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WebDAV(ウェブダヴ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

WebDAV(ウェブダヴ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ウェブダブ (ウェブダブ)

英語表記

WebDAV (ウェブデイブ)

用語解説

WebDAVは、「Web-based Distributed Authoring and Versioning」の略であり、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)を拡張し、ウェブ上でファイルを効率的に管理、共有、共同編集するためのプロトコルである。簡単に言えば、ウェブサーバーをまるで自分のパソコンのファイルサーバーのように使い、インターネット経由でファイルを直接編集したり、フォルダを作成したりできる技術だと理解できる。HTTPが主にウェブコンテンツの閲覧(読み取り)を目的として設計されたのに対し、WebDAVはウェブコンテンツの作成、更新、削除、プロパティ管理といった「書き込み」操作を可能にすることを意図して開発された。これにより、離れた場所にいる複数のユーザーが同じウェブ上のドキュメントを共同で編集したり、リモートのサーバー上にあるファイルを自分のPCから直接操作したりすることが容易になる。

WebDAVは、既存のHTTPプロトコルにいくつかの新しいメソッドとヘッダー、そしてXMLベースのメッセージ形式を追加することで、ファイルシステムの操作に必要な機能を実現している。通常のHTTPプロトコルは、主にGET(取得)、POST(送信)、PUT(アップロード)、DELETE(削除)といった基本的なメソッドを提供するが、これだけでは複雑なファイル管理や共同作業には不十分だった。例えば、ファイルのメタデータを照会したり、複数のユーザーが同時にファイルを編集する際の競合を避けたりする機能は存在しない。WebDAVはこれらの課題を解決するために考案された。

WebDAVが追加する主なメソッドは、次の通りである。まず「PROPFIND」は、ファイルやフォルダ(WebDAVでは「リソース」や「コレクション」と呼ぶ)のプロパティ(メタデータ)を取得するために使用される。ファイル名、作成者、作成日時、更新日時といった標準的なプロパティに加え、ユーザーが独自に定義したカスタムプロパティも取得できる。これに対し、「PROPPATCH」は、リソースのプロパティを更新するために用いられる。次に「MKCOL」は、サーバー上に新しいコレクション、つまりフォルダを作成するためのメソッドである。これにより、階層的なディレクトリ構造をウェブ上で構築できるようになる。「COPY」はリソースをコピーし、「MOVE」はリソースを移動または名前変更するために使用される。これらのメソッドにより、ローカルのファイルシステムと同じような感覚で、リモートのファイルを整理できる。

さらに、WebDAVの重要な機能として「ロック機能」がある。これは、複数のユーザーが同時に同じファイルを編集しようとした際に発生する競合(コンフリクト)を防ぐための仕組みである。「LOCK」メソッドを使用すると、指定したリソースに対してロックをかけることができる。ロックには、「共有ロック」と「排他ロック」の二種類がある。共有ロックは、複数のユーザーが同時にファイルを読み込むことは許可するが、書き込みは制限する。一方、排他ロックは、特定のユーザーだけがファイルを読み書きできるようにし、他のユーザーからのアクセスを完全に禁止する。これにより、一人のユーザーがファイルを編集している間は他のユーザーがそのファイルを変更できないようにすることで、データの整合性を保つことができる。「UNLOCK」メソッドは、設定されたロックを解除するために使用される。このロック機能は、特に共同でドキュメントを作成・編集する際に非常に有用である。

WebDAVは、HTTPの上に構築されているため、既存のウェブインフラストラクチャをそのまま活用できるという大きなメリットがある。ファイアウォールを通過しやすく、標準的なポート(HTTPは80番、HTTPSは443番)を使用するため、特別な設定なしにインターネット経由で利用できることが多い。また、HTTPS(SSL/TLSによる暗号化されたHTTP)と組み合わせることで、通信内容を盗聴されるリスクを低減し、安全にリモートファイル操作を行うことが可能となる。

利用シーンとしては、例えば、企業内で共有ドキュメントをウェブサーバー上に置き、従業員がどこからでもアクセスして編集できる環境を構築する場合に活用される。Microsoft Office製品やAdobe製品など、多くのデスクトップアプリケーションがWebDAVプロトコルをサポートしており、ユーザーはこれらのアプリケーションから直接WebDAVサーバー上のファイルを開き、編集し、保存することができる。これにより、ファイルのダウンロード、編集、アップロードという手間のかかる一連の作業を省略し、シームレスな作業環境を実現できる。

しかし、WebDAVにもいくつかの限界がある。例えば、大規模なファイル同期や、複雑なバージョン管理機能を本格的に実現するには、WebDAV単体では不十分な場合がある。WebDAVは簡易的なバージョン管理の拡張も持ってはいるものの、Gitのような専門的なバージョン管理システムに比べると機能は限定的である。また、サーバー側の認証・認可設定が適切に行われていない場合、不正アクセスやデータ改ざんのリスクがあるため、セキュリティ対策は非常に重要となる。それでも、リモートでの共同作業やファイル管理を効率的に行うための、シンプルかつ強力な標準プロトコルとして、WebDAVは現在でも多くのシステムで利用されている。

この技術を理解することは、ウェブサーバーの機能拡張や、リモートでのファイル共有・管理を伴うシステム開発に携わる上で、基本的な知識として不可欠である。HTTPが持つ柔軟性と拡張性を最大限に活かし、ウェブを単なる情報閲覧の場から、活発な情報作成・共有の場へと変貌させるための重要な一翼を担っていると言える。

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