【ITニュース解説】From SysOps to CloudOps : Breaking Down the New SOA-C03 Exam from AWS

2025年09月10日に「Dev.to」が公開したITニュース「From SysOps to CloudOps : Breaking Down the New SOA-C03 Exam from AWS」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

AWSの認定資格「SysOps」が「CloudOps」に刷新された。試験内容は、コンテナやIaC(コードによるインフラ管理)といった現代的なクラウド運用技術がより重視されるようになった。マルチアカウント環境での運用やコスト管理の知識も問われる。

ITニュース解説

クラウドコンピューティングサービスで世界トップシェアを誇るAmazon Web Services(AWS)が提供する認定資格の一つ、「AWS Certified SysOps Administrator - Associate」が新しく生まれ変わった。この資格は、長年にわたりクラウドの運用やサポートを担当する技術者にとって標準的な目標とされてきたが、このたび試験コード「SOA-C02」が廃止され、新たに「AWS Certified CloudOps Engineer – Associate(試験コード: SOA-C03)」が導入されることになった。この変更の背景には、クラウド技術の進化に伴い、システムを運用管理するエンジニアに求められる役割やスキルが大きく変化していることがある。従来の「SysOps(システムオペレーション)」という考え方から、より現代的で自動化を重視した「CloudOps(クラウドオペレーション)」へと、求められる専門性がシフトしていることを反映した改定と言える。

新しい「SOA-C03」試験は、対象とする技術者層については従来と変わらず、クラウド運用の役割で少なくとも1年以上の実務経験を持つことが推奨されている。試験の基本的な形式も維持されており、全65問の選択式問題で構成され、そのうち15問はスコアに影響しない調査問題であるため、採点対象は50問となる。合格基準スコアも1000点満点中720点で変更はない。つまり、試験の骨格自体は大きく変わっていないため、これまで旧試験の準備を進めてきた受験者にとっても、大きな戸惑いなく挑戦できるだろう。

今回の改定で最も注目すべきは、試験で問われる内容の変化である。試験ガイドを比較すると、以前の試験範囲から何かが削除されたわけではなく、むしろ現代のクラウド運用に不可欠な新しい技術要素が追加・強調されている点が特徴だ。具体的には、いくつかの重要な技術分野への重点が置かれている。 第一に、「自動化」と「Infrastructure as Code(IaC)」である。IaCとは、サーバーやネットワークといったITインフラを、手作業ではなくプログラムコードによって構築・管理する手法を指す。これにより、設定ミスを減らし、迅速かつ再現性の高いインフラ構築が可能になる。試験では、AWSのIaCサービスである「AWS CloudFormation」や、よりプログラミング言語に近い形でインフラを定義できる「AWS Cloud Development Kit(AWS CDK)」を用いて、リソース群を効率的に管理するスキルが問われる。 第二に、「コンテナ技術」と「オーケストレーション」に関する知識だ。コンテナとは、アプリケーションを実行するために必要なプログラムやライブラリ、設定などを一つにパッケージ化する技術であり、環境に依存せずアプリケーションを素早く起動できる利点がある。そして、多数のコンテナを効率的に管理・運用するための技術がオーケストレーションである。新しい試験では、「Amazon Elastic Container Service(Amazon ECS)」や、コンテナオーケストレーションの標準的ツールであるKubernetesのマネージドサービス「Amazon Elastic Kubernetes Service(Amazon EKS)」の基本的な知識が明確に求められるようになった。 第三に、「マルチアカウント・マルチリージョン」での運用スキルである。企業がAWSを本格的に利用する場合、部署ごとや開発・本番環境ごとにAWSアカウントを分けたり(マルチアカウント)、災害対策やグローバル展開のために地理的に離れたデータセンター群であるリージョンを複数活用したり(マルチリージョン)することが一般的だ。このような複雑で大規模な環境において、複数のアカウントやリージョンにまたがるシステム全体の状況を監視するダッシュボードを構築したり、アカウント間でリソースを安全に共有したり、セキュアなアカウント管理体制を構築したりする実践的な能力が重要視される。 最後に、「コスト最適化」と「クラウド財務管理」である。クラウドは利用した分だけ料金が発生する従量課金制が基本であるため、コスト意識は運用担当者にとって不可欠なスキルだ。Amazon EBS(仮想サーバーのディスク)やAmazon RDS(データベース)といった主要なサービスを、性能を維持しつつコスト効率良く設定する知識や、「AWS Cost Explorer」といったツールを用いて利用料金を分析し、無駄をなくすための具体的な手法を理解しているかが問われる。

これらの重点分野の変化に伴い、試験範囲に含まれるAWSサービスもいくつか追加された。例えば、システムの監視やログ収集に使われる「Amazon Managed Service for Prometheus」、収集したデータをグラフなどで可視化するための「AWS Managed Grafana」などが挙げられる。セキュリティ分野では、ネットワークレベルでの通信を監視・フィルタリングする「AWS Network Firewall」が追加された。また、前述のコンテナ関連サービスである「Amazon ECS」や「Amazon EKS」、コンテナイメージを保管する「Amazon Elastic Container Registry(ECR)」も明確に範囲に含まれている。ID管理の分野では、複数のAWSアカウントやアプリケーションへのアクセスを一元管理する「IAM Identity Center」も新たな対象サービスとなった。

今回のAWS認定資格の改定は、単なる名称変更ではなく、現代のクラウドエンジニアに求められるスキルセットが、旧来のサーバーを一台ずつ手作業で管理するような「SysOps」から、自動化、コンテナ化、そして大規模な環境を効率的に管理・最適化する「CloudOps」へと進化している現実を明確に示したものだ。新しい「SOA-C03」試験は、最新のツールや技術を駆使して、今日のクラウド中心の世界で大規模なAWS環境を運用・管理する準備ができていることを証明するための資格へと生まれ変わった。システムエンジニア、特にクラウド分野でのキャリアを目指す者にとって、この新しい資格を取得することは、自身のスキルが現代の市場価値に合致していることを示す強力な武器となるだろう。