【ITニュース解説】Video Games Weekly: It's weird that esports is segregated by gender
2025年09月12日に「Engadget」が公開したITニュース「Video Games Weekly: It's weird that esports is segregated by gender」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
eスポーツ界では、プロ選手が女性の競技能力を性差で問題視する発言が物議を醸した。しかし、生物学的な性差がゲーム能力に影響する科学的根拠はない。女性プロ選手が少ないのは、性差別が根底にあるためで、業界全体の意識改革とサポート強化が求められる。
ITニュース解説
今回のニュース記事は、現代のゲーム業界が直面する多岐にわたる課題と発展について報じている。特に、eスポーツにおけるジェンダー問題、新作ゲームの動向、そしてゲーム開発業界の労働環境に関する重要な情報が含まれている。
まず、記事の大部分を占めるのがeスポーツのジェンダー(性別)問題である。プロのリーグ・オブ・レジェンド(LoL)プレイヤーであるBwipo氏が、女性プレイヤーの身体的な特徴や月経周期が競技パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があるという見解をライブ配信で述べ、これが大きな波紋を呼んだ。彼の発言は、他のプレイヤー、コメンテーター、ファンから多くの批判を受け、最終的に所属チームから出場停止処分が下され、彼は謝罪と反省の意を示した。
記事は、Bwipo氏の具体的な発言内容を引用しつつ、その見解に強く反論している。生物学的な性差がビデオゲームのスキルに優劣をもたらすという考えは誤りであり、女性やノンバイナリーのプレイヤーが男性に比べて競争力のあるゲームに関心がない、あるいはスキルが低いという生理学的な根拠はないと断言する。性別そのものがマウスのクリック速度、画面のスキャン能力、高強度な状況での戦略立案といったゲームプレイの能力に影響を与えることはなく、プログラムのコードはプレイヤーの性別に関わらず同じように反応すると指摘する。
しかしながら、記事はBwipo氏が最初に述べた「女性プロプレイヤーへのサポート不足」という点には同意を示している。彼の結論は的外れであったとしても、メインストリームのプロeスポーツシーンに男性以外のプレイヤーが極端に少ないという現状の「不可解な問題」は依然として存在すると述べる。
現在のプロeスポーツシーンは、性別によって分離され、男性が圧倒的に支配している状況である。女性やジェンダー非適合者がプロレベルで主要リーグに参加することを明示的に禁止する厳格なルールはないものの、実際に主流のeスポーツトーナメントに参加する女性プレイヤーは非常に少ない。女性やジェンダー非適合者向けに個別のリーグや大会も存在はするが、これらは主流のトーナメントに比べて財政的、マーケティング的、そして裏方的なサポートが著しく少なく、孤立した「バブル」の中で存在している。これは従来のスポーツにおける性別分離の慣行に倣っているかのようで、報酬、尊敬、機会の格差が生じていると記事は指摘する。
具体的な例として、eスポーツの賞金格差が挙げられている。Esports Earningsのデータによると、史上最高の賞金獲得者である男性プレイヤーN0tail氏(Dota 2)が700万ドル以上を獲得しているのに対し、女性プレイヤーでトップのScarlett氏(StarCraft II)は約47万ドルにとどまる。彼女の前には619人の男性プレイヤーがおり、この数字にはエリートプレイヤーに与えられる高額なスポンサーシップ契約は含まれていない。
このような状況の根本原因として、記事は明確に「性差別(ミソジニー)」を挙げている。社会全体に浸透する日常的な性差別が、eスポーツシーンのジェンダー構成に影響を与えていると分析する。eスポーツ界のトップレベルにいるプレイヤー、コーチ、関係者の中には、この事実や、性差別が業界全体に持つ影響力を認めたがらない者がいると指摘する。彼らは、不快な社会問題と向き合う代わりに、女性が排除されている責任を女性自身に負わせようとすることがあるが、これは臆病な態度であると批判している。
この問題を解決するためには、才能の育成パイプライン、特にスカウト段階での変化が不可欠だと記事は主張する。学生時代のプレイヤーたちがストリーミングをしたり、ランクを上げたりする段階で、若い男性プレイヤーはコミュニティから熱心な支持、歓迎の態度、尊敬、そして最終的には投資へとつながる信頼を自然と受け取ることが多い。一方、若い女性プレイヤーは、同年代の男性プレイヤーと比較して、はるかに高いパフォーマンスを求められるだけでなく、何年にもわたって軽視、性的対象化、暴力の脅威、過度な分析といった困難に直面することが多く、これが女性をビデオゲームやeスポーツから静かに遠ざけている。
この性差別は、根拠のない非合理的な考え方から生じるものであり、人々の意識が変われば状況も変えられると記事は楽観的な見方を示す。「eスポーツが性別で分かれているのはおかしい」というような、シンプルだが広範な認識の変化が、eスポーツの初期段階に大きな影響を与えうると提言する。意識の変化は、行動、言葉遣い、そして社会的な空間で許容されるものに影響を与えるため、これが変化の出発点になりうると述べる。
記事は、プロの試合を観戦するたびにこの性別格差がはっきりとわかることに言及し、特に現行プレイヤーが受ける神格化された演出(男性的なモチーフのプロモーションビデオ、登場セレモニー、ドキュメンタリーなど)が、男性プロプレイヤーがアスリートとして極めて真剣に受け止められ、あらゆるレベルでサポートを受けられる環境を作り出していると述べる。この励まし、信頼、興奮が若い女性やノンバイナリーのプレイヤーにも広がることを強く望んでいる。
意識改革の最初のステップとして、男性が生まれつきゲームがうまいわけではなく、女性が生まれつき下手なわけではないという基本的な考え方を改めて認識することを促す。性差別は、eスポーツに関わる全ての人の機会を制限する人為的な障壁であると理解することが重要である。また、男性eスポーツプレイヤーと女性コスプレイヤーを組み合わせた広告や、実況が「gentlemen」「sir」「boys」といった性別に基づいた言葉を頻繁に使うことなど、性別による偏りが現れるあらゆる場面に意識を向けるよう促している。ゲームのスキルは、その人の見た目や性自認とは全く関係がないという事実を受け入れることが、変化への第一歩である。
eスポーツのジェンダー問題に続いて、記事は複数のゲーム業界ニュースを報じている。 まず、新作ゲームのリリース情報として、IO Interactiveが開発するジェームズ・ボンドのゲーム『007 First Light』が3月27日にPlayStation 5、Xbox Series X/S、Switch 2、Steam、Epic Games Storeでリリースされることが発表された。プレビューでは「壮観」な内容であると評されている。 次に、人気ゲーム『Stardew Valley』のクリエイターであるConcernedApeが、発売から9年以上経った今も、ゲームに大幅な新コンテンツを追加するアップデート1.7を計画していることを明らかにした。これは彼の新作『Haunted Chocolatier』の開発スケジュールに影響を与えないよう調整しつつ、依然として人気の高い既存ゲームの改善を続ける姿勢を示している。 Playtonicの『Yooka-Laylee』リマスター版、『Yooka-Replaylee』は10月9日にPS5、PC、Switch 2、Xbox Series X/Sで発売される。Switch 2版では、物理カートリッジでの提供が選択されており、昔ながらのリリース方法を懐かしむ声もある。 また、『BioShock』のクリエイターであるケン・レヴィンによる新作『Judas』も開発が進行中であることが改めて示された。ゲームの主要なアートワークとともに、関係性メカニクスに焦点を当てた情報が公開され、期待が集まっている。
ゲーム開発業界の労働環境についても重要な動きがあった。Blizzard Entertainmentの『Diablo』チームの450人以上の開発者が、労働組合を結成するための投票を行い、Communications Workers of America(CWA)の支援を受けて組合を結成した。この動きは、Microsoftによる度重なる大規模なレイオフが動機となっており、開発者は「どれだけ懸命に働いても、自分たちを守るには不十分だと感じる」恐怖から解放されたいと述べている。CWAの旗の下で組織化されたMicrosoft従業員は3,500人以上に上るという。 一方で、労働組合結成のニュースとは対照的に、大規模なレイオフの報告も相次いでいる。『Tomb Raider』スタジオのCrystal Dynamicsや、『Civilization』シリーズで知られるFiraxisといった大手スタジオで、リストラが実施された。Crystal Dynamicsのレイオフは、Microsoftによる『The Initiative』のキャンセルに関連している可能性も指摘されており、Firaxisのレイオフはスタジオ再編のためとされている。これらを統括するTake-Two Interactiveは好調な財務状況を報告しており、開発現場の厳しい現実と企業全体の成長という対照的な側面を示している。
その他、人気ゲーム『Hollow Knight: Silksong』のリリース直後の難易度に関する議論や、今後のNintendo Directの開催、女性プレイヤーに焦点を当てたスピードランイベント『Flame Fatales』の開催など、多岐にわたるゲーム業界のニュースが報じられている。
この記事全体は、ゲーム業界が技術革新や新たなコンテンツの創出に常に挑戦し続ける一方で、eスポーツにおけるジェンダー格差といった社会的な課題や、開発現場の労働環境といった問題にも直面していることを明らかにしている。特にeスポーツにおける性差別は、業界の健全な成長と多様性の実現のために、早急な意識改革と具体的な行動が求められる重要な課題である。