Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

【ITニュース解説】Lets build a full-stack LLM app with Autonomk

2025年09月20日に「Dev.to」が公開したITニュース「Lets build a full-stack LLM app with Autonomk」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Autonomkは、プライベートなAI(LLM)アプリを簡単に構築したいエンジニア向けツールだ。WebフロントエンドとAPIの設計図が提供され、バックエンドはJavaやPythonなどで自由に開発できる。オープンソースでベンダーロックインがなく、データとデプロイを完全に制御できるのが特長だ。

出典: Lets build a full-stack LLM app with Autonomk | Dev.to公開日:

ITニュース解説

今日のIT業界では、大規模言語モデル(LLM)を使ったアプリケーションを自社で開発するニーズが高まっている。企業がLLMアプリを構築する際、データの保存場所、ユーザー認証の方法、アプリの展開方法など、多くの要素を自社で完全に管理したいと考えるのは自然なことだ。さらに、既存のシステムに新しいLLMアプリを統合する必要がある場合、利用できる技術的な選択肢が限られることもある。このような状況で、プライベートなフルスタックLLMアプリをこれまでになく簡単に構築できる可能性を提供するのが「Autonomk」というソリューションである。

Autonomkは、ウェブ、モバイル(近日公開)、デスクトップ(近日公開)向けのフロントエンドアプリの集合体と、APIの設計方法を定めた「OpenAPIスキーマ」から構成される。ここで重要なのは、Autonomkが完全なフルスタックアプリ全体を提供するわけではないという点だ。むしろ、ユーザーに対しては、すでに構築済みのフロントエンド部分と、バックエンドAPIをどのように設計・実装すればよいかを示すOpenAPIスキーマを提供する。つまり、ユーザーはAutonomkの提供するフロントエンドを使い、それに合わせて自分自身のバックエンドを開発することになる。

Autonomkの核心にある哲学は「あなたのデータ。あなたのAI。」である。この考え方は、オープンソース技術の採用、特定のベンダーに縛られない「ベンダーロックイン」の回避、ユーザー自身によるバックエンド技術スタックの完全な制御、そして「クライアントサーバーアーキテクチャ」の採用といった価値観に基づいている。クライアントサーバーアーキテクチャとは、ユーザーが操作するアプリ(クライアント)と、データ処理や機能を提供するサーバー(バックエンド)が分かれて通信する一般的な仕組みのことだ。

Autonomkを使ってアプリを構築する場合、まずフロントエンドから始める。Autonomkのウェブサイトにアクセスし、「Autonomk AIクライアント」と呼ばれるウェブアプリ用の事前に構築された静的ファイル群をダウンロードする。これらのファイルはJavaScript、HTML、CSSといった、ウェブサイトの見た目や動きを定義する基本的な技術で構成されており、特別な開発ツールをローカルで動かすことなく、ウェブサーバーから直接展開できる。このウェブアプリは「React」という技術で作られた「シングルページアプリケーション(SPA)」であり、ページ遷移が高速で、サーバー側の設定も最小限で済む。ウェブサーバー上で、このアプリのファイルを返すためのエンドポイントを一つ設定するだけでよい。さらに、NetlifyやVercelといった「CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)」サービスを利用すれば、より手軽にアプリを公開することも可能だ。

次にバックエンドの構築だが、これも比較的シンプルだ。AutonomkのGitHubページから、Java、C#、Pythonといった主要なプログラミング言語に対応したクイックスタートコードをダウンロードできる。これらのコードには、バックエンドを立ち上げるための基本的な手順が記載されているので、その指示に従ってデプロイするだけでよい。特別な登録作業や「Docker」のようなコンテナ技術を導入する必要もなく、シンプルに始められるのが特徴だ。開発したバックエンドは、先ほどダウンロードしたAutonomk AIクライアントの静的ファイル群を提供できるように設定する。

Autonomk AIクライアントは、見た目をカスタマイズすることも可能だ。Autonomkは「tweakcn」というツールを使ってスタイリングを行っており、このジェネレーターからCSSコードを生成し、それをクライアントのpublic/styles/theme.cssフォルダにコピーするだけで、アプリの見た目を変更できる。より詳細なスタイルガイドも現在開発中であり、将来的にはさらに細かな制御が可能になる予定だ。また、クライアントの基本的な設定もpublic/scripts/env.jsファイルで行える。例えば、バックエンドAPIのエンドポイントを指定するHOST、ログインページやHTMLドキュメントに表示されるアプリのタイトルTITLE、そしてデフォルトのテーマをlightdarkのどちらにするか指定するDEFAULT_THEMEといった項目がある。

Autonomkは、今後も様々な機能拡張を計画している。具体的には、管理コンソール、デスクトップアプリ、モバイルアプリの提供、より詳細なスタイルガイド、リアルタイム通信を可能にする「SSE(Server-Sent Events)」や「WebSocket」のサポート、そして画像や動画を含む多様な形式のデータをアップロードできる「マルチモーダルアップロード」機能などが挙げられる。

世の中にはAutonomk以外にも、LLMアプリ構築に特化したいくつかのソリューションが存在する。それらと比較することで、Autonomkの立ち位置がより明確になるだろう。

一つ目は「Open WebUI」だ。これもオープンソースでベンダーロックインがないが、アプリのテーマ(見た目)を簡単に変更する機能が現状では不足している。また、特定の技術スタックを強制する傾向があり、それが制約となる場合もある。もしOpen WebUIの提供する機能や制約に問題がないと感じるなら、そちらも良い選択肢となる。

二つ目は「LM Studio」である。これはフルスタックソリューションではなく、デスクトップアプリケーションとして提供されている。自分のパソコン上でローカルにLLMを動かしたい場合に非常に有効だ。

三つ目は「Gradio」だ。これはPythonベースのLLMアプリ構築ツールで、カスタムテーマ、自己ホスティング、ベンダーロックインなしといった多くの利点を持つ。しかし、Autonomkとはアプローチが異なる。Autonomkが事前に構築されたウェブアプリを提供し、それに合わせてバックエンドを作るのに対し、Gradioはユーザー自身がフロントエンドを構築することを想定している。また、APIの設計についても、AutonomkがOpenAPIスキーマという形で設計方法を示すのに対し、GradioではAPIの設計もユーザーが行う必要がある。もしPythonを使って独自のLLMウェブアプリをゼロから構築したいと考えるなら、GradioはAutonomkやOpen WebUIよりも適しているかもしれない。

上記の他に、「Streamlit」「Dash」「Shiny」「Retool」といったツールも存在するが、これらはLLMに特化したアプリ構築ツールというよりは、一般的なデータアプリケーションやウェブアプリの構築に使われることが多い。しかし、これらもプライベートなLLMアプリの構築に利用できる可能性はある。

結局のところ、どのソリューションを選ぶべきかは、開発者が何を優先するかによって決まる。もし、ローカル環境でLLMを動かすデスクトップアプリを求めているならLM Studioが良いだろう。PythonとDockerを使ってフルスタックアプリを構築したいならOpen WebUIが選択肢になる。Pythonで独自のフロントエンドとバックエンドの両方をゼロから作りたい場合はGradioが適している。そして、もし、すでに構築された使いやすいフロントエンドを活用しつつ、バックエンドは自分の好きな技術で自由に構築したいと考えるなら、Autonomkが最適な選択肢となるだろう。Autonomkは、開発者がデータの主権と技術スタックの自由度を保ちながら、手軽にLLMアプリを開発できる新しいアプローチを提供している。

関連コンテンツ

関連IT用語

【ITニュース解説】Lets build a full-stack LLM app with Autonomk | いっしー@Webエンジニア