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【ITニュース解説】The Polestar 5 is an 884hp fastback sedan that should make Porsche nervous

2025年09月09日に「The Verge」が公開したITニュース「The Polestar 5 is an 884hp fastback sedan that should make Porsche nervous」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

EVメーカーのPolestarが新型車「Polestar 5」を発表した。5年前のコンセプトカーを基に開発され、最大884馬力、航続距離約740kmという高性能を誇る。既存の高性能スポーツEVにとって強力な競合となる。

ITニュース解説

スウェーデンの電気自動車(EV)メーカーであるポールスターが、新型の高性能セダン「ポールスター5」の詳細なスペックを公開した。この一台は、5年前に発表されたコンセプトカー「Precept」を市販化したモデルであり、その性能は自動車業界だけでなく、IT業界にとっても注目すべき内容を含んでいる。システムエンジニアを目指す者にとって、現代の自動車がどれほど高度な情報技術の集合体であるかを理解する絶好の事例となる。

ポールスター5の基本性能は、既存の高性能EVの基準を大きく引き上げるものである。前輪と後輪にそれぞれモーターを搭載するデュアルモーター式の全輪駆動(AWD)システムを採用し、システム全体の合計出力は最大で884馬力、最大トルクは900Nmに達する。これは、多くのスーパーカーに匹敵する、あるいはそれを凌駕する動力性能である。また、搭載されるバッテリーの容量は103kWhと大容量であり、一回の充電で走行可能な距離は最大で約740kmを見込んでいる。

これらの高性能を実現する上で中核となる技術の一つが、800Vの高電圧バッテリーアーキテクチャである。従来のEVの多くは400Vシステムを採用しているが、システム全体の電圧を倍にすることで、電力効率と充電性能が飛躍的に向上する。電力は「電圧×電流」という関係式で表されるため、同じ電力を伝達する場合、電圧を高くすれば電流値を小さく抑えることが可能になる。電流が小さくなれば、電力ケーブルの発熱が抑制され、送電ロスも減少する。これにより、ケーブルを細くすることができ、車両全体の軽量化にも繋がる。さらに、高電圧化は超急速充電を可能にする重要な要素であり、ポールスター5はバッテリー残量10%から80%までをわずか20分で充電できる性能を持つ。このような電力システムの高効率な設計と、充放電を精密に管理する制御システムは、ハードウェア技術だけでなく、それを最適化するソフトウェア技術の賜物である。

デュアルモーターAWDシステムも、高度なソフトウェア制御によってその真価を発揮する。前後のモーターはそれぞれ独立して制御され、車両に搭載された多数のセンサーからの情報を基に、ECU(電子制御ユニット)が路面状況や運転操作に応じて瞬時にトルク配分を最適化する。例えば、急加速時には両方のモーターの能力を最大限に引き出して力強いトラクションを生み出し、コーナリング時には内外輪の回転差を考慮してトルクを配分することで、車両の安定性を極限まで高める。これらの複雑な演算と制御は、すべて車載コンピュータ上で実行されるソフトウェアによって実現されており、物理的な駆動系部品だけでは到達不可能なレベルの運動性能を可能にしている。

また、大容量バッテリーを安全かつ長期的に使用するためには、BMS(バッテリーマネジメントシステム)と呼ばれる高度な管理システムが不可欠である。BMSは、バッテリーパックを構成する無数の個々のバッテリーセルの電圧、電流、温度をリアルタイムで監視し、すべてのセルが均等に充放電されるように制御する。一部のセルに負荷が偏ったり、異常な温度上昇が発生したりすることを防ぎ、バッテリーの性能を最大限に引き出しながら、劣化を抑制し安全性を確保する。このBMSの性能もまた、それを動かすソフトウェアのアルゴリズムの優劣に大きく左右される。

車両の基本構造においても、ITの活用が見られる。ポールスター5は、新開発の接着アルミニウムプラットフォームを採用している。これは、従来の溶接ではなく、特殊な接着剤を用いてアルミニウム製の部品を結合させる工法で、非常に軽量でありながら高い車体剛性を実現する。この革新的な車体構造の設計・開発プロセスでは、CAE(Computer-Aided Engineering)と呼ばれるコンピュータ支援エンジニアリングが全面的に活用される。物理的な試作品を製作する前に、コンピュータ上で強度や衝突安全性に関する詳細なシミュレーションを繰り返すことで、開発期間の短縮と性能の最適化を両立させている。

ポールスター5のような最新のEVは、「ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)」という概念を体現している。これは、車両の機能や性能が、ハードウェアだけでなくソフトウェアによって定義され、更新可能であることを意味する。無線通信を利用したOTA(Over-The-Air)アップデートにより、納車後もソフトウェアを更新し、モーター制御を改善して航続距離を伸ばしたり、新しいインフォテインメント機能を追加したりすることが可能になる。自動車はもはや単なる機械ではなく、インターネットに接続された動くコンピュータ端末へと進化しており、その中核を担うのはソフトウェア技術である。ポールスター5の登場は、自動車産業がシステムエンジニアにとって、自身のスキルを活かせる極めて重要で将来性のある分野であることを示している。

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