NL SASドライブ(エヌエル エスエーエス ドライブ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
NL SASドライブ(エヌエル エスエーエス ドライブ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
NL SASドライブ (エヌエルサスドライブ)
英語表記
NL SAS drive (エヌエルエスエーエスドライブ)
用語解説
NL SASドライブは、大容量データの効率的な保存とアクセスを両立させるために開発されたハードディスクドライブの一種だ。NLは「Nearline(ニアライン)」を、SASは「Serial Attached SCSI(シリアルアタッチドSCSI)」をそれぞれ意味する。従来の高性能なSAS HDDと、安価で大容量なSATA HDDの中間に位置づけられ、エンタープライズ環境において、アクセス頻度はそれほど高くないが大容量を必要とするデータの保存に適している。コスト効率と信頼性を高いレベルでバランスさせている点が最大の特徴と言える。
NL SASドライブを理解するには、まずその名称に含まれる「NL(ニアライン)」と「SAS(シリアルアタッチドSCSI)」の二つの要素を知ることが重要だ。
「ニアライン」という言葉は、データのアクセス頻度や重要度に基づいたストレージ階層の概念から派生している。データの保存環境は大きく「オンライン」「ニアライン」「オフライン」の三つに分けられることが多い。オンラインストレージは、常に高速なアクセスが求められるミッションクリティカルなデータを格納する場所であり、高性能なSSDやSAS HDDが用いられる。オフラインストレージは、ほとんどアクセスされないデータを長期的に保存するためのもので、テープライブラリなどがその代表例だ。そして、ニアラインストレージは、オンラインほどではないが、必要に応じて比較的迅速にデータを取り出せる環境を指す。アクセス頻度は中程度で、大量のデータを低コストで保存したい場合に選択される。NL SASドライブは、まさにこのニアラインのニーズに応えるために設計されたドライブであり、その特性から「Nearline SASドライブ」と呼ばれる。
次に「SAS」についてだ。SASは、エンタープライズストレージ環境で広く採用されている高速シリアルインターフェース規格である。以前主流であった並列SCSIの欠点を克服し、より高いデータ転送速度、堅牢性、信頼性、拡張性を提供するために開発された。SASインターフェースは、複数のデバイスをデイジーチェーン接続できる点や、ケーブル長を長くできる点、さらにはデュアルポート接続による冗長性確保の機能を持つ。これらの特徴は、データセンターなどの大規模環境での利用を前提としたエンタープライズ向けストレージシステムにおいて非常に有利となる。
NL SASドライブは、一般的にSATA(Serial ATA)ドライブの技術を基盤としつつ、エンタープライズ向けのSASインターフェースを採用している。これは、SATAドライブが大容量化と低コスト化に優れる一方で、SASインターフェースが提供する信頼性、管理性、パフォーマンス(特にコマンドキューイングの深さやエラー処理)を組み合わせることで、SATAドライブ単体では実現しにくいエンタープライズレベルの利用に適したドライブを作り出すことを目的としている。具体的には、SATAドライブが主にシングルポート接続であるのに対し、NL SASドライブはデュアルポート接続をサポートするため、パス冗長性を提供し、障害発生時の可用性を高めることができる。また、より高度なエラー検出・訂正機能や、コマンドの処理効率を向上させるテクノロジーも組み込まれている。
ドライブとしての特性は、主に大容量、低コスト、そして中程度の性能という点に集約される。回転速度は7200rpmが一般的であり、これは高性能なSAS HDD(通常10000rpmや15000rpm)よりは遅いものの、一般的なSATA HDDと同等レベルだ。そのため、ランダムアクセス性能はSAS HDDに劣るが、シーケンシャルアクセス性能は十分な場合が多く、大容量データを連続的に読み書きする用途に適している。容量あたりのコストはSAS HDDよりも安価であり、大容量を比較的低予算で実現できるため、ストレージシステムの総所有コスト(TCO)削減に貢献する。
NL SASドライブの主な用途は多岐にわたる。例えば、頻繁にはアクセスされないが、いざという時にはすぐに取り出せる必要があるバックアップデータの保存先として利用される。また、長期間保存が義務付けられているアーカイブデータ、システムログや監視データ、アクセス頻度が低い過去の業務データ(コールドデータ)などの格納にも適している。さらに、大規模なデータウェアハウスの基盤や、動画ストリーミングサービスにおける大容量コンテンツの保存、クラウドストレージのコールドストレージ層など、大量の非構造化データを扱う環境でも広く採用されている。これらの用途では、データの書き込み頻度や読み出し頻度は高くなくとも、一度に扱うデータ量が膨大であるため、大容量とコスト効率が重視される。
他のドライブとの比較では、NL SASドライブの位置づけがより明確になる。ソリッドステートドライブ(SSD)は最も高速で信頼性も高いが、容量単価が非常に高いため、ミッションクリティカルなアプリケーションやデータベースのプライマリストレージとして使われる。高性能SAS HDDは、SSDほどではないが高速なアクセスと高い信頼性を提供し、OLTP(オンライン・トランザクション処理)システムなど、アクセス頻度が高く性能が求められる用途に用いられる。SATA HDDは最も安価で大容量だが、コンシューマー向けに設計されており、エンタープライズレベルの信頼性や管理機能に欠ける。NL SASドライブは、SATA HDDの大容量・低コストという利点を継承しつつ、SASインターフェースによってエンタープライズグレードの信頼性、管理性、接続性、および一定のパフォーマンスを付加することで、これらの中間層のニーズを満たす最適な選択肢となる。
このように、NL SASドライブは、エンタープライズ環境において、コストとパフォーマンス、信頼性のバランスを重視する際に非常に有効なストレージソリューションと言える。