パラレルポート(パラレルポート)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
パラレルポート(パラレルポート)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
パラレルポート (パラレルポート)
英語表記
parallel port (パラレルポート)
用語解説
パラレルポートとは、主に1980年代から2000年代初頭にかけてパーソナルコンピュータ(PC)に広く搭載されていた、外部機器とのデータ通信を行うためのインターフェースの一つである。その名の通り、データを複数ビット同時に並行(パラレル)して送受信する方式を特徴としており、当時、特にプリンターを接続する際の標準的なポートとして普及した。現在では、ほとんどのPCでUSB(Universal Serial Bus)などのより新しいインターフェースに置き換えられ、一般的には見かけることの少ないレガシー技術となっているが、その技術的な背景や役割を理解することは、PCの進化の歴史やデータ通信の基礎を学ぶ上で重要である。
詳細を述べると、パラレルポートの歴史はPCの黎明期にまで遡る。初期のPCでは、周辺機器、特に文字や画像を紙に出力するプリンターとの接続が不可欠であった。データの伝送方式として、一度に1ビットずつしか送れないシリアルポートに対し、パラレルポートは通常8ビット(1バイト)のデータを一度に送ることができたため、より高速なデータ転送が可能であると考えられ、特に大量のデータを送るプリンターとの相性が良かった。このため、IBM PC互換機ではプリンターポート(LPTポート)として標準搭載され、事実上の業界標準となった。
技術的な側面を見ると、パラレルポートは複数のデータ線と、データ伝送を制御するための制御線、機器の状態をPCに伝えるためのステータス線で構成されていた。PC側ではDB-25という25ピンのD-subコネクタが、プリンター側ではCentronics-36という36ピンのコネクタが主に用いられた。データはこれらの複数のデータ線を介して同時に送られるため、理論上はシリアル伝送よりも高速である。しかし、複数の信号線が並行して走るため、ケーブルが長くなると信号間の干渉(クロストーク)やノイズの影響を受けやすくなり、正確なデータ伝送が困難になるという欠点も抱えていた。このため、パラレルケーブルの長さには制限があり、通常は数メートル程度に留まった。
パラレルポートにはいくつかの動作モードが存在した。最も基本的なモードはSPP(Standard Parallel Port)であり、これは双方向通信に対応しているものの、主にPCからプリンターへの一方的なデータ送信が中心であった。その後、より高速な双方向通信を可能にするために、EPP(Enhanced Parallel Port)やECP(Extended Capabilities Port)といった拡張モードが開発された。EPPは主に非プリンター機器(外付けハードディスクドライブ、スキャナーなど)との高速通信に適しており、ECPはDMA(Direct Memory Access)を利用してCPUの介在なしに高速なデータ転送を行うことができ、特に高速なプリンターやスキャナーでの利用が想定されていた。これらのモードは、既存のパラレルポートのハードウェアを最大限に活用し、性能を向上させる試みであった。
プリンター接続の他にも、パラレルポートは多様な用途で利用された。例えば、ZIPドライブのような外付けストレージデバイス、初期のスキャナー、ハードウェアロック(ドングル)としてソフトウェアの不正利用を防ぐセキュリティデバイス、特定の計測機器、さらにはマイクロコントローラや電子回路のプログラミングやデバッグにも使われた。これは、パラレルポートが比較的シンプルな制御で複数の入出力ピンを利用できたため、開発者にとって扱いやすいインターフェースであったからである。
しかし、2000年代に入ると、パラレルポートはその役割を終え始める。その主な要因はUSBの登場と普及である。USBは、パラレルポートが抱えていたケーブル長の制限、コネクタの大きさ、そして何より接続できるデバイスが限られるという問題を解決した。USBは複数のデバイスをデイジーチェーン接続でき、ホットプラグ(PCの電源を入れたまま抜き差しできる機能)、高速なデータ転送速度、そして高い汎用性を提供した。これにより、プリンターを含むほとんどの周辺機器がUSB接続へと移行し、PCメーカーもパラレルポートの搭載を順次中止していった。
現在、一般的なPCにおいてパラレルポートが搭載されることは稀であり、レガシーシステムや特定の産業用機器、あるいは古い計測機器などを操作する際に、限定的に使用されるのみとなっている。例えば、工場で稼働している古いNC旋盤や検査装置などが、いまだにパラレルポート経由でPCと接続されているケースや、組み込みシステム開発において、低レベルでのハードウェア制御のために利用される場合がある。このような状況では、USB-パラレル変換アダプターや、PCI/PCI Expressスロットにパラレルポートを追加する拡張カードなどが利用されることもある。パラレルポートは、PCの進化の歴史において重要な役割を果たしたインターフェースであり、その技術的特徴や限界を理解することは、現代の多様なインターフェース技術をより深く理解するための礎となる。