供する。
これらのWSDLの構成要素が連携することで、Webサービスに関するあらゆる情報が一つのファイルに集約され、機械が解析可能な形で提供される。このことによって、WSDLにはいくつかの大きなメリットが生まれる。まず、自動化の促進である。開発ツールはWSDLファイルを読み込むことで、クライアント側がWebサービスを呼び出すためのプログラムコード(スタブと呼ばれる)や、サーバー側でサービスを実装するための骨格となるコード(スケルトンと呼ばれる)を自動的に生成できる。これにより、開発者は通信の細かな部分を意識することなく、ビジネスロジックの実装に集中できるため、開発効率が大幅に向上し、ヒューマンエラーも減少する。
次に、相互運用性の確保である。WSDLは特定のプログラミング言語やオペレーティングシステムに依存しないXML形式で記述されるため、Javaで開発されたサービスを.NETで開発されたクライアントが利用するといった、異なるプラットフォームや言語間での連携が容易になる。WSDLは共通の「約束事」として機能し、多様なシステム間の障壁を取り除く。
また、WSDLはWebサービス提供者と利用者の間の「契約書」の役割も果たす。サービス提供者はWSDLを公開することで、どのようなサービスを提供し、どのように利用してほしいかを明示する。サービスに変更があった場合も、WSDLを更新して再公開することで、変更内容を明確に伝えることができ、利用者側はその更新されたWSDLを元にクライアントコードを再生成するだけで、新しいサービスに対応することが可能になる。これにより、システム連携における手動での情報伝達や調整の手間を大幅に削減し、ミスコミュニケーションを防ぐ。
WSDLは、SOAPと非常に密接な関係にある。SOAPはWebサービスでメッセージをやり取りするためのプロトコルであり、メッセージの構造や通信方法を定義する。一方、WSDLはそのSOAPメッセージを使って「具体的にどのようなサービスが提供され、どのようにそのサービスを利用すればよいのか」を記述する。SOAPメッセージの形式や送受信のルールをSOAP自体が定めているのに対し、WSDLはそのSOAPを「どのように適用するか」というアプリケーションレベルの詳細情報を提供する役割を担っていると言える。
今日のIT業界では、RESTful APIが注目を集め、OpenAPI Specification(旧Swagger)のような異なるAPI記述言語も広く使われている。しかし、SOAPとWSDLは、特にエンタープライズ分野や、セキュリティ、トランザクションの確実性、厳密なメッセージングが求められるシステムにおいて、依然として多くの重要な場面で利用され続けている基盤技術である。システムエンジニアを目指す上で、WSDLがWebサービス連携の自動化と標準化に果たしてきた役割と、その詳細な記述内容を理解することは、複雑な分散システムを構築・運用するために非常に価値のある知識となる。