【ITニュース解説】KubeEdge
2025年09月08日に「Dev.to」が公開したITニュース「KubeEdge」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
KubeEdgeは、コンテナ管理技術Kubernetesをエッジコンピューティングで活用するフレームワーク。クラウドの管理手法を現場のIoTデバイスなどに適用できる。メモリ使用量が約70MBと軽量なため、リソースの少ないエッジ環境でも動作可能だ。
ITニュース解説
近年、IoTデバイスやスマートファクトリーの普及に伴い、「エッジコンピューティング」という技術が注目されている。これは、データが発生した場所、つまり物理的なデバイスやセンサーの近く(エッジ)でデータを処理する考え方だ。データを遠くのクラウドに送る前に現場で処理することで、通信の遅延を減らし、リアルタイムな応答を可能にする利点がある。一方で、現代のアプリケーション開発では、コンテナ技術とその管理ツールである「Kubernetes」が広く使われている。Kubernetesは、多数のコンテナ化されたアプリケーションを効率的に配置し、自動で運用・管理するための強力なプラットフォームである。この二つの流れを融合させる技術が「KubeEdge」だ。KubeEdgeは、Kubernetesの優れた管理能力を、リソースが限られたエッジデバイス上でも利用可能にするためのオープンソースのフレームワークである。
KubeEdgeの大きな特徴は、クラウド上で使われるKubernetesの操作方法(API)を、そのままエッジデバイスの管理にも適用できる点にある。これにより、開発者や運用担当者は、クラウドから多数のエッジデバイスまで、一貫したツールと知識でアプリケーションを管理できるようになる。また、エッジデバイスはサーバーと比較してCPUやメモリなどの計算資源が乏しいことが多いが、KubeEdgeは非常に軽量に設計されており、最小で約70MBという少ないメモリ使用量で動作する。これにより、非力なデバイス上でもKubernetesの恩恵を受けることが可能となる。さらに、IoTデバイスや産業用センサーとアプリケーション間のデータ通信を円滑にする仕組みも備えており、エッジコンピューティングが求められる多くの現場で活用できる。
KubeEdgeのアーキテクチャは、クラウド側で動作する「CloudCore」と、エッジデバイス側で動作する「EdgeCore」という二つの主要コンポーネントで構成されている。これらのコンポーネント間の通信と連携の核となるのが「Beehive」と呼ばれる内部メッセージングシステムだ。Beehiveは、CloudCoreやEdgeCoreといった各プログラムの内部で、コンポーネント間の情報伝達を担う通信路の役割を果たす。ただし、Beehiveによる通信はあくまで同一プログラム内に限定される。例えば、信頼性を高めるために複数のCloudCoreを異なるサーバーで稼働させる場合、それらのCloudCore間をBeehiveが直接つなぐことはない。
では、複数のCloudCoreインスタンスはどのようにして情報を同期し、一貫性を保つのだろうか。ここで活用されるのが、Kubernetesの「CRD(Custom Resource Definition)」という機能だ。CRDは、Kubernetesに独自のデータ型を定義し、そのデータをKubernetesクラスター内に保存・管理できるようにする仕組みである。KubeEdgeは「ObjectSync」や「ClusterObjectSync」といった専用のCRDを利用して、どのエッジデバイスにどの情報をどこまで伝達したか、という同期状態を記録する。クラウドからエッジへアプリケーションの更新情報などを送る際、まずその状態がCRDに記録される。そして、エッジデバイス側で処理が完了すると、その結果がクラウドに報告され、CRDの情報が更新される。これにより、もし一つのCloudCoreが停止しても、他のCloudCoreがCRDに記録された最新の状態を参照することで、処理を正確に引き継ぐことができる。この仕組みが、システム全体の可用性と信頼性を担保している。
クラウドからエッジへの具体的なメッセージ配信は、CloudCore内の「CloudHub」というコンポーネントが中心的な役割を担う。CloudHubは、個々のエッジデバイスとの通信接続(セッション)を管理し、メッセージを確実に届ける責任を持つ。各エッジデバイスごとにメッセージを一時保管するキューも備えており、通信が不安定な環境でもメッセージの損失を防ぐ工夫がされている。Kubernetes上で何らかの変更が発生すると、SyncControllerがそれを検知し、CRDに記録されたバージョンと比較して新しければ、更新メッセージを作成する。このメッセージはBeehiveを通じてCloudHubに渡され、CloudHubが担当のエッジデバイスへ送信する。エッジ側で処理が完了し、確認応答(ACK)が返されると、CloudHubはCRDのステータスを更新する。この一連の流れにより、クラウドと多数のエッジデバイス間の状態が常に同期され、一貫した管理が実現されるのだ。KubeEdgeは、このようにKubernetesの強力な機能を拡張し、そのエコシステムをエッジ環境へと広げることで、次世代の分散コンピューティング環境の構築を可能にする技術である。