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【ITニュース解説】📊Beyond the Standard: Exploring Modern Python Visualization Tools

2025年09月14日に「Dev.to」が公開したITニュース「📊Beyond the Standard: Exploring Modern Python Visualization Tools」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Pythonで対話型Webアプリを作る主要ライブラリ、Streamlit、Dash、Bokehを比較する。Streamlitは手軽にアプリを迅速に作成でき、Dashは高度なカスタマイズで複雑なWebアプリ開発に、Bokehは大規模データの高性能な可視化に適する。目的に合わせてツールを選ぶのが重要だ。

ITニュース解説

データサイエンスの分野では、単にデータを分析するだけでなく、その分析結果を関係者や利用者にわかりやすく伝えることが極めて重要だ。特に、静的なグラフや表だけでなく、ユーザー自身がデータを操作し、様々な角度から情報を探索できるような「インタラクティブな」ウェブアプリケーションは、ビジネス上の意思決定を加速させる大きな力となる。専門的なBI(ビジネスインテリジェンス)ツールであるTableauやPower BIも存在するが、Pythonを使ってコードベースでアプリケーションを構築するアプローチは、圧倒的な柔軟性と強力なカスタマイズ性を提供できる。

今回紹介するニュース記事では、Pythonを活用してインタラクティブなダッシュボードやレポートを作成するための、3つの主要なライブラリ「Streamlit」「Dash」「Bokeh」を取り上げている。これらのツールは、ウェブ開発に関する深い知識(HTML、CSS、JavaScriptなど)がなくても、Pythonのスキルだけで動的なデータアプリケーションを構築できる点が共通の魅力だ。それぞれのライブラリがどのような設計思想に基づき、どのような特徴や利点、そして弱点を持つのか、具体的なデモコードを通して詳しく解説していく。

まず、「Streamlit」は、「最も迅速にデータアプリを構築し、共有する手段」というコンセプトを掲げている。これは、データサイエンティストが、従来のウェブ開発の煩雑さを意識することなく、美しく機能的なアプリケーションを最小限の労力で作成できるように設計されている。Streamlitの核となる思想は「シンプルさ」だ。開発者は普段Pythonスクリプトを書くようにコードを記述するだけでよく、ユーザーがアプリケーション内のボタンやドロップダウンリストといった「ウィジェット」を操作すると、Streamlitはスクリプト全体を自動的に最初から最後まで再実行し、画面の更新を行う。このアプローチの大きな利点は、学習が非常に容易であり、アプリケーションを動かすための定型コード(ボイラープレートコード)が極めて少ないことだ。ウィジェット操作による自動更新機能も、開発の手間を大幅に削減する。しかし、ウィジェットの操作のたびにスクリプト全体が再実行されるこのモデルは、非常に複雑なロジックや、実行に長時間を要する処理を含む大規模なアプリケーションでは、パフォーマンス上の非効率が生じる可能性がある。また、画面の細かいレイアウトやデザイン(スタイリング)の自由度は、他のライブラリと比較して限定的となる場合がある。

次に、「Plotly Dash」は、「Pythonで分析用のウェブアプリを構築する。JavaScriptは不要」という点を強調している。グラフ描画ライブラリPlotlyの開発チームによって生み出されたDashは、本番環境レベルの、企業向けの強力なアプリケーションを構築するためのフレームワークだ。Dashは、より構造化された「白紙のキャンバス」のようなアプローチを採用している。ウェブページの視覚的なレイアウトは、HTML要素(例えば、見出しや段落、ボタンなど)をPythonのクラスとして模倣して定義される。そして、ドロップダウンリストやスライダーなどのインタラクティブなコンポーネントは、「コールバック」と呼ばれる明示的な関数を使って連携される。このコールバック関数は、特定の入力コンポーネントの値が変更されたときに自動的に実行され、その結果に基づいて別の出力コンポーネントを更新する仕組みだ。Dashの利点は、非常に柔軟かつ高度にカスタマイズ可能なレイアウトを実現できること、複雑な多ページアプリケーションにも対応できる高い拡張性、そしてアプリケーションの状態を正確に管理できることにある。Plotlyの強力なグラフ描画エコシステムの一部であることも、大きな強みだ。一方で、学習曲線はStreamlitよりも急であり、より多くの定型コードを記述する必要がある。レイアウトやコールバックといった独特の概念を深く理解する必要があるため、プログラミング初心者には習得に時間がかかるかもしれない。

三つ目の「Bokeh」は、「モダンなウェブブラウザ向けインタラクティブ可視化」を目的としている。Bokeh自体は、非常に高性能なインタラクティブグラフ描画ライブラリだが、アプリケーションを構築するための強力なサーバーコンポーネントも内蔵している。このサーバー機能を利用することで、本格的なインタラクティブアプリケーションを構築することが可能だ。Bokehの最大の強みは、大量のデータセットや、リアルタイムに更新されるストリーミングデータを効率的に処理し、高性能なインタラクティブ性を提供できる点にある。また、グラフを構成するあらゆる要素(色、サイズ、ツールチップなど)に対してきめ細やかな制御が可能であり、複数のグラフ間でのデータ連携や選択ツールも非常に充実している。利点としては、大規模データにおける優れたインタラクティブ性とパフォーマンス、そしてグラフのデザインやユーザー操作に対する高いレベルの制御が挙げられる。Bokehは、単独のグラフ描画ライブラリとして利用するだけでなく、サーバー機能と組み合わせて完全なアプリケーションとして利用することもできる。ただし、Streamlitと比較すると、複雑なダッシュボードレイアウトを作成する際の記述がより詳細で冗長になる傾向がある。また、そのAPI(プログラミングインターフェース)は、Streamlitのように直感的ではなく、最初は「Pythonらしい」と感じにくいかもしれない。

これら3つのツールを具体的な例で比較するために、ニュース記事では「Palmer Penguins Explorer」というデモプロジェクトを構築している。これは、一般的なペンギンデータセット(Palmer Penguins dataset)を利用して、インタラクティブな散布図を表示するシンプルなアプリケーションだ。ユーザーはドロップダウンリストを使って、表示するペンギンの種類を選択したり、散布図のX軸とY軸に表示する身体測定値(例えば、くちばしの長さやくちばしの深さなど)を自由に選んだりできる。このデモアプリケーションを作成する際には、まずpip install streamlit pandas plotly-express dash bokehというコマンドを実行し、必要なPythonライブラリをインストールする必要がある。ここでpandasはデータ処理、plotly-expressはグラフ描画に広く利用されるライブラリだ。

Streamlitを使ったデモコードでは、その簡潔さと可読性が際立っている。st.sidebar関数を利用して、ペンギンの種類選択やX軸・Y軸の変数選択といったユーザー入力用のウィジェットをアプリケーションのサイドバーに配置している。メインの表示領域では、st.titlest.markdownでタイトルや説明を表示し、st.plotly_chart関数を使ってplotly-expressで生成した散布図を表示する。ここで、@st.cache_dataというデコレータが使われているのは、一度読み込んだデータセットをキャッシュし、ウィジェット操作のたびにデータ再読み込みが発生しないようにして、アプリケーションのパフォーマンスを最適化するためだ。ユーザーがウィジェットを操作すると、Streamlitはスクリプト全体を再度実行し、選択された条件に基づいてデータをフィルタリングし、更新されたグラフを自動的に表示する仕組みになっている。

Dashを使ったデモコードは、Streamlitに比べてより構造化された記述となる。最初にdash.Dash(__name__)でアプリケーションのインスタンスを生成し、次にapp.layout変数にアプリケーション全体の視覚的なレイアウトをPythonのオブジェクトとして定義する。このレイアウトは、html.Div(HTMLの<div>タグに相当)やhtml.H1(HTMLの<h1>タグに相当)といったHTML要素を模倣したPythonクラスで構成される。ドロップダウンリストのような入力コンポーネントは、dcc.DropdownといったDash専用のコンポーネントを使用する。アプリケーションのインタラクティブな動作は、@app.callbackデコレータを用いて定義されたコールバック関数によって実現される。このコールバック関数は、Inputデコレータで指定されたドロップダウンリストの値が変更されたときに自動的に呼び出され、その入力値に基づいてデータがフィルタリングされ、Outputデコレータで指定されたdcc.Graphコンポーネント(散布図)の内容が更新される。この明示的な入力と出力の関連付け、そしてコールバックによる処理が、Dashにおけるインタラクティブ性の核心部分である。

Bokehを使ったデモコードでは、データとインタラクションの概念が前述の二つとは少し異なる。まず、ColumnDataSourceという特殊なデータ構造を作成し、ここにグラフ描画に必要なデータを格納する。そして、figure関数でグラフ領域を作成し、p.circleなどの関数を使って散布図の「グリフ」(点や線のような基本的な描画要素)を定義する際に、このColumnDataSourceを参照させる。ユーザーが操作するウィジェット(ここではドロップダウンリスト)はSelectクラスを使って作成される。インタラクティブな動作は、各ウィジェットに対してwidget.on_change('value', update_plot)というメソッドを呼び出すことで設定される。これにより、ウィジェットの値が変更されるとupdate_plotというコールバック関数が実行される。このupdate_plot関数の中では、選択された条件に基づいて元データをフィルタリングし、その結果をsource.data(すなわちColumnDataSourceのデータ)に代入して更新する。ColumnDataSourceが更新されると、それに紐付けられたグラフも自動的に再描画される仕組みだ。また、グラフの軸ラベルなどもこの関数内で更新される。画面全体のレイアウトはcolumnrowといった関数を使って、ウィジェットとグラフを整列させて配置し、最終的にcurdoc().add_root(layout)でアプリケーションをウェブブラウザに表示する。

結論として、どのツールを選ぶべきかは、プロジェクトの具体的な要件と開発者のスキルセットによって決まる。もし、データサイエンティストが、見た目の良いインタラクティブなツールを迅速に作成したいのであれば、Streamlitが最も適している。シンプルさと開発スピードを重視し、細かい制御よりも手軽さを求める場合に理想的であり、プロトタイプ、社内ツール、機械学習モデルのデモンストレーションなどに非常に有効だ。対照的に、特定のレイアウト、多ページ機能、そして堅牢な状態管理が求められる、複雑で本番環境レベルのアプリケーションを構築するのであれば、Dashが有力な選択肢となる。DashはStreamlitよりも多くの定型コードや、コールバック駆動のアーキテクチャに慣れる必要はあるが、その分高い柔軟性と拡張性を提供する。そして、もしプロジェクトの主要な要件が、大量のデータやストリーミングデータに対応した、高性能で極めてインタラクティブなグラフ描画そのものにあるならば、Bokehが強力な力を発揮する。Bokehはグラフの視覚要素に対してきめ細かい制御を可能にし、その周囲にUIを構築することに開発者が抵抗がない場合に非常に有用だ。これらのツールを状況に応じて適切に選択することで、Pythonを用いたデータ可視化アプリケーション開発の可能性は大きく広がるだろう。

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