【ITニュース解説】PlanetScale、PostgreSQLのシャーディングを自動化して1億1800万QPSを達成。新DBサービス「Neki」をプレビュー公開
2026年09月18日に「Publickey」が公開したITニュース「PlanetScale、PostgreSQLのシャーディングを自動化して1億1800万QPSを達成。新DBサービス「Neki」をプレビュー公開」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
PlanetScaleは、PostgreSQLのシャーディングを自動化し、大規模なデータ処理に耐える新DBサービス「Neki」をプレビュー公開した。これは、データベースを分割して性能を高める技術で、1億1800万QPS超という高速なデータ処理を達成している。
ITニュース解説
PlanetScaleという企業が、人気のデータベースであるPostgreSQLを使った新しいサービス「Neki」のプレビュー公開を発表した。このサービスは、データベースの非常に重要な課題である「スケーラビリティ」を、自動化された「シャーディング」という技術で解決し、1秒間に1億1800万件以上のクエリ(QPS)を処理できるという驚異的な性能を達成した。これは現代のWebサービス開発において非常に重要な進歩となるため、その内容を詳しく見ていこう。
まず、データベース(DB)とは何か。これは、アプリケーションやWebサイトが利用するデータを整理して保存しておく場所のことだ。ユーザー情報、商品情報、注文履歴など、あらゆるデータが格納されている。PostgreSQLはその中でも特に人気のあるリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)の一つで、オープンソースであること、高い信頼性、豊富な機能を持つことから、多くの企業やプロジェクトで利用されている。
しかし、Webサービスが成長し、ユーザー数やデータ量が増加すると、データベースには大きな負荷がかかる。一台のデータベースサーバーで処理できる量には限界があり、この限界を超えると、サービスの応答が遅くなったり、最悪の場合はダウンしてしまったりする。このような事態を避けるために、データベースを「スケール(拡張)」させる必要がある。これには主に二つの方法がある。「スケールアップ」は、より高性能な一台のサーバーに交換する方法だが、コストが高く、性能にも限界がある。「スケールアウト」は、複数のサーバーに負荷を分散させる方法で、柔軟に性能を向上させることができる。
このスケールアウトを実現する強力な技術の一つが「シャーディング」だ。シャーディングとは、巨大なデータベースを複数の小さなデータベースに水平に分割し、それぞれを異なるサーバーに配置する仕組みを指す。例えば、顧客データを地域ごとに分割したり、商品IDの範囲で分割したりする。これにより、一つのクエリが処理される際に、全体のデータから探すのではなく、特定の小さなデータベースにだけ問い合わせれば済むため、処理速度が大幅に向上する。また、一部のサーバーに障害が発生しても、サービス全体が停止するリスクを減らせる「可用性」の向上にも貢献する。シャーディングは、大量のデータとアクセスを扱う大規模なWebサービスやアプリケーションにとって、もはや必須とも言える技術なのだ。
しかし、シャーディングには大きな課題があった。それは、その管理と運用が非常に複雑であるという点だ。どのデータをどのサーバーに配置するか(これをシャードキーの選択と呼ぶ)、データをどのように分割するか、分割されたデータをどのように管理するか、そしてアプリケーションからのクエリをどのシャードに送るか、といったことを開発者が手動で設計し、実装し、運用する必要があった。データが増減したり、アクセスパターンが変わったりするたびに、シャードの再構成やデータ移行が必要となり、これらは多大な手間とコストを伴う作業だった。また、手動での管理は人的ミスを引き起こしやすく、システム全体の安定性を損なう可能性もあった。この複雑さが、シャーディングの導入をためらう大きな要因となっていた。
PlanetScaleの新しいサービス「Neki」が革新的なのは、このシャーディングの複雑な管理と運用を「自動化」した点にある。Nekiは、PostgreSQLデータベースのシャーディングをバックグラウンドで自動的に行い、開発者がシャーディングの仕組みを意識することなく、あたかも一台の巨大なPostgreSQLデータベースを使っているかのように利用できる環境を提供する。開発者は、アプリケーションのコードを変更することなく、スケーラビリティの恩恵を受けられるのだ。これにより、開発者は本来のアプリケーション開発に集中でき、運用チームはシャーディングの管理に煩わされることなく、サービスの成長に合わせてデータベースが自動的にスケールしてくれるという大きなメリットを享受できる。これは、サービスを開発・運用する上での障壁を大幅に引き下げ、より多くの開発者が大規模なサービスを構築しやすくなることを意味する。
この自動化されたシャーディング技術によって、Nekiは「1億1800万QPS」という驚異的な性能を達成した。QPS(Queries Per Second)は1秒間に処理できるデータベースクエリの数を表す指標であり、1億1800万QPSというのは、1秒間に約1億2千万回近くの問い合わせを処理できる能力があることを意味する。これは、TwitterやFacebookといった大規模なSNS、あるいは膨大なトランザクションを扱うECサイトなど、非常に多くのユーザーが同時にアクセスし、大量のデータを読み書きするようなサービスでも、高速かつ安定して稼働させられる基盤を提供できることを示している。
Nekiは現在プレビュー公開の段階だが、今後PostgreSQLを利用する企業や開発者にとって、スケーラビリティの問題を根本的に解決する強力な選択肢となるだろう。データベースのスケーリングは、現代のシステム開発において避けて通れない課題であり、その解決策として自動化されたシャーディングが登場したことは、今後のWebサービスやアプリケーション開発のあり方に大きな影響を与えるに違いない。このようなデータベースの最新技術に常に注目し、その仕組みやメリットを理解しておくことは、将来システムエンジニアとして活躍するために非常に重要となる。