zlib (ズィーリブ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
zlib (ズィーリブ) の読み方
日本語表記
ズィブ (ゼタバイト)
英語表記
zlib (ズィーリブ)
zlib (ズィーリブ) の意味や用語解説
zlibは、データ圧縮ライブラリの一つだ。特に、ロスレス(可逆)圧縮と呼ばれる、データを元の状態に完全に復元できる圧縮方式を採用している。様々なプラットフォームやプログラミング言語で利用されており、その汎用性と効率性から、事実上の標準的な圧縮ライブラリとして広く普及している。 zlibの主な役割は、ファイルサイズを小さくすることだ。ファイルサイズを小さくすることで、ディスク容量の節約、ネットワーク転送時間の短縮、メモリ使用量の削減といった効果が期待できる。たとえば、Webサイトで配信する画像ファイルや動画ファイルを圧縮したり、ソフトウェアの配布パッケージを小さくしたり、バックアップデータを圧縮して保存したりする際に利用される。 zlibは、DEFLATEという圧縮アルゴリズムを実装している。DEFLATEは、LZ77とハフマン符号化という二つの技術を組み合わせたものだ。 LZ77は、過去に出現した文字列の繰り返しを利用する圧縮方法だ。圧縮対象のデータ中で、過去に現れた文字列と同じパターンが見つかった場合、そのパターンを「距離」と「長さ」という情報で置き換える。距離は、過去の文字列がどれだけ遡った位置にあるかを示し、長さは、その文字列がどれだけの長さを持つかを示す。これにより、繰り返し出現するデータを効率的に圧縮できる。 ハフマン符号化は、出現頻度の高い文字に短い符号を、出現頻度の低い文字に長い符号を割り当てることで、データ全体を圧縮する。例えば、英語のテキストでは、'e'や't'といった文字が頻繁に出現する一方、'z'や'q'といった文字はあまり出現しない。ハフマン符号化では、'e'や't'には短い符号を、'z'や'q'には長い符号を割り当てることで、平均的な符号長を短くし、データ全体を圧縮する。 zlibは、C言語で記述されているため、移植性が高い。C言語は、様々なオペレーティングシステムやハードウェアプラットフォームで利用できるため、zlibも幅広い環境で利用できる。また、zlibは、ライセンスが非常に緩いzlibライセンスで配布されている。これにより、商用利用、非商用利用を問わず、自由に利用できる。 zlibは、gzipやpngといった、様々なファイル形式やプロトコルで使用されている。gzipは、ファイルの圧縮・解凍によく用いられる形式で、zlibを内部で使用している。WebサーバーからWebブラウザへコンテンツを送信する際に、gzip圧縮を適用することで、転送時間を短縮できる。pngは、画像ファイル形式の一つで、zlibを内部で使用して画像を圧縮する。これにより、画質を劣化させることなく、ファイルサイズを小さく保つことができる。 zlibの利用は比較的簡単だ。多くのプログラミング言語には、zlibを利用するためのライブラリやモジュールが用意されている。例えば、Pythonでは、標準ライブラリの`zlib`モジュールを利用することで、簡単にデータの圧縮・解凍を行うことができる。Javaでは、`java.util.zip`パッケージにzlibに関連するクラスが含まれている。 zlibを使用する際には、圧縮レベルを指定することができる。圧縮レベルは、圧縮にかかる時間と圧縮率のトレードオフを調整するためのパラメータだ。圧縮レベルが高いほど、圧縮率は高くなるが、圧縮にかかる時間も長くなる。逆に、圧縮レベルが低いほど、圧縮率は低くなるが、圧縮にかかる時間は短くなる。適切な圧縮レベルは、データの種類や利用状況によって異なるため、状況に合わせて調整する必要がある。一般的には、デフォルトの圧縮レベル(レベル6)が、圧縮率と圧縮時間のバランスが取れており、多くの用途に適している。 zlibは、高速かつ効率的な圧縮ライブラリであり、様々な分野で活用されている。システムエンジニアを目指す上で、zlibの基本的な知識を身につけておくことは、非常に有益だ。