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【ITニュース解説】オンプレミス回帰が起きる中「プライベートクラウド」を打ち出すBroadcomの思惑

2025年09月22日に「TechTargetジャパン」が公開したITニュース「オンプレミス回帰が起きる中「プライベートクラウド」を打ち出すBroadcomの思惑」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

クラウドから自社施設運用(オンプレミス)へ回帰する企業が増える中、BroadcomはVMwareを「AIネイティブ」なプライベートクラウド基盤として再定義する戦略を打ち出した。これにより、企業は自社環境でAI開発を安全かつ効率的に進められる。

ITニュース解説

ITインフラのトレンドは常に変化しており、システムエンジニアを目指す上でその動向を理解することは非常に重要である。近年、IT業界ではクラウドコンピューティングが主流となり、多くの企業が自社のシステムをインターネット上に構築されたクラウド環境へ移行してきた。しかし、現在その流れに変化が見られ、「オンプレミス回帰」という新たなトレンドが注目されている。このような状況下で、半導体やソフトウェアを手掛けるBroadcom(ブロードコム)が、買収したVMware(ヴイエムウェア)の技術を「AIネイティブ」なプライベートクラウド基盤として再定義する戦略を打ち出しており、その背景にある思惑を理解することは、これからのITインフラの方向性を読み解く上で役立つ。

まず、基本的な用語について解説する。ITシステムを動かす基盤には、大きく分けて「オンプレミス」と「クラウド」がある。「オンプレミス」とは、企業が自社の施設内にサーバーやネットワーク機器といったITインフラを物理的に設置し、自社で全てを管理・運用する形態を指す。この方式では、システムに対する自由度が高く、セキュリティ面でも自社のポリシーを徹底しやすいというメリットがある一方で、初期費用が高額になり、機器の調達やメンテナンス、電力消費など、運用にかかる手間とコストが大きいという課題がある。

これに対し、「クラウド」はインターネット経由でサーバー、ストレージ、データベース、ソフトウェアなどのIT資源を利用する形態である。クラウドには、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure(アジュール)のように、不特定多数のユーザーが共有するサービスを指す「パブリッククラウド」と、特定の企業や組織専用に構築・運用される「プライベートクラウド」の二種類が存在する。パブリッククラウドは、必要な時に必要な分だけリソースを利用でき、初期投資を抑え、運用負担を軽減できる点が大きな魅力である。また、急なシステム負荷の増大にも柔軟に対応できるスケーラビリティも特徴の一つだ。一方、プライベートクラウドは、自社専用の環境であるため、パブリッククラウドの利便性を享受しつつ、オンプレミスに近いセキュリティやカスタマイズ性を実現できる。

これまで多くの企業が、オンプレミスが抱えるコストや管理負担の課題を解決するためにパブリッククラウドへの移行を進めてきた。しかし、パブリッククラウドの利用が進むにつれて新たな課題も顕在化してきた。その一つが、想定以上の運用コスト増大である。特に大規模なシステムや常時稼働が必要なシステムの場合、利用量に応じた課金体系であるパブリッククラウドのコストが、長期的に見るとオンプレミスやプライベートクラウドよりも高くなるケースがある。また、自社の重要なデータを外部のパブリッククラウドに預けることに対するセキュリティやデータ主権(データの保存場所や管理権限)への懸念、さらには特定の規制やコンプライアンス要件を満たすことの難しさも、パブリッククラウドのみに依存する戦略を見直すきっかけとなっている。このような背景から、再びオンプレミスやプライベートクラウドの価値が見直され、最適なITインフラのあり方を模索する「オンプレミス回帰」の動きが加速しているのだ。

Broadcomが打ち出した戦略は、この「オンプレミス回帰」の潮流を捉えつつ、今後のIT業界の主役となると予想される「AI(人工知能)」のニーズに応えるものである。Broadcomが買収したVMwareは、仮想化技術の分野で長年にわたりリーダーシップを確立してきた企業である。仮想化技術とは、一台の物理サーバー上に複数の仮想的なサーバー(仮想マシン)を動かす技術であり、物理リソースを効率的に活用し、柔軟なITインフラを構築する上で不可欠なものとなっている。多くの企業のオンプレミス環境やプライベートクラウドは、VMwareの技術を基盤として構築されている。

Broadcomは、このVMwareの技術を「AIネイティブ」なプライベートクラウド基盤として再定義することを提唱している。「AIネイティブ」とは、AIのワークロード(処理)を実行するために最適化された環境や設計を意味する。AI、特に大規模な機械学習モデルの学習や推論には、膨大なデータ処理能力と高性能な計算資源(特にGPUというグラフィック処理装置)が要求される。従来の汎用的なサーバー環境では、これらの高負荷なAIワークロードを効率的に処理することは難しい場合があった。

Broadcomの戦略は、VMwareの仮想化技術とAIのニーズを融合させることで、企業が自社でAI開発や運用を行う際に直面する課題を解決しようとするものだ。プライベートクラウド環境でVMwareの仮想化技術を用いることで、GPUなどの高性能ハードウェアリソースを複数のAIワークロード間で柔軟かつ効率的に共有・割り当てることが可能になる。これにより、企業は高額なAI専用ハードウェアを無駄なく活用でき、AIモデルの学習時間を短縮し、開発サイクルを加速できる。また、データが自社の管理下にあるプライベートクラウド内でAI処理を行うため、機密性の高いデータを扱うAI開発において、セキュリティやデータプライバシー、規制順守といった懸念を払拭しやすいという大きなメリットがある。

Broadcomの思惑は、単に「オンプレミス回帰」のトレンドに乗るだけでなく、AI時代の新たなITインフラ需要を先取りすることにある。パブリッククラウドが全てのAIワークロードに最適とは限らないという見方から、特に高いパフォーマンス、データ主権、セキュリティが求められるAI分野において、自社管理のプライベートクラウドが重要な選択肢となることを訴求しているのだ。既存のVMwareユーザー基盤を強みとして、AIをビジネスの中心に据える企業に対し、BroadcomはVMware技術を基盤とした高性能でセキュアなAIプライベートクラウドを提供することで、市場でのリーダーシップを維持・強化しようとしている。これは、パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスといった多様な選択肢の中で、企業がそれぞれのメリット・デメリットを考慮し、最適なITインフラを構築していく時代の到来を示唆している。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このようなインフラ選択の複雑性と、その中で各ベンダーがどのような戦略を打ち出しているかを理解することは、今後のキャリアを築く上で不可欠な視点となるだろう。

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