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【ITニュース解説】Kiro Might Be the Next Game-Changer AI Coding Tool: Building Credi With Kiro's Spec-Driven Development

2025年09月15日に「Dev.to」が公開したITニュース「Kiro Might Be the Next Game-Changer AI Coding Tool: Building Credi With Kiro's Spec-Driven Development」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Kiroは、AIを活用した新しいコーディングツールだ。単なるコード生成だけでなく、要件定義から設計、タスク管理まで「スペック駆動開発」で体系的に支援する。これにより、短期間で保守性・拡張性の高いソフトウェア開発が可能になり、システムエンジニアがより高い抽象度で開発に集中できる。

ITニュース解説

AI技術の進化により、ソフトウェア開発の現場ではコードの書き方が大きく変わりつつある。AIがプログラムコードを生成する能力は日々向上しており、多くのツールが登場しているが、単にコードを自動生成するだけでは、品質が高く、長く使えるソフトウェアを作るのは難しいという課題も浮上している。このような状況の中で、「Kiro(キロ)」というAIコーディングツールが、今後のソフトウェア開発のあり方を大きく変える可能性を秘めていると注目されている。

Kiroは、ただコードを生成するだけでなく、「仕様駆動開発(Spec-Driven Development)」というアプローチを強く推奨している。これは、ソフトウェアを作り始める前に、「何を」「どのように」作るかを非常に具体的に決めるプロセスを重視する方法だ。家を建てる際に、いきなり材料を運び込んで組み立て始めるのではなく、まず設計図を丹念に作成し、その上で工事を進めるのと同じような考え方だ。

実際にKiroを使った開発者は、「Credi(クレディ)」というWebアプリケーションを短期間で完成させた。Crediは、ソーシャルメディアの投稿やプロフィールを分析し、信頼できる情報と、宣伝目的のコンテンツなど信頼性の低い情報を区別するアプリだ。この開発では、TwitterやLinkedInといったソーシャルメディアから情報を集める仕組み、複数のAIモデルを組み合わせて情報を分析する仕組み、見た目を整えるためのNext.jsやTailwind CSS、データを保存するためのSQLiteやPrisma ORMといった多くの技術が用いられた。開発者は一部の技術に不慣れだったにもかかわらず、Kiroがコードの多くの部分と設定を自動で処理してくれたため、非常に効率的に開発を進められたという。

この開発者が最も時間を費やしたのは、プログラミングそのものではなく、「Crediで何をしたいのか」という要求を明確にすることや、ソーシャルメディアの利用制限といった技術以外の課題を解決することだった。これは、質の高いソフトウェアを作る上で、技術的なコード書き込み以上に、開発の目標設定や課題解決が重要であることを示している。

これまでのAIコーディングツールは、試作品を素早く作ったり、一度だけ使うような簡単なプログラムを作るのには優れていた。しかし、企業で使われるような、継続的に改善され、多くの人に利用される本格的な製品を開発するとなると、話が変わる。単にコードを生成するだけでは、そのソフトウェアが将来にわたって保守できるか、機能を追加しやすいかといった点で課題があった。AIはコード生成のスピードを上げるが、良いソフトウェアを作る根本的な難しさは変わらない、というのが現在の課題認識だ。

Kiroがここで独自性を発揮するのが、まさにその「仕様駆動開発」だ。

Kiroの開発プロセスは、次のような段階を踏む。

まず「要件定義フェーズ」では、「どんな機能が欲しいか」を漠然と伝えるのではなく、Kiroが「この機能は誰が使うのか」「何のために使うのか」「どのような条件が満たされれば機能が完成したと言えるのか」といった具体的な質問を投げかけ、開発者と一緒に「ユーザー物語」や「受け入れ基準」と呼ばれる詳細な仕様を作成していく。これにより、開発の目標が最初から明確になり、手戻りを減らすことができる。これは、ベテランのシステムエンジニアやプロダクトマネージャーがプロジェクトを始める際に行う、本来あるべき姿の開発プロセスをAIがガイドする形だ。

次に「設計フェーズ」だ。Kiroは要件定義で固まった内容に基づき、コードを書く前に、システム全体の「設計図」を作成する。これは、プログラムのどの部分がどんな役割を担い、お互いにどのように情報をやり取りするのかを明確にするものだ。多くの開発者が実装を急ぐあまり、この設計プロセスを省略しがちだが、Kiroはこれを徹底させることで、後々の問題を防ぎ、保守しやすいシステム構造の基盤を作る。

設計が完了すると、「タスク管理と実行フェーズ」に移る。Kiroは設計図に基づいて、具体的な作業リストを自動で生成する。開発者はこのリストに従って、一つ一つの機能を開発していく。このとき、開発者は細かいコードの実装に集中するのではなく、まるでユーザーがアプリを操作するように、機能が正しく動くかを検証することに注力できる。Kiroは各タスクを独立した小さな単位で扱い、それぞれに対して適切な状況を提供するため、AIがより信頼性の高いコードを生成できるという利点がある。

Kiroには他にも開発を快適にする多くの機能がある。例えば、コードの変更履歴をより見やすく表示する機能や、AIが実行できるコマンドを細かく設定して開発者が制御できるようにする機能、AIの応答を簡潔にする工夫などだ。さらに、プロジェクトの目的、技術方針、構造を記した文書を自動で生成し、開発チーム全体がプロジェクトの方向性を共有しやすくする。開発中に新しい機能のアイデアや修正が必要になった場合でも、Kiroはそれを新しい「仕様」として適切に整理し、現在の作業に影響を与えないように助けてくれる。

Kiroを使った開発者は、この「仕様駆動開発」のアプローチを自身の普段の業務にも取り入れるようになったという。明確な要件としっかりとした設計図があれば、AIモデルが生成するコードの信頼性は非常に高まることを実感したからだ。将来、Kiroのようなツールがさらに進化すれば、エンジニアはコードの具体的な実装細部に頭を悩ませることなく、システムの全体像や、各部分がどのように連携すべきかといった、より高い抽象レベルでの思考に集中できるようになるだろう。

これは、かつてコンピュータの複雑な機械語から、人間が理解しやすいプログラミング言語へと開発の「抽象度」が上がってきた歴史と同じような進化を意味する。この変化は、システムエンジニアがより複雑な課題に取り組み、これまで不可能だったような大規模なソフトウェアを、より少ない人数で開発できる可能性を秘めている。

Kiroのこのような設計は、特に企業で働くシステムエンジニアや、初期段階のスタートアップ企業の創業者に大きな価値を提供する。企業では標準化された開発プロセスと高品質なソフトウェアが求められ、スタートアップでは限られたリソースでの効率的な開発が必要とされるため、Kiroの提供する統合された機能は非常に有効だ。

Kiroの個々の機能は、それぞれが魔法のように新しいものではないかもしれない。しかし、ソフトウェア開発における「良いやり方」であるエンジニアリングと設計の原則を、AIエージェントとの協業に最適化された統一されたワークフローに落とし込んだ点が、Kiroの真の革新性だ。Kiroはエンジニアを開発プロセスから排除しようとするのではなく、むしろプロのエンジニアが、より高度で複雑な製品を構築し、それを長期にわたって維持していく力を最大限に引き出すための、強力なアシスタントとして機能する。システムエンジニアを目指す初心者にとって、このようなツールを理解し、活用することは、これからの時代のソフトウェア開発で成功するための重要な鍵となるだろう。

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