【ITニュース解説】API testing feels repetitive across microservices. How do you handle it?

2025年09月10日に「Reddit /r/programming」が公開したITニュース「API testing feels repetitive across microservices. How do you handle it?」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

マイクロサービス開発ではAPIテストの繰り返し作業が課題だ。不正入力や境界値など共通テストが多く、効率化が求められる。そこで、OpenAPI仕様から多様なエッジケースを自動生成し、テスト結果をレポートするCLIツール「Dochia」が開発された。他の効率化手法についてもコミュニティの知見が募られている。

ITニュース解説

現代のソフトウェア開発において、大規模なシステムはしばしば「マイクロサービス」という手法で構築される。これは、一つの巨大なシステムを、それぞれが独立した小さな機能を持つ「サービス」に分割し、これらが連携し合うことで全体として機能するように設計する考え方である。例えば、オンラインショッピングサイトを想像してみると、商品の検索機能、注文処理機能、決済機能などがそれぞれ独立したサービスとして存在し、互いに協力し合って動作する。この手法は、各サービスを独立して開発・更新・拡張できるため、システム全体の柔軟性や開発効率を高めるメリットがある。

これらの独立したサービス同士が連携するためには、「API(Application Programming Interface)」という仕組みが使われる。APIは、異なるソフトウェアが互いに情報をやり取りするための窓口やルールのようなもので、例えば、商品の検索サービスが注文処理サービスに「この商品を注文したい」という情報を伝える際に、APIを通じてデータが送受信される。

マイクロサービスにおけるAPIは、システム全体の安定性を左右する非常に重要な要素であるため、開発段階でその機能が正しく動作するかを厳しく確認する必要がある。これが「APIテスト」だ。APIテストでは、想定される正しい入力データを与えたときに意図通りの結果が返ってくるか、エラーとなるべき入力データを与えたときに適切にエラー処理が行われるか、といった多岐にわたる検証が行われる。

しかし、マイクロサービスが多数存在する環境では、このAPIテストが非常に反復的で手間のかかる作業になりがちだという課題が指摘されている。各サービスは独自のAPIを持っているが、APIテストで確認すべき項目の中には、どのサービスに対しても共通して必要となるものが多く存在するからだ。

具体的には、以下のようなテスト項目がその典型例として挙げられる。 一つは「ネガティブ入力」のテストである。これは、APIが期待しない形式のデータや不正な値を受け取った場合に、システムが正しくエラーを返し、予期せぬ動作をしないことを確認するテストである。例えば、年齢を入力する欄に文字列が入力された場合や、数値の範囲が指定されている場合に範囲外の値が入力された場合などが該当する。 次に「境界値」のテストがある。これは、APIが許容する入力値の最大値や最小値、あるいはその境界線上の値を与えたときに、正しく処理されるかを確認するテストである。例えば、年齢が0歳から120歳までと決められている場合、0、1、119、120、121といった値を入力して動作を確認する。 さらに、「エンコーディングの癖」や「見えないUnicode文字」に関するテストも重要となる。異なる文字コードでエンコードされたデータや、画面上には表示されない特殊なUnicode文字がAPIに送られたときに、システムが誤動作したり、データが破損したりしないかを検証する。これらは、システムの脆弱性につながる可能性もあるため、特に注意が必要なテスト項目だ。

これらの共通するテストを、それぞれのマイクロサービスに対して手作業で、あるいはサービスごとに異なるスクリプトを書いて実行するのは、開発者にとって大きな負担となる。時間と労力がかかるだけでなく、ヒューマンエラーのリスクも高まり、テストの品質が低下する恐れもある。

このような課題を解決するため、「Dochia」というCLI(コマンドラインインターフェース)ツールが開発された。Dochiaは、OpenAPI仕様書という、APIの機能やデータの送受信ルールを詳細に記述した設計図を読み込むことで、テスト作業の自動化を試みる。 このツールは、OpenAPI仕様書に基づいて、APIが受け取る可能性のある「スマートなエッジケースのペイロード」を自動で生成する。エッジケースのペイロードとは、例えば非常に長い文字列、特殊な文字、数値の最大・最小値、無効なデータ形式など、APIが通常想定しないような、しかしシステムに問題を引き起こす可能性のあるデータのことだ。Dochiaはこれらの異常なデータを自動的にAPIに送りつけ、その応答を監視することで、APIが予期せぬ挙動を示したり、エラーになったりする箇所を特定する。 テストが完了すると、Dochiaは「何が壊れたか」、つまりAPIが期待通りに機能しなかった点や、脆弱性につながる可能性のある挙動を示した点をまとめた詳細なレポートを出力する。これにより、開発者は手動での膨大なテスト作業から解放され、より効率的かつ網羅的にAPIの品質を確保できるようになる。

このDochiaの開発者は、他のプログラマーたちが同様の反復的なAPIテストの問題に対してどのように対処しているのか、コミュニティに意見を求めている。彼らが「ファザー」と呼ばれるランダムなデータを入力して脆弱性を発見するツールを自作しているのか、あるいは既存の「単体テスト」や「結合テスト」といったテスト手法でカバーしているのか、それとも「クライアント(APIを利用する側のシステム)が変なデータを送ってこないことをただ期待しているだけなのか」といった問いかけを通じて、APIテストに関する多様なアプローチやベストプラクティスを共有したいと考えているのである。これは、APIテストの自動化と効率化が、マイクロサービス開発における共通の関心事であることを示している。

このように、マイクロサービス開発におけるAPIテストの反復性は避けられない課題だが、Dochiaのような自動化ツールを活用することで、開発者はこの負担を大幅に軽減できる。テストの自動化は、開発プロセス全体の効率を高め、結果としてより高品質で安定したシステムを構築するために不可欠な要素と言える。また、開発者コミュニティでの知見共有は、常に進化し続けるITの現場において、最適なソリューションを見つけ出し、より堅牢なシステムを構築する上で重要な役割を果たす。

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