【ITニュース解説】Apple acquiesced to my Apple Watch SE 3 demands (mostly)
2025年09月10日に「Engadget」が公開したITニュース「Apple acquiesced to my Apple Watch SE 3 demands (mostly)」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
Appleの新型廉価版「Apple Watch SE 3」は250ドルで価格を維持。上位モデルと同じS10チップ搭載で処理性能が向上し、ダブルタップ操作に対応した。充電速度も大幅に改善され、常時表示ディスプレイも追加されるなど、コストパフォーマンスがさらに高まった製品となっている。(119文字)
ITニュース解説
Appleが、スマートウォッチの新しい入門モデル「Apple Watch SE 第3世代」を発表した。このモデルは、Apple Watchシリーズの中で最も手頃な価格帯に位置づけられており、初めてスマートウォッチを使う人や、基本的な機能で十分と考えるユーザーを主な対象としている。今回の新モデルは、前世代からいくつかの重要な進化を遂げており、価格はそのままに、その価値を大きく高めている。
最も注目すべき変更点は、デバイスの頭脳にあたるプロセッサが、最新の上位モデルである「Apple Watch Series 11」と同じ「S10チップ」になったことだ。プロセッサは、人間で言えば脳に相当する部品で、その性能がスマートウォッチ全体の動作速度や処理能力を決定する。廉価モデルでありながら最新・最上位のプロセッサを搭載したことで、第3世代のApple Watch SEは、価格が倍以上する上位モデルと遜色のない快適な操作感を実現した。これにより、アプリの起動や画面の切り替えがよりスムーズになるだけでなく、将来登場する新しい機能にも対応できる性能を確保したことになる。
この新しいプロセッサがもたらす具体的なメリットは多岐にわたる。例えば、親指と人差し指を2回くっつけるだけで電話に出たり通知を操作したりできる「ダブルタップジェスチャー」に対応した。これは、手がふさがっている時などに非常に便利な機能だ。また、音声アシスタントであるSiriへの命令が、インターネットを介さずにApple Watch本体で直接処理されるようになった。これにより、タイマーの設定やアラームのセットといった簡単な操作が、より速く、そしてオフライン環境でも実行可能になり、日常的な使い勝手が向上している。
次に大きな改善点として挙げられるのが、充電速度である。前モデルのApple Watch SEは、バッテリーを完全に充電するのに2時間以上かかり、特に睡眠の質を記録する「睡眠トラッキング」機能を使う上で課題となっていた。夜間に装着してバッテリーを消費した後、朝の短い時間でその日の活動に必要な分を充電することが難しかったからだ。しかし、新しい第3世代モデルでは高速充電に対応し、わずか15分間の充電で約8時間使用できるようになった。これにより、朝の身支度の間に充電するだけで日中の使用に十分なバッテリーを確保でき、夜間の睡眠トラッキングも気兼ねなく利用できるようになった。これは、ユーザーの生活サイクルに密着した、非常に実用的な進化点と言える。
ディスプレイに関しては、新たに「常時表示」機能が追加された。これは、手首を上げていなくても、常に時刻や文字盤の一部が画面に薄く表示され続ける機能だ。これにより、ちらっと時間を確認したい時に手首を動かす必要がなくなり、より腕時計らしい自然な使い方が可能になった。一方で、画面のサイズや縁の太さは前モデルから変更されていない。上位モデルと比較すると表示領域はやや狭いが、廉価モデルとしての価格を実現するためのトレードオフと言えるだろう。また、画面の最大輝度も前モデルと同じ1000ニトだが、これは直射日光の下でも十分に情報を読み取れる明るさであり、実用上の問題はない。
ヘルスケア機能については、最上位モデルが持つような高度な医療レベルのセンサーは搭載されていない。具体的には、高血圧の兆候を検知する機能や、心電図(ECG)を記録する機能は備わっていない。しかし、多くのユーザーにとって必要十分な健康管理機能はしっかりと押さえられている。運動中の心拍数モニタリングや、睡眠の深さや質を分析してスコア化する機能は利用できる。さらに、新たに皮膚温センサーが搭載されたことで、女性の健康管理に役立つ周期記録の精度が向上した。日常的な健康意識を高めるためのツールとしては、十分な機能を持っている。
本体の素材は、コストを抑えるために安価なプラスチックが採用されるという噂もあったが、実際には上位モデルのベースと同じアルミニウム合金が使われている。これにより、手頃な価格でありながら、安っぽさを感じさせない質感と十分な耐久性を両立させている。
これら数々の機能向上を実現しながら、価格は前モデルと同じ250ドルからに据え置かれた。中身の性能は最上位モデルと同等になり、最大の弱点であった充電速度も克服した。初めてスマートウォッチを購入する人にとって、Apple Watch SE 第3世代は、機能、性能、価格のバランスが非常に優れた、極めて魅力的な選択肢となったと言えるだろう。