【ITニュース解説】Tired of Rewriting Web3 Integrations? Help us grow M3S, the New Modular Open-Source Standard
2025年10月03日に「Dev.to」が公開したITニュース「Tired of Rewriting Web3 Integrations? Help us grow M3S, the New Modular Open-Source Standard」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
dApps開発では、多様なWeb3サービス(ウォレットなど)を連携するたびコード修正が必要な手間があった。M3Sは、この問題を解決するオープンソースのフレームワークだ。サービスの種類に関わらずコード変更なしで連携でき、開発効率と保守性を高める。コミュニティ主導でWeb3連携の共通標準となることを目指している。
ITニュース解説
分散型アプリケーション、通称dApps(ダップス)の開発を進めるシステムエンジニアが直面する大きな課題の一つに「APIの断片化」がある。これは、Web3の世界において見過ごされがちだが、開発コストを増大させる隠れた要因となっている。
dAppsを開発する際、ユーザーが利用するウォレットサービスは多岐にわたる。例えば、最初はMetaMaskに対応するSDK(ソフトウェア開発キット)を使ってアプリケーションを構築したとする。しかし、数ヶ月後には、プロダクトチームから「WalletConnect」「Ledger」「Web3Auth」といった、別のウォレットサービスもサポートするように求められることがよくある。これらのウォレットは、それぞれが異なるSDKやAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を持っており、それぞれに独自の操作方法やデータの渡し方がある。
新たなウォレットサービスを追加するたびに、開発者は既存のコードを大幅に書き換えなければならない事態に直面する。具体的には、ウォレットサービス固有のメソッド(機能)の名前が異なったり、同じ機能でも引数の形式が違ったりする。時には、データの署名(signData)やトランザクションの送信(sendTransaction)といった基本的な操作を行うために、アプリケーションのロジック層全体を修正する必要がある。このような継続的なコードの書き換え作業は、開発者の貴重な時間を奪い、新しい機能の開発やイノベーションを阻害し、最終的にWeb3が目指すマルチチェーン(複数のブロックチェーンに対応する)の世界の実現を遅らせる要因となっている。
この「APIの断片化」という問題を解決するために開発されたのが、M3S(Modular Multi-chain Suite)というオープンソースのTypeScriptフレームワークである。M3Sの核となる考え方は、「dAppsのビジネスロジックは、どのプロバイダー(ウォレットサービスやブロックチェーンサービスなど)を使用しているかに関わらず、決して変更されるべきではない」という点にある。
M3Sは「アダプターパターン」という設計手法を採用している。これは、異なる仕様を持つ複数のシステムを、アプリケーションからは同じ一つの方法で扱えるようにするための技術である。M3Sは、特定のウォレットやスマートコントラクト、クロスチェーンサービスといったプロバイダーごとの具体的な実装方法を「抽象化」する。抽象化とは、個々のプロバイダーの細かい違いを隠し、アプリケーションが共通の操作方法だけを使えばよいようにすることである。
M3Sがどのように機能するか、具体的なコードの例で見てみよう。
まず、アプリケーションはどのウォレットサービスを利用するかを設定する段階がある。ここでは、createWalletConfigという関数を使って、例えば「ethers」を使うか「web3auth」を使うかといった、特定のウォレットサービスに応じた設定情報を生成する。この段階で、アプリケーションの残りの部分は、どの具体的なウォレットが選ばれたかを知る必要はない。次に、createWalletという関数を呼び出し、先ほど作成した設定情報に基づいて、実際にアプリケーションで利用するウォレットのインスタンスを生成する。ここで生成されるウォレットは、IEVMWalletという「共通インターフェース」を持つ。このインターフェースは、「EVM(イーサリアム仮想マシン)互換のウォレットであれば、共通して持っているべき機能の一覧表」のようなものだと理解できる。
そして、このIEVMWalletという共通インターフェースを通じて、アプリケーションはウォレットの機能を利用する。例えば、newWallet.getNetwork()で接続中のネットワーク情報を取得したり、newWallet.getAccounts()でアカウントリストを取得したりする。最も重要なのは、newWallet.signTypedData(typedData)のように、データに署名する操作を行う場合である。アプリケーションは、このIEVMWalletインターフェースが提供する共通のメソッドを呼び出すだけでよい。M3Sは、裏側で、アプリケーションからの「共通の指示」を、実際に利用されている特定のウォレットサービス(例えばMetaMaskやWeb3Auth)が理解できる「固有の指示」に変換して実行する。
この仕組みにより、開発者は、どのウォレットサービスが選択されても、コードの記述方法を変える必要がなくなる。アプリケーションのロジックは真にプロバイダーから独立し、コードの保守性が格段に向上するのである。
M3Sは単なる新しいSDKとして開発されたわけではない。そのビジョンは、Web3開発における「共通の標準」となることである。過去にWalletConnectが、異なるウォレットとdApps間の「接続プロトコル」の断片化を解決したように、M3Sはウォレットの操作だけでなく、スマートコントラクトの操作、トークンの交換(スワップ)、異なるブロックチェーン間の資産移動(ブリッジ)といった、Web3のあらゆる操作における断片化の解決を目指している。
M3Sが提供する共通のAPI(操作方法)は、特定のベンダーによって決定されるのではなく、NPMパッケージや将来的にDAO(分散型自律組織)のようなコミュニティ主導の仕組みを通じて、実際にM3Sを利用する開発者コミュニティ全体の合意に基づいて進化していく計画である。これにより、誰もが信頼できる、堅牢なAPI標準が確立されることになる。また、コミュニティのメンバーが新しいブロックチェーン(例えばSolana)や新しいプロバイダーに対応するアダプターを追加するたびに、M3Sが提供する共通APIはさらに強力で完全なものとなり、M3Sを利用するすべての開発者がその恩恵を受けるという「ネットワーク効果」が生まれる。現在、M3SはEVM(イーサリアム仮想マシン)互換のブロックチェーン上で安定稼働しており、今後さらに多くのエコシステムへの対応に向けて、コミュニティからの協力者を求めている。
Web3開発において、絶え間ないコードの書き換えに疲れているすべての開発者、特にTypeScriptでdAppsを構築しているシステムエンジニアを目指す人々は、M3Sフレームワークを探求する価値がある。このフレームワークは、開発の効率と持続可能性を高め、Web3の未来を形作る上で重要な役割を果たす可能性を秘めている。M3Sの核心であるUniversalRegistryアーキテクチャや、GitHub上のソースコード、シンプルなデモ、ドキュメント、NPMパッケージといったリソースを通じて、このムーブメントに参加し、Web3開発の共通標準を共に構築していくことが期待される。
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