Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

【ITニュース解説】Brew Your Own Compiler: Building LLVM/Clang from Source on Any OS!

2025年09月14日に「Dev.to」が公開したITニュース「Brew Your Own Compiler: Building LLVM/Clang from Source on Any OS!」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

「LLVM/Clang」というコンパイラを、UbuntuやWindows、macOSなど主要OSでソースコードからビルドする手順を解説。自力で最新コンパイラを構築するために必要な環境準備やコマンドを具体的に示し、そのメリットも説明する。

ITニュース解説

このニュース記事は、LLVMとClangという重要なソフトウェア開発ツールを、既製のプログラムとしてダウンロードするのではなく、その元となるソースコードから自分でコンパイルして構築する方法について解説している。システムエンジニアを目指す上で、このような低レベルな部分への理解を深めることは非常に有益である。

まず、LLVMとClangが何であるかから説明する。LLVMとは「Low Level Virtual Machine」の略で、高性能なコンパイラを構築するための基盤技術の集合体である。さまざまなプログラミング言語(C、C++、Objective-C、Swiftなど)のコードを、コンピューターが実行できる機械語に変換するプロセスを効率的に行えるよう設計されている。Clangは、このLLVMプロジェクトの一部として開発された、C、C++、Objective-C言語に対応するコンパイラである。従来のコンパイラであるGCCと互換性を持ちながら、より高速なコンパイルや優れた診断機能を提供することが特徴だ。

通常、私たちはソフトウェアを使う際に、すでにコンパイル済みのプログラム、つまり「バイナリ」をダウンロードして利用することが多い。これは手軽で便利だが、記事ではこれを「インスタントコーヒー」に例え、ソースコードから自分でコンパイルする作業を「豆を焙煎する」ことに例えている。この比喩が示唆するのは、ソースコードからビルドすることで得られる、より深く、より新鮮な体験とメリットである。具体的には、最新の開発バージョンを試せる、特定の機能だけを有効にするなど細かくカスタマイズできる、自分のシステムに最適化されたコンパイラを構築できる、そして何よりも、コンパイラがどのように作られ、動いているのかというシステム開発の核心部分を学習できるという点だ。

LLVM/Clangをソースコードからビルドする一般的な手順は、どのオペレーティングシステム(OS)でも似たような流れで進行するが、それぞれのOSの特性に応じたツールの準備が必要となる。

最初のステップは「前提条件の準備」である。これは、ビルド作業を行うために必要なソフトウェアをインストールすることだ。具体的には、ソースコードの変更履歴を管理する「Git」、複雑なプロジェクトのビルド設定を生成する「CMake」、そして実際にソースコードを機械語に変換する「ビルドツール」(例えばLinuxやmacOSでは「Ninja」、Windowsでは「Visual Studio」)などが挙げられる。また、Pythonの開発用ライブラリや各種システムライブラリも必要になる。これらのツールはOSによってインストール方法が異なるため、UbuntuやFedora、Arch Linuxではそれぞれのパッケージマネージャー(apt、dnf、pacman)を使ってインストールし、WindowsではVisual StudioやGit for Windowsなどを個別にインストールする。macOSではXcodeという開発環境とHomebrewというパッケージ管理ツールを利用する。

次に「ソースコードの取得」を行う。これはGitコマンドを使って、LLVMプロジェクトの公式リポジトリからソースコード一式を自分のコンピューターにダウンロードする作業である。

ソースコードを取得したら、「ビルドディレクトリの作成」と「設定」を行う。通常、ダウンロードしたソースコードと同じ場所にはビルド関連のファイルを作成せず、別の専用ディレクトリ(例えば build ディレクトリ)を作成してそこで作業を進める。これは「アウトオブソースビルド」と呼ばれ、ソースコードの管理がしやすくなる利点がある。このビルドディレクトリ内でCMakeを使って、ビルドの設定を行う。この設定では、どのビルドシステム(NinjaかVisual Studioかなど)を使うか、リリース版としてビルドするか、Clangや他の関連プロジェクトを含めるか、どこにインストールするかといった詳細を指定する。特にWindowsではVisual Studioのバージョンを指定する必要がある。

設定が完了すると、いよいよ「ビルドの実行」となる。CMakeで生成されたビルドファイルを使って、NinjaやVisual Studioが実際のコンパイル作業を行う。この作業は非常に多くのソースコードをコンパイルするため、コンピューターの性能によってはかなりの時間がかかることがある。ビルドが成功したら、任意で「テストの実行」もできる。これは、コンパイルされたLLVM/Clangが正しく動作するかどうかを確認するためのテストだ。

最後のステップは「インストールの実行」である。ビルドされたプログラムファイルを、システムが参照できる所定のディレクトリに配置する。LinuxやmacOSでは通常 /usr/local などのパスが指定され、管理者権限が必要な場合もある。WindowsではCMakeが指定されたインストールパスにファイルを配置する。

各OSごとの注意点としては、WindowsではMicrosoftが公式にサポートしているVisual Studioを使ったビルドが推奨されており、MinGWのような他の環境では互換性の問題が生じる可能性がある。macOSでは、Appleの開発環境であるXcodeに付属するコマンドラインツールが必須となる。Linuxでは多くのディストリビューションでLLVM/Clangのパッケージが提供されているため、最新版を試したい場合や特殊なカスタマイズが必要な場合にソースからのビルドを選択するのが一般的だ。

ビルドとインストールが完了したら、「バージョンの確認」として clang --versionllc --version コマンドを実行し、自分でビルドしたバージョン情報が表示されることを確認する。これにより、新しいコンパイラがシステムに正しく導入されたことがわかる。

将来的に、もしインストールしたLLVM/Clangを削除したい場合や、新しいバージョンにアップグレードしたい場合は、インストール時に生成されるファイルリスト (install_manifest.txtなど) を参照して削除したり、インストールディレクトリを直接削除したりする方法がある。

このように、LLVM/Clangをソースコードから自分で構築するプロセスは、単にツールを使うだけでなく、ソフトウェアがどのように作られ、システム上で動くのかという深い理解へとつながる重要な経験である。システムエンジニアとしての基盤を固める上で、このような実践的な取り組みは非常に価値があると言えるだろう。

関連コンテンツ

関連IT用語