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【ITニュース解説】Kaspa & Smart Contracts: A Personal Discovery That Started with a Simple DAO Project

2025年09月08日に「Dev.to」が公開したITニュース「Kaspa & Smart Contracts: A Personal Discovery That Started with a Simple DAO Project」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

ブロックチェーンKaspa上でEthereumアプリを動かすための検証ツールが開発された。KaspaのL2「Kasplex」「Igra」はEthereumと完全互換で、手数料は200倍以上安いと判明。インフラには課題が残るが、開発者にとって安価で高性能な新環境が利用可能になる。

ITニュース解説

ブロックチェーン技術の中核をなす「スマートコントラクト」は、契約の自動執行を可能にするプログラムであり、現在その分野では「Ethereum(イーサリアム)」が標準的なプラットフォームとして広く利用されている。しかし、Ethereumの人気は取引手数料(ガス代)の高騰や処理速度の遅延といったスケーラビリティ問題を引き起こしている。これらの課題を解決する新たな選択肢として注目されているのが、高速なトランザクション処理能力を持つブロックチェーン「Kaspa(カスパ)」である。本稿では、Kaspa上でEthereumと同様のスマートコントラクトを動かすための新技術「Kasplex」と「Igra」について、ある開発者が行った実践的な検証結果を基に、その仕組み、可能性、そして現状の課題を解説する。

Kaspaは、ビットコインの設計思想を踏襲しつつ、その性能を飛躍的に向上させることを目指して開発された。最大の特徴は、「BlockDAG(ブロックダグ)」と呼ばれる独自のデータ構造を採用している点にある。従来のブロックチェーンが取引記録(ブロック)を一本の鎖のようにつなぐのに対し、BlockDAGは複数のブロックを並列的に生成・承認できる。これにより、Kaspaは単位時間あたりに処理できる取引数を大幅に増やし、迅速な決済を実現している。

スマートコントラクトを実行するための環境として、Ethereumには「EVM(Ethereum Virtual Machine)」が存在する。長年にわたり、数多くのアプリケーションや開発ツールがこのEVMを基準に構築されてきたため、新しいブロックチェーンが普及するためにはEVMとの互換性を持つことが極めて重要となる。EVM互換性があれば、開発者は既存のコードや知識を活かして、アプリケーションを新しいブロックチェーンへ容易に移植できるからだ。

Kaspa自体は決済処理に特化しており、スマートコントラクトの実行機能を直接は持たない。そこで、「レイヤー2(L2)」と呼ばれる拡張技術が用いられる。これは、メインのブロックチェーン(レイヤー1)の負荷を軽減するため、その上に別の層を構築し、そこで複雑な処理を実行する手法である。Kaspaにおいては、「Kasplex」と「Igra」という二つのL2ソリューションが、EVM互換のスマートコントラクト環境を提供している。Kasplexは既存のEthereum開発者が迅速にアプリケーションを移行できる環境の提供を目指し、IgraはKaspa本体のセキュリティと深く連携し、より分散化された堅牢な運用を志向している。

あるブロックチェーン開発者が、Kaspa上で「DAO(分散型自律組織)」を構築しようとした際、ドキュメント不足からスマートコントラクトの展開に失敗した。この経験を機に、彼は他の開発者のために、EthereumからKaspa L2へアプリケーションを移行するための具体的な手順をまとめたガイドを作成した。さらに、その過程でAIが生成した「KaspaはEthereumより安価で、高速で、完全に互換性がある」という主張を証明するため、客観的な比較テストを行うツールを自ら開発するに至った。

開発されたテストツールは、トークンの発行や送金、分散型取引所(DEX)での交換、NFTの発行など、66種類に及ぶ標準的な操作を自動で実行し、その結果を比較するものである。このツールを用いてEthereumのテストネットワークとKasplexおよびIgraのテストネットワークで比較実験が行われた。その結果、互換性については全てのテストが成功し、KasplexとIgraは100%のEVM互換性を持つことが実証された。これは、既存のEthereumアプリケーションがほぼ修正なしでKaspa上で動作することを示唆している。また、コスト面では、手数料がEthereumメインネットと比較して200分の1以下に抑えられることが確認され、劇的なコスト削減効果が期待できることがわかった。しかし、課題も浮き彫りになった。テスト段階のネットワークはまだ不安定で、トランザクションの送信が拒否され、ガス代を調整しながら何度も再試行が必要となるケースがあった。これは、現在のインフラがまだ本番稼働の負荷に耐えうるレベルに達していないことを示している。

この検証から、KasplexとIgraは単なる競合関係ではなく、それぞれが異なる役割を担い、協力してKaspaのエコシステムを強化する存在であることが明らかになった。Kasplexは、既存のEthereum開発者が迅速に参入するための「高速道路」として機能し、即時のEVM互換性とコスト削減というメリットを提供する。対してIgraは、Kaspa本体のセキュリティと連携した分散型の「基盤」として、より高い信頼性と安全性を追求する。この二つのソリューションが連携することで、開発者はEthereumの豊富な開発資産を活用しつつ、Kaspaの高速・低コストという恩恵を享受できる。これは、これまで開発者が直面してきた「機能性」と「性能」の二者択一という問題を解決する大きな一歩となる。

今回の検証は、KaspaがEVM互換のL2ソリューションを通じて、ブロックチェーン技術が抱える長年の課題を解決しうる高いポテンシャルを秘めていることをデータで示した。しかし、同時にインフラの安定性など、本格的な普及に向けて乗り越えるべき課題が存在することも事実である。システムエンジニアを目指す者にとって重要なのは、特定の技術に対する評判や意見を鵜呑みにするのではなく、実際に手を動かしてその真価を確かめる姿勢である。この記事で紹介された開発者のように、自らツールを作成し、客観的なデータに基づいて技術を評価するアプローチは、技術選定や問題解決において不可欠なスキルと言えるだろう。KaspaとL2技術の今後は、このような開発者たちの地道な検証と貢献によって形作られていく。

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