【ITニュース解説】The Rust Journey of a JavaScript Developer • Day 4 (2/5)
2025年09月07日に「Dev.to」が公開したITニュース「The Rust Journey of a JavaScript Developer • Day 4 (2/5)」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
Rustにはデータの所有権という独自のルールがある。関数に値を渡すと所有権が移動し元の変数は使えなくなるが、「参照」と「借用」という仕組みでこれを回避できる。所有権を渡さずにデータを安全に扱えるのが特徴だ。(118文字)
ITニュース解説
プログラミング言語Rustにおける最も重要で独特な概念に「所有権」があります。これは、メモリを安全に管理するための仕組みであり、その基本ルールは「ある値の所有者は常に一つだけ」というものです。例えば、ある変数に格納されたデータを関数の引数として渡すと、そのデータの「所有権」が関数の中の変数に移動します。所有権を失った元の変数は、その後アクセスできなくなり、無理に使おうとするとコンパイルエラーが発生します。これは、同じデータが二重に解放されるといったメモリ関連の危険なバグを防ぐための仕組みですが、一つのデータを複数の場所で利用したい場合には不便に感じられることがあります。
この課題を解決するのが「参照」と「借用」という概念です。所有権を完全に移動させるのではなく、値への「参照」、つまり値がどこにあるかという情報だけを貸し出すことができます。これを「借用」と呼びます。変数の前にアンパサンド(&)を付けることで、その変数への参照を作成できます。この参照を関数に渡せば、関数は所有権を得ることなくデータにアクセスできます。関数での処理が終わった後も、元の変数は所有権を持ち続けているため、引き続き利用することが可能です。これにより、冗長なコードを書くことなく、効率的にデータを使い回すことができます。
参照は、値そのものではなく、値が格納されているメモリ上の場所を指し示す「ポインタ」と似た役割を果たします。参照を通じて実際の値にアクセスする操作を「デリファレンス」と呼び、参照の前にアスタリスク(*)を付けて行います。ただし、メソッドを呼び出す際など、多くの場合Rustコンパイラが文脈から判断して自動的にデリファレンスを行ってくれるため、プログラマが常にアスタリスクを記述する必要はありません。
Rustの安全性を保証している中核的な機能が「借用チェッカー」です。これは、コンパイラの一部であり、参照と借用に関する厳格なルールが守られているかをコンパイル時にチェックします。特に重要なルールが二つあります。一つ目は、「あるデータに対して、不変の参照(&)は複数持つことができるが、不変の参照が存在する間は、そのデータを変更することはできない」というものです。例えば、配列のある要素を不変参照で借用している最中に、その配列に新しい要素を追加するような操作は禁止されます。なぜなら、配列のサイズが変更されると、メモリ上の位置が移動(再確保)する可能性があり、元の参照が無効な場所を指す危険な状態(ダングリングポインタ)に陥るからです。借用チェッカーは、こうした潜在的なバグをコンパイル段階で未然に防ぎます。
二つ目の重要なルールは「可変の参照」に関するものです。データを変更する必要がある場合は、&mutという記法で「可変の参照」を作成します。これにより、参照を通じて元のデータの値を書き換えることが許可されます。しかし、ここにはさらに厳しい制約がかかります。「あるデータに対する可変の参照は、特定のスコープ内で同時に一つしか存在できない」のです。また、可変の参照が存在する間は、不変の参照を持つこともできません。このルールによって、複数のコードが同時に同じデータを書き換えようとして発生する「データ競合」という深刻なバグを、プログラムの実行前に完全に排除することができます。
参照が有効でいられる期間は「ライフタイム」という概念によって管理されています。借用チェッカーは、全ての参照が、それが指し示すデータよりも長く生存しないことを保証します。つまり、データ本体がメモリから解放された後に、そのデータを指す参照だけが残ってしまうという危険な状況をコンパイルエラーとして検出します。参照のライフタイムが終わると、データに課せられていた制約(例えば、不変借用中は変更不可など)は解除され、所有者は再び全ての権限を取り戻します。
これらの所有権、借用、ライフタイムといったRustの仕組みは、初めて学ぶ人にとっては複雑で厳しい制約に感じられるかもしれません。しかし、これらは全て、システムエンジニアが直面しがちなメモリ管理に起因する難解なバグを、コンパイルという早い段階で発見し、修正を促すためのものです。この強力な安全性保証のおかげで、開発者は実行時のクラッシュやデータ破損の心配を大幅に減らし、安全で高性能なソフトウェアの構築に集中することができるのです。