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HBA(エイチビーエー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

HBA(エイチビーエー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ホストバスアダプタ (ホストバスアダプタ)

英語表記

Host Bus Adapter (ホストバスアダプタ)

用語解説

HBAはHost Bus Adapterの略称であり、コンピュータのホストシステム(サーバなど)を、外部のストレージ装置やネットワークに接続するために使用されるハードウェアデバイスである。一般的には、サーバのマザーボード上にあるPCI Expressなどの拡張スロットに装着される拡張カードの形態をとる。その主な役割は、ホストコンピュータのCPUに代わってデータ転送に関する複雑なプロトコル処理を実行し、CPUの負荷を軽減しながら、高速かつ安定したデータ通信を実現することである。コンピュータ内部のデータバスと、外部のストレージやネットワークが使用するバスやプロトコルとの間の橋渡し役を担う、専門的なインターフェースと言える。マザーボードに標準で搭載されているSATAやUSBのコントローラも広義にはHBAの一種と見なせるが、ITインフラの文脈でHBAという用語が使われる場合、多くはFibre ChannelやSAS、iSCSIといったエンタープライズ向けの高性能なストレージ接続に特化した専用カードを指す。

HBAには接続するストレージやネットワークのプロトコルに応じていくつかの種類が存在する。最も代表的なものがFibre Channel HBA(FC HBA)である。これは、主にSAN(Storage Area Network)と呼ばれるストレージ専用の高速ネットワーク環境で利用される。FC HBAは、サーバとストレージアレイ(多数のディスクを搭載した大型のストレージ装置)をFibre Channelプロトコルを用いて接続する。光ファイバーケーブルを使用することで、高速なデータ転送と長距離伝送を実現し、高い信頼性とパフォーマンスが求められる大規模なデータベースシステムや仮想化基盤で広く採用されている。各FC HBAにはWWN(World Wide Name)という世界で一意の識別子が割り当てられており、これによってSAN環境での正確なデバイス認識とアクセス制御が可能となる。

次に、SAS HBA(Serial Attached SCSI HBA)が挙げられる。これは、サーバとストレージ装置をSAS(Serial Attached SCSI)プロトコルで接続するためのインターフェースである。SASは、主にサーバに直接接続するストレージ(DAS: Direct Attached Storage)や、多数のディスクを格納するJBOD(Just a Bunch Of Disks)エンクロージャの接続に用いられる。FC HBAに比べて安価で、サーバ内部や近距離での高速なストレージ接続に適している。ここで注意すべきは、SAS RAIDコントローラとの違いである。SAS HBAは基本的にストレージとの接続とデータ転送に特化しており、RAID機能を持たない。一方、SAS RAIDコントローラは、複数のディスクを束ねて冗長性や性能を向上させるRAID処理を行う専用のプロセッサとキャッシュメモリを搭載している。用途に応じて、単純な接続のみが必要な場合はSAS HBA、RAID構成が必要な場合はRAIDコントローラを選択する。

また、IPネットワークを利用してストレージを接続する技術としてiSCSIがあり、その通信を専門に処理するのがiSCSI HBAである。iSCSIは、既存のEthernet(LAN)環境上でSCSIコマンドをTCP/IPパケットにカプセル化して送受信するプロトコルである。通常のLANカード(NIC)とソフトウェア(ソフトウェアiSCSIイニシエータ)を使ってもiSCSI通信は可能だが、その場合、TCP/IP処理やiSCSIプロトコル処理をCPUが実行するため、CPUに負荷がかかる。iSCSI HBAは、これらの処理をカード上の専用プロセッサで実行するハードウェアオフロードエンジンを搭載しており、CPUの負荷を大幅に削減し、より高性能で安定したiSCSI通信を実現する。

さらに、HPC(High-Performance Computing)などの超高速な通信が求められる分野では、InfiniBand HBAが使用される。これは、非常に低い遅延(レイテンシ)と高い帯域幅(スループット)を特徴とするInfiniBandネットワークにサーバを接続するためのアダプタである。厳密にはHCA(Host Channel Adapter)と呼ばれることが多い。InfiniBand HBAの特筆すべき機能としてRDMA(Remote Direct Memory Access)があり、これによりCPUを介さずにサーバ間のメモリで直接データを転送できるため、通信におけるCPUの介在を最小限に抑え、極めて効率的なデータ交換が可能となる。

HBAがシステムにおいて果たす役割は、単なる物理的な接続インターフェースにとどまらない。前述の通り、最も重要な役割はプロトコル処理のオフロードによるCPU負荷の軽減である。これにより、CPUはアプリケーションの実行という本来のタスクにリソースを集中させることができ、システム全体のパフォーマンス向上に大きく貢献する。また、一部のHBAは、接続された外部ストレージからOSを起動する「Boot from SAN」や「Boot from DAS」といった機能をサポートしている。これにより、サーバ本体に内蔵ディスクを持たないディスクレス構成が可能となり、サーバの管理や交換が容易になるというメリットがある。システムの可用性を高めるためには、HBAを2枚以上サーバに搭載し、それぞれを異なる経路でストレージに接続するマルチパス構成を組むことが一般的である。これにより、片方のHBAやケーブル、スイッチに障害が発生しても、もう一方の経路でストレージへのアクセスを継続でき、単一障害点を排除することが可能となる。このように、HBAは現代のエンタープライズシステムにおいて、サーバとストレージを結びつけ、性能、信頼性、拡張性を支える上で不可欠なコンポーネントである。

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