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MD5(エムディーファイブ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

MD5(エムディーファイブ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

エムディーファイブ (エムディファイブ)

英語表記

MD5 (エムディーファイブ)

用語解説

MD5は、Message-Digest Algorithm 5の略称で、ハッシュ関数の一種である。ハッシュ関数とは、任意の長さの入力データ(ファイル、文字列など)を受け取り、それから固定長の短い文字列を生成する計算手法のことである。この固定長の短い文字列は「ハッシュ値」や「メッセージダイジェスト」と呼ばれる。MD5の場合、生成されるハッシュ値は常に128ビット(32桁の16進数)の長さを持つ。

MD5の主な用途は、データの「完全性検証」である。これは、データが作成されてから現在に至るまで、意図しない改ざんや破損がないことを確認する目的で利用される。例えば、ウェブサイトからソフトウェアをダウンロードする際に、配布元がそのソフトウェアファイルのMD5ハッシュ値を公開している場合がある。ユーザーはダウンロードしたファイルから自分でMD5ハッシュ値を計算し、配布元の値と比較することで、ダウンロードしたファイルが正規のものであり、転送中に破損したり、悪意ある第三者によって改ざんされたりしていないかを確認できる。もし二つのハッシュ値が一致しなければ、ファイルは改ざんされているか破損している可能性が高い。

ハッシュ関数にはいくつかの望ましい特性がある。一つ目は「一方向性」であり、ハッシュ値から元のデータを逆算することが極めて困難であること。二つ目は「衝突耐性」で、異なる入力データから同じハッシュ値が生成されること(これを「衝突」と呼ぶ)が非常に稀であることである。MD5は、これらの特性を満たすように設計されたハッシュ関数として、かつてはデータの完全性検証だけでなく、パスワードのハッシュ化や電子署名など、セキュリティが求められる様々な用途で広く利用されてきた。

MD5の動作原理を簡単に説明すると、まず入力データを512ビットのブロックに分割する。もし入力データの長さが512ビットの倍数でない場合は、特定のルールに基づいてパディング(詰め物)が追加される。次に、これらのブロックを順次処理していく。各ブロックの処理では、複雑なビット演算や論理演算を含む一連の変換(「ラウンド」と呼ばれる4つのステージで構成され、各ラウンドは20のステップを持つ)が行われる。この変換処理によって、以前のブロックで計算された中間ハッシュ値が更新されていく。最終的にすべてのブロックの処理が完了すると、128ビットの最終的なハッシュ値が生成される。このハッシュ値は通常、32桁の16進数として表現される。例えば、「Hello World」という文字列のMD5ハッシュ値は「b10a8db164e0754105b7a99be72e3fe5」のようになる。入力がたった一文字でも変われば、生成されるハッシュ値はまったく異なるものになる。これは「アバランチ効果」と呼ばれ、ハッシュ関数が持つべき重要な特性の一つである。

しかし、MD5は現在、セキュリティ目的での利用は推奨されていない。その理由は、2004年以降に「衝突攻撃」と呼ばれる脆弱性が発見されたためである。衝突攻撃とは、異なる2つの入力データから同じMD5ハッシュ値が生成される組み合わせを、計算上現実的な時間で見つけ出すことができるという攻撃である。これはMD5の「衝突耐性」が破られたことを意味する。

衝突耐性が破られると、どのような問題が発生するのか。例えば、攻撃者が正規のファイルと同じMD5ハッシュ値を持つ悪意のあるファイルを作成し、それを正規のファイルであるかのように見せかけることが可能になる。もしユーザーがMD5ハッシュ値だけでファイルの完全性を検証しようとした場合、この巧妙な偽装を見破ることができない可能性がある。さらに、電子署名において、同じハッシュ値を持つ異なる2つの文書を作成し、一方の文書に署名させ、その署名をもう一方の悪意のある文書に流用するなどの攻撃も理論上可能になる。パスワードのハッシュ化においても、レインボーテーブル攻撃などの脅威に対する脆弱性が指摘されている。これらの理由から、パスワードの保存や電子署名、認証プロトコルなど、高いセキュリティが求められる場面でのMD5の利用は避けるべきである。

現代において、セキュリティが重要な用途では、MD5よりも強力なハッシュ関数であるSHA-2(Secure Hash Algorithm 2、例えばSHA-256やSHA-512)、あるいは最新のSHA-3などの利用が推奨されている。しかし、MD5は依然として、セキュリティ要件が比較的低いデータの完全性検証や、ファイルの内容を特定するための簡易的な識別子、重複排除、データインデックス作成など、非暗号学的な用途では利用され続けている。例えば、膨大なデータの中から同じファイルを検出するためにMD5ハッシュ値を比較するといった利用法である。これはMD5が計算速度が比較的速く、広く普及しているため、既存のシステムや互換性の観点から採用されているケースが多い。MD5は過去の技術ではあるが、その役割と限界を理解することは、システムエンジニアを目指す上で重要である。

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