【ITニュース解説】I’ve reviewed thousands of engineering resumes. This is what tells me you can code.
2025年09月09日に「Dev.to」が公開したITニュース「I’ve reviewed thousands of engineering resumes. This is what tells me you can code.」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
エンジニアの履歴書では、スキルを羅列するのではなく、具体的なプロジェクト経験で構築能力を証明することが重要だ。GitHubで成果物を示し、「パフォーマンスを15%改善」のように数字で貢献を語ること。実務経験がなくても、個人開発やOSS貢献でアピールできる。
ITニュース解説
エンジニアの職務経歴書は、単に習得したプログラミング言語やツールを一覧にするためのものではない。それは、自身が持つ技術を用いて「何を作り、どのような課題を解決できるか」を具体的に証明するための重要な書類である。採用担当者は、履歴書や職務経歴書を通して、候補者が実際にビジネス上の価値を生み出せる人物かどうかを見極めようとしている。そのため、自分の能力を効果的に伝えるには、単なるスキルの羅列ではなく、具体的な実績を示すことが不可欠だ。
職務経歴書において最も重要なのは、プロジェクト経験である。「Javaが使える」といった抽象的な記述では、あなたの能力は伝わらない。「JavaとSpring Bootフレームワークを用いて、ECサイトの在庫管理システムのバックエンドを開発した」というように、使用した技術と開発した成果物をセットで記述する必要がある。これにより、採用担当者はあなたが特定の技術をどのレベルで扱えるのかを具体的にイメージできる。さらに、その成果を数値で示すことは極めて有効な手段である。例えば、「新機能の実装により、商品の登録にかかる時間を平均10秒短縮した」や「データベースのクエリを最適化し、サーバーの応答速度を15%向上させた」といった具体的な数字は、言葉だけの説明よりもはるかに強い説得力を持つ。「[Z]という技術的アプローチを用いることで、[Y]という指標を[X]だけ改善した」という形式で、自身の貢献を整理すると良いだろう。そして、作成したプログラムのソースコードや、実際に動作するデモサイトへのリンクは必ず記載するべきだ。GitHubのリポジトリや個人で運営するポートフォリオサイトへのリンクを添えることで、採用担当者はあなたの技術力を直接確認できる。クリックして確認できない実績は、書類上では存在しないものとして扱われる可能性すらあることを認識しておく必要がある。
技術スキルだけでなく、それ以外の要素も評価において重要視される。チームでの開発経験をアピールする上で、オープンソースソフトウェアへの貢献は非常に高く評価される。既存のプロジェクトに対してバグ修正を行ったり、新しい機能を追加したり、ドキュメントを改善したりといった活動は、他者と協力して一つのプロダクトを開発する能力、すなわち協調性と主体性の強力な証明となる。また、単に「技術的な問題を解決した」と記述するだけでは不十分である。どのような複雑な問題に直面し、その問題をどのように分析し、どのようなアプローチで解決策を導き出したのか、そしてその一連のプロセスから何を学んだのかを具体的に説明することが求められる。これは、あなたの思考プロセスと論理的な問題解決能力を示す上で欠かせない要素だ。コミュニケーション能力やチームワークといった、いわゆるソフトスキルも、純粋な技術スキルと同等に重視される傾向が強まっている。自分の開発した機能が、チーム全体の生産性やビジネス上の成果にどのように貢献したかを明確に説明できる能力は、特に将来的にリーダーシップを発揮する上で不可欠な資質と見なされる。
エンジニアとしての実務経験がない、あるいは浅い場合でも、開発者としての能力を証明する方法は存在する。前述したオープンソースへの貢献は、実務経験がなくとも参加できる有効な手段である。たとえ小さな修正や改善であっても、実際の開発プロセスに参加した経験として評価される。また、個人で開発したプロジェクトについて、その過程をブログや技術記事として公開することも非常に効果的だ。開発に至った動機、直面した技術的な課題、そしてそれをどのように乗り越えたかを文章にすることで、あなたの思考の深さと学習意欲、そして主体性を示すことができる。GitHubにプロジェクトを公開する際は、ただソースコードを置くだけでなく、READMEファイルを充実させることが極めて重要である。プロジェクトの概要、セットアップ方法、使用している技術構成、機能の一覧などを丁寧に記述することで、あなたのドキュメント作成能力と、他の開発者への配慮ができる人物であることをアピールできる。自分自身の日常の課題を解決するためのツールを開発したり、友人の小規模なビジネスを手伝ったりするなど、個人的な動機に基づくプロジェクトは、あなたの情熱と実行力を伝える強力なストーリーとなり、採用担当者の記憶に残りやすい。
職務経歴書を作成する上で、いくつか注意すべき点がある。学歴や取得した資格も、特にキャリアの初期段階においては一定の評価対象となるが、キャリアを積んでいく上では、実際の開発経験や具体的な成果物がそれらを上回る価値を持つようになる。実用経験の伴わない多数のスキルや資格を羅列することは、かえって能力への自信のなさと受け取られ、評価を下げかねないため注意が必要だ。近年、多くの企業でAIによる書類選考システム(ATS)が導入されている。そのため、応募する職務の募集要項をよく読み、求められているキーワードを自身の経歴の中に適切に含めることも、最初の選考を通過するために必要な戦略となる。さらに、技術のトレンドとして、ChatGPTのような生成AIツールの活用が急速に広がっている。今後は、これらのAIツールをいかにうまく活用し、コーディングの生産性を高められるかという能力も評価対象になっていくだろう。複雑な課題に対して、AIと協力しながら創造的な解決策を導き出すスキルが、これからのエンジニアには強く求められるようになる。
最終的に、優れた職務経歴書とは、あなたがこれまで何を学び、何を作り、どのように問題を解決してきたかの軌跡を記した、あなた自身の物語である。小手先のテクニックに頼るのではなく、継続的に興味のあるものを作り、現実の問題を解決し、新しい技術を学び続けるという姿勢こそが、エンジニアとしての確固たるキャリアを築く上での最も確実な道筋となる。職務経歴書は、その情熱と献身を証明するための生きた証となるのだ。