【ITニュース解説】IAM Roles & Instance Profiles
2025年09月07日に「Dev.to」が公開したITニュース「IAM Roles & Instance Profiles」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
EC2インスタンスが他のAWSサービスへ安全にアクセスするには権限が必要だ。IAM Roleで権限セットを定義し、Instance Profileという仕組みを使ってEC2に割り当てる。これによりインスタンスは一時的な認証情報を取得できる。
ITニュース解説
クラウドコンピューティング、特にAmazon Web Services (AWS) を利用してシステムを構築する上で、セキュリティの確保は最も重要な課題の一つである。そのセキュリティの中核を担うのが、IAM (Identity and Access Management) というサービスだ。IAMは、誰がどのAWSリソースに、どのような操作を行えるかを厳密に管理するための仕組みを提供する。特に、EC2インスタンスのような仮想サーバーが、S3ストレージやデータベースといった他のAWSサービスと連携する際には、安全な権限管理が不可欠となる。この文脈で中心的な役割を果たすのが「IAMロール」と「インスタンスプロファイル」という概念である。
IAMロールとは、特定の権限をひとまとめにした「役割」であり、AWSのリソースやユーザーに対して一時的にその役割を割り当てることができる仕組みである。従来のアクセスキーとシークレットキーをプログラム内に直接記述する方法とは異なり、ロールを利用することで、認証情報をハードコーディングする必要がなくなる。これにより、認証情報の漏洩リスクを大幅に低減し、より安全なシステム運用が可能になる。IAMロールは主に二つの要素で構成される。一つは「信頼ポリシー」であり、もう一つは「アクセス許可ポリシー」である。信頼ポリシーは、どのエンティティがこのロールを引き受けることができるかを定義する。例えば、「EC2サービスだけがこのロールを引き受けられる」といったルールを設定することで、意図しないリソースやユーザーがその権限を利用することを防ぐ。一方、アクセス許可ポリシーは、そのロールを引き受けたエンティティが具体的にどのような操作を行えるかを定義するものである。「特定のS3バケットからファイルを読み取ることのみを許可する」といったように、必要最小限の権限(最小権限の原則)を付与することがセキュリティの基本となる。
EC2インスタンスがIAMロールの権限を利用するためには、「インスタンスプロファイル」という仕組みが必要になる。インスタンスプロファイルは、IAMロールとEC2インスタンスを紐付けるためのコンテナのような存在だと考えることができる。EC2インスタンスを起動する際にインスタンスプロファイルを指定すると、AWSは自動的にそのインスタンスに対して一時的な認証情報を発行し、安全なメタデータサービスを通じて提供する。この認証情報は定期的に自動で更新されるため、開発者が認証情報のローテーションを管理する必要はない。インスタンス上で動作するアプリケーションは、AWS SDKなどを通じてこの一時的な認証情報を取得し、他のAWSサービスに対してAPIリクエストを安全に実行できる。この仕組みにより、認証情報を外部に漏らすことなく、EC2インスタンスにセキュアな権限を付与することが実現される。
コンテナ技術を利用する場面、特にAWSのコンテナオーケストレーションサービスであるECS (Elastic Container Service) をEC2インスタンス上で利用する場合、IAMロールの適用方法はさらに階層的になる。この環境では、権限を二つの異なるレイヤーで考える必要がある。それは、インフラストラクチャ層の権限とアプリケーション層の権限である。まず、インフラストラクチャ層として、ECSクラスターの一部として動作するEC2インスタンス自体の権限が挙げられる。このEC2インスタンスは、ECSサービスのコントロールプレーンと通信し、自身をクラスターに登録したり、リソース状況を報告したり、コンテナの起動や停止といった管理タスクを実行したりする必要がある。これらの管理操作を行うために、EC2インスタンスには専用のIAMロールが割り当てられる。このロールは、前述のインスタンスプロファイルを通じてEC2インスタンスに付与され、インスタンスがECSのワーカーノードとして正しく機能するための基盤となる権限を提供する。
次に、アプリケーション層の権限として、EC2インスタンス上で実行される個々のコンテナ、すなわちECSタスクが必要とする権限がある。例えば、あるコンテナ化されたアプリケーションが、ユーザーがアップロードした画像をS3バケットに保存したり、DynamoDBのテーブルからデータを読み書きしたりする必要があるかもしれない。このようなアプリケーション固有の権限は、「タスクロール」と呼ばれる別のIAMロールとして定義される。ECSサービスは、インスタンスプロファイルとは独立した仕組みで、このタスクロールを特定のタスクに直接割り当てる。これにより、コンテナ内のアプリケーションは、EC2インスタンス自体が持つインフラ管理用の権限とは完全に分離された、自分専用の権限セットを持つことができる。
このように、インフラ層のロール(EC2インスタンスロール)とアプリケーション層のロール(ECSタスクロール)を分離することには、セキュリティ上、非常に大きなメリットがある。この分離により、一台のEC2インスタンス上で、それぞれ全く異なる権限を必要とする複数のアプリケーションを、互いに影響を与えることなく安全に実行することが可能になる。例えば、あるタスクにはデータベースへのフルアクセス権限を、別のタスクには特定のS3バケットへの読み取り専用権限を、といった具合に、各アプリケーションの要件に応じてきめ細かく権限を割り当てることができる。もしすべての権限をEC2インスタンスのロールに集約してしまうと、一つのタスクの脆弱性が悪用された場合に、そのインスタンスが持つすべての権限が奪われ、他の無関係なアプリケーションやリソースにまで被害が及ぶ可能性がある。権限を分離することで、万が一の際の影響範囲を最小限に抑え、堅牢なシステムを構築することができる。IAMロール、インスタンスプロファイル、そしてタスクロールといった概念を正しく理解し、適切に使い分けることは、AWS上でセキュアでスケーラブルなアプリケーションを開発・運用するための基礎となる重要な知識である。