【ITニュース解説】【初心者向け】Render.comとNeonで作ったRailsアプリを無料デプロイした手順

2025年09月09日に「Qiita」が公開したITニュース「【初心者向け】Render.comとNeonで作ったRailsアプリを無料デプロイした手順」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

無料で使えるPaaS「Render.com」とサーバーレスDB「Neon」を使い、Railsアプリをデプロイする手順を紹介。開発初期段階でデプロイすることで、本番環境特有のエラーを早期に発見するメリットがある。初心者でも試しやすい構成だ。

ITニュース解説

Webアプリケーションを開発する上で、自分のコンピュータ上だけでなく、インターネットを通じて誰もがアクセスできる状態にする「デプロイ」という工程は不可欠である。特に、開発の初期段階で一度デプロイを経験しておくことは、後の工程で発生しうる環境固有の問題を早期に発見し、対処する上で非常に有効な手段となる。ここでは、Ruby on Railsで開発されたアプリケーションを、PaaS(Platform as a Service)であるRender.comと、サーバーレスPostgreSQLデータベースを提供するNeonを組み合わせて、無料でデプロイする具体的な手順を解説する。かつてはHerokuというサービスが無料で利用できるデプロイ先の定番であったが、無料プランが終了した現在、RenderとNeonの組み合わせは有力な代替手段として注目されている。

デプロイの全体像を理解することが第一歩である。Webアプリケーションは、プログラムを実行する「アプリケーションサーバー」と、ユーザー情報などのデータを永続的に保存する「データベース」の二つの主要な要素から構成される。今回の手順では、アプリケーションサーバーの役割をRenderが、データベースの役割をNeonが担う。まず、データを保存する場所であるデータベースをNeonで準備することから始める。Neonの公式サイトでアカウントを作成し、新しいプロジェクトを立ち上げる。プロジェクト作成後、データベースが一つ自動的に生成されるが、ここで重要なのはデータベースへの接続情報(Connection String)を取得することである。この接続情報は、アプリケーションがどのデータベースに接続すればよいかを示す住所のようなものであり、後のRenderの設定で必要となる。

次に、開発しているRailsアプリケーション側で、本番環境ではNeonのデータベースを使用するように設定を変更する。通常、ローカルでの開発環境ではSQLiteのような手軽なデータベースが使われることが多いが、本番環境ではより堅牢なPostgreSQLを利用するのが一般的である。まず、RailsアプリケーションがPostgreSQLと通信できるようにするため、Gemfilepgというgemを追加し、bundle installコマンドを実行してインストールする。続いて、データベースの接続設定を管理するconfig/database.ymlファイルを編集する。このファイルのproduction:セクションを、環境変数DATABASE_URLの値を参照するように書き換える。これにより、アプリケーションはRenderに設定されたデータベースの接続情報を自動で読み込み、Neonのデータベースに接続できるようになる。設定変更後は、これらの変更内容をGitHubリポジトリにプッシュしておく。

準備が整ったら、いよいよアプリケーションを動かす場所であるRenderでの設定に移る。Renderにログインし、GitHubアカウントと連携させる。ダッシュボードから「New Web Service」を選択し、デプロイしたいアプリケーションのGitHubリポジトリを選ぶ。Renderはリポジトリの情報を読み取り、Railsアプリケーションであることを自動的に検出してくれる。次に、サービスの基本設定を行う。アプリケーションを実行する環境として「Ruby」を選択し、ビルドコマンドにbundle install、開始コマンドにbundle exec puma -C config/puma.rbを指定する。これらは、アプリケーションの依存ライブラリをインストールし、Webサーバーを起動するための命令である。

設定の中でも特に重要なのが環境変数の設定である。環境変数は、ソースコードに直接書き込むべきではない、環境ごとに異なる設定値や機密情報を扱うための仕組みである。ここで設定すべきは二つある。一つはDATABASE_URLで、これには先ほどNeonで取得した接続文字列を設定する。これにより、Render上で動くアプリケーションが、Neon上のデータベースの場所を正確に把握できる。もう一つはRAILS_MASTER_KEYである。これは、Railsがデータベースの認証情報などを安全に暗号化して管理するcredentials.yml.encファイルを復号するための鍵である。この値は、ローカル環境のconfig/master.keyファイルに記述されており、その内容をコピーして設定する。

すべての設定が完了したら、無料プランを選択して「Create Web Service」ボタンをクリックすると、デプロイプロセスが自動的に開始される。Renderはソースコードの取得、ビルド、そしてサービスの起動を順次実行する。この過程で、データベースのテーブル構造を作成するrails db:migrateコマンドが自動で実行されないことがある。もしデプロイ後にエラーが発生した場合、多くはこれが原因である。対策として、Renderのビルドコマンドをbundle install; bundle exec rails db:migrateのように変更し、ビルド時にマイグレーションも実行されるように設定するのが確実である。デプロイが成功すれば、Renderから提供される一意のURLにアクセスすることで、公開された自身のアプリケーションを確認できる。この一連のプロセスは、単にアプリケーションを公開するだけでなく、本番環境と開発環境の違い、環境変数による機密情報の管理、そしてサービス間の連携といった、システムエンジニアリングにおける基礎的かつ重要な概念を実践的に学ぶ絶好の機会となる。