WWPN(ダブリューダブリューピーエヌ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
WWPN(ダブリューダブリューピーエヌ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ワールドワイドポート名 (ワールドワイドポートメイ)
英語表記
WWPN (ダブリューダブリューピーエヌ)
用語解説
WWPN(World Wide Port Name)は、ファイバーチャネル(Fibre Channel; FC)ストレージ環境において、特定のポートを一意に識別するために用いられる64ビットのアドレスである。これは、サーバとストレージを高速で接続するSAN(Storage Area Network)環境において、デバイス間の通信経路を確立し、セキュリティを確保するための基盤となる重要な識別子だ。ちょうどコンピュータネットワークにおけるMACアドレスがネットワークインターフェースを識別するのと同様に、WWPNはFCネットワークに接続される各物理ポートを一意に識別する役割を担っている。
WWPNは、サーバに搭載されるHBA(Host Bus Adapter)のポート、FCスイッチのポート、ストレージ装置のポートといった、FCネットワークに直接接続される全ての物理ポートに割り当てられる。このアドレスはIEEEによって管理されるOUI(Organizationally Unique Identifier)とベンダー固有の識別子から構成されており、世界中で重複することのないユニークな値として保証されている。HBAなどのデバイスは工場出荷時にこのWWPNがファームウェアに書き込まれており、通常、ユーザーが手動で変更することはできない。システムエンジニアは、SAN環境を構築したり管理したりする際に、各デバイスのWWPNを確認し、設定に利用することが必須となる。
FCネットワークは、大量のデータを高速かつ信頼性高く転送するために設計されており、その複雑な経路の中で正確なデバイス識別と制御が求められる。WWPNは、その識別と制御の最も基本的な要素として機能する。例えば、FCスイッチは、WWPNに基づいて、どのサーバのどのHBAポートが、どのストレージのどのポートに接続されているかを認識し、適切なデータ転送経路を確立するためのルーティングを行う。
WWPNがシステム運用において特に重要な役割を果たすのは、「ゾーニング」と「LUNマッピング(またはLUNマスキング)」という二つの主要なアクセス制御機能においてだ。
ゾーニングは、FCスイッチの機能の一つで、特定のWWPNを持つホストポートとストレージポートの間でのみ通信を許可する設定である。SAN環境では複数のサーバが同じFCスイッチを介してストレージに接続されることが一般的だが、ゾーニングを設定することで、あるサーバが別のサーバに割り当てられたストレージ領域(LUN)に誤ってアクセスするのを防ぎ、データの一貫性とセキュリティを維持する。ゾーニングの設定を行う際には、アクセスを許可したいサーバのHBAポートのWWPNと、アクセスさせたいストレージのポートのWWPNを明確に指定する必要がある。これにより、意図しないデバイスからのアクセスを制限し、ストレージリソースを論理的に分離して管理することが可能になる。
LUNマッピングは、ストレージ装置側で行われる設定であり、特定のWWPNを持つホストに対してのみ、ストレージ内の特定のLUNへのアクセスを許可する機能である。ゾーニングがFCスイッチレベルでの通信経路の制御であるのに対し、LUNマッピングはストレージ装置レベルでのアクセス権限の制御と考えることができる。これら二つの機能は組み合わせて利用されることで、より強固なデータセキュリティとストレージ管理を実現する。システムエンジニアは、サーバにストレージ領域を割り当てる際、これらのWWPNに基づいた設定を正確に行う知識が求められる。
さらに、WWPNはSAN環境におけるトラブルシューティングや高可用性(HA)構成の実現においても不可欠である。FCネットワークに通信障害が発生した場合、WWPNを参照することで、どのHBAのどのポート、あるいはどのストレージポートで問題が発生しているのかを迅速に特定できるため、問題解決までの時間を短縮できる。また、マルチパスI/O(MPIO)のような高可用性技術では、複数のHBAポート(それぞれ異なるWWPNを持つ)を通じてストレージへの冗長なパスを確立し、パスの一つに障害が発生しても別のパスでデータ転送を継続できるようにする。この際も、WWPNが各パスの識別子として機能し、安定したサービス提供を支える。
WWPNとよく似た名称で「WWNN(World Wide Node Name)」というものがあるが、両者には明確な違いがある。WWNNは、HBAカード全体やFCスイッチ全体など、ノード(デバイス)全体を一意に識別する64ビットのアドレスである。これに対し、WWPNはノード内の個々のポートを一意に識別する。例えば、デュアルポートHBA(2つのポートを持つHBA)の場合、WWNNは一つだが、各ポートにはそれぞれ異なるWWPNが割り当てられる。SAN環境においては、具体的なデータ経路を構成する上で個々のポートの識別が極めて重要となるため、WWPNの方がより頻繁に利用され、その理解が不可欠となる。
このように、WWPNは単なる数値の羅列ではなく、SAN環境におけるデータセキュリティ、アクセス制御、高可用性、そして障害発生時の迅速な対応を支える極めて重要な要素である。システムエンジニアを目指す上で、WWPNの概念とその役割を正しく理解することは、FCストレージ環境を扱う上で避けて通れない基礎知識であり、安全で効率的なシステム運用を実現するための第一歩となる。