【ITニュース解説】⚡ Deep Dive: How `Promise.all` Works with API & DB Calls in Node.js

2025年09月07日に「Dev.to」が公開したITニュース「⚡ Deep Dive: How `Promise.all` Works with API & DB Calls in Node.js」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Node.jsのPromise.allは、APIやDBへの複数処理をまとめて高速化する。JavaScript自体はシングルスレッドだが、OSやDBエンジンに非同期処理を任せることで、複数の処理を並行実行し全体の時間を短縮する。ただし、API制限やDB接続数には注意が必要だ。

ITニュース解説

システムエンジニアを目指す上で、非同期処理の効率的な管理は非常に重要なスキルだ。Node.js環境で外部のAPIやデータベースと連携する際に、「Promise.all」という機能がどのように動作し、なぜ効率的なのか、そしてどのような点に注意すべきかを理解することは、堅牢で高性能なアプリケーションを構築する第一歩となる。

まず、JavaScriptの基本的な性質から見ていこう。JavaScriptは一般的に「シングルスレッド」で動作する。これは、一度に一つの処理しか実行できないことを意味し、コードは上から下へと順番に実行される。しかし、Node.jsは、このシングルスレッドのJavaScriptに「並行処理」の能力を与えている。Node.jsはGoogle ChromeのV8エンジンに加えて、「libuv」というライブラリを使用している。libuvは、イベントループとスレッドプールを提供し、オペレーティングシステム(OS)の非同期I/O機能と連携することで、Node.jsがノンブロッキングな処理、つまり「待ち時間」を有効活用する能力を持っている。Node.jsが並行処理を実現するのは、JavaScript自体に複数のスレッドを追加するのではなく、OSやデータベースエンジン、libuvのワーカースレッドといった外部の仕組みに仕事を「アウトソース」することで、同時に複数の処理が進んでいるかのように見せているのだ。

次に、Promise.allの具体的な仕組みを解説する。Promise.allは、複数の非同期処理(Promiseオブジェクト)をまとめて実行し、それら全ての完了を待つための特別なPromiseだ。例えば、3つのPromise、p1、p2、p3があったとして、Promise.all([p1, p2, p3])と記述すると、これら3つのPromiseが同時に開始される。Promise.allは、これらのPromiseの進行状況を追跡し、全てのPromiseが成功(解決)した場合にのみ、それぞれの結果を配列としてまとめて返す。しかし、もし一つでもPromiseが失敗(拒否)した場合、Promise.allは即座に失敗し、その失敗したPromiseのエラーを返す。このPromiseの解決は、Node.jsの内部的な仕組みである「マイクロタスクキュー」という場所で実行される。このマイクロタスクキューは、タイマー処理や一般的なI/O処理よりも優先して実行されるという特徴がある。

実際のアプリケーションでAPI呼び出しを行う際、Promise.allがどのように役立つかを見てみよう。複数の外部APIエンドポイントからデータを取得したい場合、それぞれのリクエストをPromise.allに渡すことができる。例えば、fetch関数を使って3つのAPIに同時にリクエストを送ると、Node.jsの内部では、fetchがOSに対してTCPソケットの作成を要求する。OSはDNSの名前解決、TCPのハンドシェイク、TLS/SSLの確立といったネットワーク通信のプロセスを処理する。データが到着すると、libuvがOSから通知を受け取り、それらのI/O完了コールバックをイベントループにプッシュする。そして、これらのコールバックが実行されることでPromiseが解決され、最終的にPromise.allが結果をまとめる。このケースでの「並行処理」は、主にOSのネットワークスタックが提供している。

データベースへのクエリも同様だ。複数の異なるテーブルからデータを取得する場合、それぞれのクエリをPromise.allに渡すことで、並行して実行できる。例えば、pgモジュールを使ってPostgreSQLデータベースに接続し、ユーザー情報と注文情報を同時に取得するような場合だ。クエリが発行されると、Node.jsはデータベースソケットにクエリを書き込む。PostgreSQLのようなリレーショナルデータベースは、内部的に複数のワーカープロセスを起動し、それらのクエリを並行して実行する能力を持っている。クエリの結果はデータベースからNode.jsに返され、libuvがその到着をイベントループに通知する。ここでの並行処理は、主にデータベースエンジンが提供していると言える。

Node.jsの「イベントループ」と「マイクロタスク」の役割をもう少し詳しく見てみよう。イベントループはNode.jsの心臓部であり、非同期処理の実行順序を管理している。イベントループにはタイマー処理、保留中のコールバック処理、新たなI/Oイベントの待機、setImmediateの処理といった複数のフェーズがある。ここでの重要なポイントは、イベントループが各フェーズの間に、必ず「マイクロタスクキュー」を実行することだ。Promiseの解決はマイクロタスクとして扱われるため、例えばタイマーのコールバックや新たなI/Oイベントの処理よりも先に実行される。

libuvの役割についても誤解しやすい点がある。libuvには、OSが非同期APIを提供している場合に利用する「ネットワークI/O」の仕組みと、OSが非同期APIを提供していない場合に利用する「スレッドプール」の仕組みがある。API呼び出しやデータベースソケットのようなネットワークI/Oは、epollkqueueIOCPといったOSが提供する非同期I/Oメカニズムを利用する。これらはNode.jsのスレッドプールをほとんど使用しないため、非常に高いスケーラビリティを発揮できる。一方、fs.readFileのようなファイルシステム操作やCPU負荷の高い暗号処理など、OSが非同期APIを直接提供していないケースでは、libuvは内部的にスレッドプールを利用して処理をバックグラウンドで実行し、メインのJavaScriptスレッドをブロックしないようにしている。したがって、API呼び出しやデータベースクエリでは、Node.jsのスレッドプールがボトルネックになることは稀であり、並行処理の能力はOSや外部サーバーに依存していることを理解しておく必要がある。

Promise.allを使うことで、どれだけ処理が高速化されるかを具体的な例で確認してみよう。例えば、データベースに対してそれぞれ1秒かかるクエリを5回実行する場合を考える。これを順番に実行すると合計約5秒かかるが、これらの5つのクエリをPromise.allに渡して並行して実行すると、全てがほぼ同時に開始され、約1秒で完了する。このように、I/O処理の待ち時間を重ね合わせることで、Promise.allは劇的な速度向上をもたらす可能性がある。

しかし、Promise.allは強力なツールであると同時に、いくつかの注意点も存在する。第一に、「APIのレート制限」だ。あまりにも多くのリクエストを同時に外部APIに送ると、相手側が処理しきれなくなり、「HTTP 429 Too Many Requests」のようなエラーが返されることがある。これを避けるためには、p-limitBottleneckのようなライブラリを使って、同時に実行するリクエスト数を制限する「並行処理制御」を行うべきだ。第二に、「データベース接続プールの枯渇」だ。データベースへの接続には限りがあるため、大量のクエリを一度に発行すると、データベースの接続プールを使い果たし、クエリがキューに滞留してレイテンシが急上昇する可能性がある。接続プールサイズを適切に調整したり、クエリをバッチ処理で実行したりする工夫が必要だ。第三に、「エラーハンドリング」の難しさだ。Promise.allは、渡されたPromiseのいずれか一つでも失敗すると、即座に全体が失敗し、他のPromiseの結果は得られない。全ての結果(成功か失敗かにかかわらず)を取得したい場合は、「Promise.allSettled」を使うべきだ。第四に、「メモリ使用量」の問題がある。非常に大規模なデータを扱う場合、Promise.allは全ての中間結果をメモリ上に保持するため、大量のメモリを消費する可能性がある。このような場合は、全てのデータを一度にバッチ処理するのではなく、結果をストリーミング形式で処理することを検討する必要がある。

Promise.all以外にも、目的に応じて使い分けるべきPromiseの組み合わせ機能がある。「Promise.any」は、渡されたPromiseのうち一つでも成功したらすぐに解決する。冗長なサービスからデータを取得するような場合に有効だ。「Promise.race」は、渡されたPromiseのうち最初に解決(成功または失敗)したPromiseの結果で解決する。タイムアウトを実装する際などに便利だ。

最終的に、Promise.allは非同期タスクを「調整」する強力なツールではあるが、JavaScriptコード自体を並行に実行する「魔法」ではない。API呼び出しの並行処理はOSのネットワーク機能から、データベースクエリの並行処理はデータベースエンジンから来ていることを理解しておくべきだ。Node.jsのイベントループとlibuvは、これら外部システムとの連携を円滑にする接着剤のような役割を果たしている。Promise.allを使うことで、実際の処理時間を大幅に短縮できることをベンチマークは示しているが、同時に、APIのレート制限、データベース接続プールの限界、メモリ使用量といったスケーラビリティに関するリスクも考慮に入れる必要がある。単に「並行して実行される」という知識だけでなく、システムがどれだけの並行処理に耐えられるのかを深く理解することが、実践的なエンジニアリングにおいて最も重要となる。

関連コンテンツ

関連IT用語