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U2F(ユーツーエフ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

U2F(ユーツーエフ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ユーツーエフ (ユーチューエフ)

英語表記

U2F (ユーツーエフ)

用語解説

U2F(Universal 2nd Factor)は、オンラインサービスにおけるユーザー認証をより安全かつ簡便にするためのオープンな認証標準である。従来のパスワードと組み合わせた二段階認証のセキュリティを大幅に向上させることを目的として開発された。

概要

U2Fは「ユー・ツー・エフ」と読み、FIDO(Fast IDentity Online) Allianceが最初に発表した認証仕様の一つだ。ユーザーは通常、Webサービスにログインする際にIDとパスワードを使用するが、これだけではフィッシング詐欺やマルウェアによるパスワードの盗難に対して脆弱だ。そこで、よりセキュリティを高めるために二段階認証が導入されてきた。従来の二段階認証には、登録済みのスマートフォンにSMSでワンタイムパスコードを送る方法や、専用アプリで生成される時間ベースのワンタイムパスワード(TOTP)を使用する方法などがあった。しかし、SMS認証はSIMスワップ詐欺のリスクがあり、TOTPもフィッシングサイトに誘導されるとパスワードとワンタイムパスワードの両方を騙し取られてしまう可能性が指摘されていた。

U2Fは、これらの問題点を解決するために考案された。物理的なセキュリティキー(U2Fデバイス)を認証要素として使用することで、フィッシングに対する耐性を強化し、同時にユーザーの利便性も高めることを目指す。U2Fデバイスは、USBポートに接続するタイプが一般的だが、NFC(近距離無線通信)やBluetoothでスマートフォンなどと連携するタイプも存在する。ユーザーはログイン時にIDとパスワードを入力した後、U2Fデバイスを接続し、ボタンを押すだけで認証が完了する。このシンプルな操作で、従来の二段階認証よりもはるかに強固なセキュリティが実現されるのがU2Fの大きな特徴だ。

詳細

U2Fの認証プロセスは、主に「登録フェーズ」と「認証フェーズ」の二段階で構成される。

まず登録フェーズでは、ユーザーが初めて特定のWebサービスでU2Fデバイスを利用するために、デバイスをサービスに紐づける作業を行う。この際、WebサービスはU2Fデバイスに対して「チャレンジ」と呼ばれるランダムなデータを送信する。U2Fデバイスは、そのチャレンジを受け取ると、デバイス内部で独自の暗号鍵ペア(公開鍵と秘密鍵)を生成する。この秘密鍵はデバイスから外部に出ることはなく、デバイス内部に安全に保管される。デバイスは生成した公開鍵に加えて、デバイスの識別子、カウンター値、そして秘密鍵で署名されたデータなどをWebサービスに送信する。Webサービスはこれらの情報を受け取り、ユーザーのアカウント情報と紐付けてデータベースに保存する。これでU2Fデバイスの登録が完了し、次回のログインから利用できるようになる。

次に認証フェーズでは、ユーザーが登録済みのWebサービスにログインを試みる。まず、ユーザーはIDとパスワードを入力する。Webサービスは、入力されたIDに対応するアカウント情報から、登録済みのU2Fデバイスの公開鍵などを検索し、再び「チャレンジ」をU2Fデバイスに送信する。同時に、Webサービスは現在アクセスしているWebサイトのドメイン情報(オリジン)もU2Fデバイスに伝える。U2Fデバイスは、受け取ったチャレンジとオリジン情報を、登録時に生成した秘密鍵を使って署名する。署名データには、デバイスの識別子やカウンター値も含まれる。この署名されたデータをWebサービスに返送する。Webサービスは、保存されている公開鍵を使用して、送られてきた署名が正規のU2Fデバイスから発信されたものであるかを検証する。この際、Webサービスは以下の重要な点を確認する。一つは、署名に含まれるオリジン情報が、現在アクセスされているWebサイトのドメインと一致するかどうかだ。これにより、フィッシングサイトからの認証要求を防ぐことができる。もしユーザーが偽のWebサイトに誘導されても、U2Fデバイスは正しいドメインではないと判断し、認証を行わないか、または正規のサービスがその署名を検証できないため、認証は失敗する。もう一つは、カウンター値が前回の認証時よりも増加しているかだ。カウンター値は認証ごとにデバイス内部で増加するため、同じ署名が何度も使われる「リプレイ攻撃」を防ぐ役割を果たす。これらの検証が全て成功した場合、Webサービスはユーザーのログインを許可する。

U2Fの最大のメリットは、その高いフィッシング耐性だ。従来のワンタイムパスワードでは、ユーザーがフィッシングサイトにログイン情報を入力してしまうと、その情報が攻撃者に傍受され、攻撃者が正規サイトでその情報を使ってログインできてしまうリスクがあった。しかしU2Fでは、認証時にU2FデバイスがWebサイトのオリジンを確認するため、偽のサイトでは認証が成立しない。また、認証処理はU2Fデバイス内部の安全な領域で行われるため、ユーザーが利用しているパソコンやスマートフォンがマルウェアに感染していたとしても、デバイス内部の秘密鍵が漏洩するリスクが非常に低い。さらに、ユーザーはパスワード入力後にデバイスを接続してボタンを押すだけという、簡単で直感的な操作で利用できる点も大きな利点だ。一つのU2Fデバイスを複数のWebサービスで利用できるため、管理の手間も少ない。

一方で、U2Fにもいくつかのデメリットや課題がある。まず、U2Fデバイスを紛失したり盗難されたりするリスクがある。このため、通常は予備のデバイスを登録しておくか、他の認証手段(ただしU2Fよりセキュリティレベルは低い)をバックアップとして設定しておくことが推奨される。また、当時はU2Fに対応しているWebサービスやデバイスの種類がまだ限定的であったという側面もある。U2Fは特定のハードウェアに依存するため、常にデバイスを持ち歩く必要がある点も、利用シーンによっては不便に感じられるかもしれない。

U2Fは、FIDO Allianceが提唱するパスワードレス認証の第一歩として非常に重要な技術であった。その基本的なコンセプトと技術は、後継の認証標準であるFIDO2およびWebAuthnへと発展し、今日の多くのWebブラウザやオペレーティングシステムに組み込まれる形で、より柔軟で強力な認証基盤を築いている。U2Fの理解は、現代のWeb認証セキュリティを学ぶ上での基礎となる。

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