【ITニュース解説】I made a free VSC extension to manage my AI prompt/rule files
2025年09月10日に「Reddit /r/programming」が公開したITニュース「I made a free VSC extension to manage my AI prompt/rule files」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
AIツール利用で散らばる設定ファイルやプロンプト管理の問題を解決するため、VS Code拡張機能「Rules Manager」が登場した。これは、AIへの指示文などをクラウドで一元管理し、同期・検索・再利用を可能にする。プロジェクトへの適用も簡単で、無料・オープンソースだ。
ITニュース解説
近年、AI技術の進化は目覚ましく、プログラミングの世界でもAIツールが急速に普及している。例えば、コードの自動補完や生成を助ける「Copilot」や、AIとの対話を通じて開発を進める「Cursor」のようなツールが、多くの開発者の作業効率を劇的に向上させている。これらのAIツールは非常に便利である一方で、新たな課題も生み出している。
AIツールを活用する際、私たちはAIに対して様々な指示やルールを与える。これらの指示は「プロンプト」と呼ばれたり、AIの振る舞いを定義する「ルールファイル」として保存されたりする。例えば、特定のコーディングスタイルに従うように指示する設定ファイルや、複雑なリファクタリングを依頼するための詳細なプロンプトなどがこれにあたる。しかし、開発プロジェクトを進める中で、こうしたAI関連のファイルがプロジェクト内に散乱し始めるという問題が浮上しているのだ。
AIツールが生成する設定ファイルは、プロジェクトの特定のフォルダに保存されることが多い。例えば、「.cursor/rules」というフォルダにAIのルールファイルが大量に蓄積されたり、GitHubを使ったバージョン管理の設定ファイルである「.github/」フォルダにもAI関連の設定が分散してしまったりする。これにより、プロジェクトの構造が複雑になり、必要なファイルを見つけ出すのが非常に困難になる。
開発者が直面する典型的な問題として、次のようなケースが挙げられる。以前に書いた、非常に効果的で完璧なプロンプトを再利用したいと思っても、それがどのプロジェクトのどのフォルダに保存されているのか分からなくなり、探し出すのに膨大な時間がかかってしまう。また、開発環境を別のコンピューターに移行する際も大きな問題となる。新しいコンピューターで同じAIツールを使うためには、これまでに作成したプロンプトやルールファイルを一から再設定し直さなければならないため、手間と時間がかかり、非常に非効率的である。
このようなAI関連ファイル管理の悩みを解決するために、ある開発者がVisual Studio Code(VS Code)用の拡張機能「Rules Manager」を開発した。VS Codeは、多くのシステムエンジニアが利用する高機能なコードエディタであり、拡張機能を追加することで様々な機能を強化できる。Rules Managerは、まさにこのAI関連ファイル管理の課題に特化した解決策を提供するものだ。
Rules Managerの主な目的は、散らばってしまったAIのルールファイルやプロンプトを、一つの集中管理された「クラウドライブラリ」にまとめることである。この「クラウドライブラリ」という言葉は、インターネット経由でアクセスできる場所にあるデータ保管庫というニュアンスを持つが、Rules Managerの場合は、特別な第三者のクラウドサービスを利用するわけではない。実際には、VS Code自身が持つ「設定同期機能」を利用して、ユーザーのプロンプトやルールファイルを同期している。これにより、複数のコンピューター間で同じVS Code環境を使う際にも、自動的にRules Managerで管理しているプロンプトやルールが同期され、常に最新の状態が保たれる。
この拡張機能は、いくつかの画期的な方法でプロンプト管理を効率化する。まず、「プロジェクトの自動スキャン機能」がある。開発者がVS Codeでプロジェクトを開くと、Rules Managerは自動的にそのプロジェクト内をスキャンし、「.cursor/rules」や「.github/」といった一般的なAI関連設定が保存されているフォルダから、ルールファイルやプロンプトを自動的に検出する。これにより、どのファイルがAI関連なのかを開発者が手動で探す手間が省ける。
次に、「ワンクリックでクラウドライブラリに保存する機能」が非常に便利だ。もし開発中に素晴らしいプロンプトや有効なルールファイルを見つけたり、自分で作成したりした場合、それをプロジェクトの特定の場所からRules Managerの「クラウドライブラリ」へワンクリックで簡単に保存できる。保存する際には、「React」「Python」「リファクタリング」といった関連する「タグ」を付けることも可能だ。このタグ付け機能により、後で特定の目的や技術スタックに関連するプロンプトを探す際に、非常に効率的に検索できるようになる。例えば、「Python」と「データ処理」というタグを組み合わせることで、Pythonでデータ処理を行う際に役立つプロンプトだけを素早く絞り込むことができる。
そして、「ワンクリックでプロジェクトに適用する機能」も重要なポイントだ。新しいプロジェクトを開始する際や、特定のタスクに取り組む際に、以前に保存しておいたプロンプトやルールファイルを使いたい場面は多々あるだろう。Rules Managerでは、拡張機能のパネルを開き、自分のクラウドライブラリから必要なプロンプトやルールを選択し、ワンクリックするだけで、それを現在のワークスペース、つまり現在開いているプロジェクトに簡単に追加できる。これにより、過去の知見や効率的な設定を再利用するプロセスが大幅に簡略化され、開発の初期設定にかかる時間や労力を削減できる。
開発者自身も、Rules Managerが自身の開発ワークフローの「中核」を占めるほど、その有効性を実感している。これまでに蓄積した最高のプロンプトがすべて保存され、いつでもすぐに利用できる状態になっているため、プログラミング作業全体が非常にスムーズになったと述べている。
このRules Managerは、完全に無料で提供されており、そのソースコードも公開されている(オープンソース)。これは、誰でも自由に利用できるだけでなく、コードを検証したり、必要であれば改善に貢献したりできることを意味する。開発者は、より多くのユーザーにこのツールを試してもらい、フィードバックや改善点の提案を歓迎している。
まとめると、AIツールの普及によって複雑化したAI関連ファイルの管理という新たな課題に対し、Rules Managerは集約、同期、検索、再利用という四つの側面から効果的な解決策を提供する。システムエンジニアを目指す初心者にとっても、このようなツールを活用することは、日々の開発作業の効率を向上させ、より質の高いコードを効率的に記述する上で不可欠なスキルとなるだろう。開発プロセスの効率化は、現代のソフトウェア開発において非常に重要な要素であり、Rules Managerのようなツールはその一翼を担うものだ。