【ITニュース解説】This JavaScript Scraper changes the game for saving and watching deleted TikToks via PostgreSQL database
2025年09月03日に「Reddit /r/programming」が公開したITニュース「This JavaScript Scraper changes the game for saving and watching deleted TikToks via PostgreSQL database」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
JavaScript製のスクレイパーが開発された。これにより、削除されたTikTok動画をPostgreSQLデータベースに保存し、後から視聴することが可能になる。Webデータを収集・管理する新たな手法を示す。
ITニュース解説
あるJavaScriptスクレイパーが、削除されたTikTok動画を保存し、後から視聴できるようにする画期的な方法として注目を集めている。このシステムは、PostgreSQLデータベースと組み合わされることで、過去に公開されたものの、その後TikTokプラットフォームから削除されてしまった動画の情報を効率的に収集、管理し、ユーザーが再びアクセスできるようにする仕組みを構築している。システムエンジニアを目指す初心者にとって、ウェブスクレイピング、データベース管理、そしてそれらが連携して一つの機能を実現するアプリケーション開発の基礎を理解する上で非常に良い事例となるだろう。
まず、「JavaScriptスクレイパー」がどのようなものかから解説する。スクレイピングとは、インターネット上のウェブサイトから情報を自動的に抽出し、必要なデータだけを集める技術を指す。これは、人間がウェブブラウザでサイトを閲覧し、手作業で情報をコピー&ペーストするような作業を、プログラムが自動的に高速で行うイメージに近い。このプロジェクトでは、JavaScriptというプログラミング言語が使われている。JavaScriptはもともとウェブブラウザ上で動くために開発された言語であり、ウェブページの見た目を動的に変化させたり、ユーザーの操作に反応する機能を提供したりする役割を担う。しかし、Node.jsという実行環境が登場したことで、JavaScriptはウェブサーバーやデスクトップアプリケーション、さらにはこのようなスクレイピングツールなど、ブラウザの外でも非常に強力な力を発揮するようになった。このスクレイパーは、JavaScriptを用いてTikTokのウェブサイトにアクセスし、動画のURL、投稿者情報、説明文、公開日時といった様々なメタデータをプログラムによって取得していると考えられる。
特に「削除されたTikTok動画」を保存するという点については、その実現方法が興味深い。動画がTikTokから削除されると、通常はプラットフォーム上から消え、アクセスできなくなる。しかし、このスクレイパーは、動画が完全に削除される前にその情報を素早く取得し、保存することで、後からでもその情報にアクセスできるようにする狙いがある。例えば、ある動画が公開された直後にスクレイパーがそのURLや関連情報を取得し、データベースに保存する。もしその動画が後にTikTokから削除されたとしても、スクレイパーが保存したURLやメタデータがあれば、理論上は削除前の状態を追跡したり、場合によっては動画ファイルそのものが完全に消滅する前に、動画ファイルをキャッシュとして保存したりする可能性も考えられる。これは、特定の情報の「アーカイブ」(記録保存)を作成する行為とも言える。
次に、このシステムがデータを保存するために利用している「PostgreSQLデータベース」について解説する。データベースとは、大量のデータを構造化して整理し、効率的に保存・管理し、必要な時に迅速に取り出すためのソフトウェアシステムのことである。私たちが普段利用しているほとんどのウェブサイトやアプリケーションは、ユーザー情報、商品情報、記事の内容などをデータベースに保存して運用されている。PostgreSQLは、そうしたデータベースシステムの一種で、特に「リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)」と呼ばれる種類に属する。これは、データを「テーブル」という表形式で管理し、複数のテーブル間を関連付けることで、複雑な情報を整理するのに非常に優れている。PostgreSQLは、オープンソースでありながら非常に高機能で、信頼性や拡張性も高いため、世界中の多くの企業や開発プロジェクトで広く利用されている。
このプロジェクトにおいてPostgreSQLは、JavaScriptスクレイパーが収集したTikTok動画の様々な情報を保存する役割を担っている。例えば、動画のユニークな識別子(ID)、実際の動画のURL、動画のタイトル、投稿者のID、投稿日時、動画のサムネイル画像へのリンク、そしてもし動画ファイル自体を別途保存している場合はそのファイルの場所を示すパスなど、多岐にわたるデータが整理された形でデータベースに格納されるだろう。データベースを使うことで、これらの情報を一元的に管理し、特定の投稿者の動画を検索したり、特定の期間に投稿された動画を絞り込んだり、削除された動画の中から特定のキーワードを含むものを探したりといった、柔軟なデータ操作が可能になる。動画ファイル自体は非常にデータ量が大きいため、通常はデータベースに直接保存するのではなく、サーバーのファイルシステムやクラウドストレージサービス(Amazon S3など)に保存し、そのファイルの「場所」を示すパスやURLだけをデータベースに記録するのが一般的な方法である。
これらの技術がどのように連携して一つのシステムを形成しているのかを見てみよう。システムエンジニアの視点で見ると、これは典型的なウェブアプリケーションのバックエンド(システムが動作する裏側の処理)の一部を構成すると言える。
- データ収集: JavaScriptで書かれたスクレイパーが、定期的に、あるいは何らかのイベントをトリガーとしてTikTokの情報を巡回し、新しい動画の情報を取得する。
- データ加工と準備: 取得した生データから、必要な情報(URL、タイトル、投稿者など)を抽出し、PostgreSQLデータベースに登録するための形に整形する。
- データベースへの書き込み: 整形されたデータを、SQL(Structured Query Language)というデータベース操作言語を通じてPostgreSQLに挿入する。この際、すでに同じ情報がないかを確認するなどの処理も行われることがある。
- データ利用: データベースに保存された情報は、別のアプリケーション(例えば、保存された動画を閲覧するためのウェブインターフェースやAPI)から参照され、ユーザーが削除された動画を検索したり視聴したりする際に利用される。
このシステムが「ゲームチェンジャー」と呼ばれる理由は、単にTikTokの動画を保存するだけでなく、通常は失われてしまう削除されたコンテンツという情報を効果的にアーカイブし、後からアクセス可能にする点にあるだろう。これにより、例えば文化的な研究、特定のトレンド分析、あるいは単に個人的な興味として、一度は失われたと思われたコンテンツの価値を再評価する可能性が生まれる。
システムエンジニアを目指す初心者にとって、このプロジェクトは多くのことを学ぶ機会を提供する。まず、JavaScriptを使ったウェブスクレイピングの基本的な仕組みと、その応用可能性を理解できる。次に、PostgreSQLのようなリレーショナルデータベースがどのようにデータを構造化し、管理するのか、そしてSQLを使ってどのようにデータを操作するのかを学ぶ良いきっかけとなる。さらに、スクレイパーとデータベースという異なる技術要素がどのように連携し、一つの機能を持つシステムを構築するのかという、アプリケーション全体のアーキテクチャ(設計思想)についても触れることができるだろう。
ただし、ウェブスクレイピングには常に倫理的・法的な側面が伴うことにも注意が必要だ。多くのウェブサイトは利用規約でスクレイピングを禁止しており、サーバーに過剰な負荷をかける行為は、不正アクセスと見なされる可能性もある。このプロジェクトがどのような意図で開発され、どのような範囲で利用されるのかは不明だが、技術を使う際には常にその影響や責任を考慮する姿勢が重要である。
このJavaScriptスクレイパーとPostgreSQLデータベースを組み合わせたシステムは、ウェブからの情報の収集、その情報の管理、そして利用という一連のプロセスを具体的に示しており、これからのITを支えるシステムエンジニアが身につけるべき基礎的なスキルと知識が詰まっていると言える。ウェブから情報を取得し、それをデータベースに格納し、必要なときに利用するという一連の流れは、現代のほとんどのウェブサービスやデータ分析システムに共通する考え方であり、この事例を通じてその基礎を深く理解することは、将来のキャリアにとって非常に有益となるだろう。