【ITニュース解説】Row vs. Columnar Data Stores: Why Your Choice Matters More Than You Think
2025年09月13日に「Dev.to」が公開したITニュース「Row vs. Columnar Data Stores: Why Your Choice Matters More Than You Think」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
データストアには行ベースと列ベースがあり、それぞれ特徴が異なる。行ベースはOLTP(トランザクション処理)に強く、個別のレコード操作が速い。列ベースはOLAP(分析処理)に優れ、大規模データの集計や分析が得意だ。用途に応じて適切なデータストアを選ぶことが、性能と拡張性の鍵となる。
ITニュース解説
データストアの選択は、アプリケーションの性能や拡張性に大きく影響する非常に重要な決断となる。データをどのように保存するかというモデルにはいくつかの種類があり、その中でも「行指向データストア」と「列指向データストア」は代表的な二つのモデルだ。それぞれのモデルには独自の特徴や得意な点、苦手な点があるため、どちらを選ぶかはデータ最適化、クエリ性能、そしてシステム全体の効率を大きく左右する。システムエンジニアを目指す上で、この二つの違いを理解することは、効率的で高性能なシステムを設計するために不可欠だ。
まず、行指向データストアについて説明する。これは、データを「行」の単位で整理する伝統的なデータ保存モデルである。リレーショナルデータベースとしてよく知られているMySQLやPostgreSQL、Oracleなどがこのモデルを採用している。行指向のデータストアでは、一つの行に特定のレコードに関する全てのデータが格納される。例えば、顧客情報がデータベースに保存される際、その顧客の名前、住所、電話番号といった全ての情報が、一つの行としてまとめて管理されるイメージだ。
行指向データストアの主な特徴は、トランザクション処理(OLTP: Online Transaction Processing)に優れている点だ。OLTPとは、銀行のATMでの預金引き出しやオンラインショッピングでの購入処理のように、個々のレコードに対するデータの読み書きが頻繁に、かつ高速に行われる処理を指す。データがまとめて行として保存されているため、特定のレコード全体の情報を素早く取り出すことが得意だ。顧客管理システムや在庫管理システムなど、完全なレコードに素早くアクセスする必要があるアプリケーションに理想的である。また、B-treeインデックスといった仕組みを用いて、必要な行だけを効率的に検索し、クエリの性能を高めている。行指向データストアのメリットとしては、単一のレコードに対するクエリが高速であること、多くのリレーショナルデータベースがこのモデルを採用しているためセットアップや学習が比較的容易であること、そしてOLTPのような頻繁な更新や読み書きに適している点が挙げられる。一方で、デメリットとしては、多数のレコードにまたがってデータを集計したり分析したりするクエリ(例えば、全顧客の平均年齢を計算するなど)は非効率になりがちだ。システムが分析に必要な特定の列だけでなく、行全体のデータを読み込む必要があるため、処理に時間がかかることがある。また、多くの列があるがそのうちの一部しか使われていないような大規模なデータセットでは、ストレージの効率が悪くなる可能性もある。
次に、列指向データストアについて解説する。これは、データを「列」の単位で保存するモデルだ。Apache Cassandra、Google Bigtable、Amazon Redshiftなどがこの列指向のアプローチを採用している。列指向のデータストアでは、先ほどの例で言えば、顧客の名前は名前の列としてまとめて保存され、住所は住所の列として、電話番号は電話番号の列としてそれぞれ独立して保存される。
列指向データストアは、分析処理(OLAP: Online Analytical Processing)に非常に適しているという特徴がある。OLAPとは、大量のデータからパターンを見つけ出したり、ビジネス上の洞察を得たりするために、データをスキャンして集計する処理を指す。列ごとにデータが保存されているため、特定の列だけを読み込んで集計するような分析クエリで高い性能を発揮する。例えば、全ての顧客の平均年齢を知りたい場合、年齢の列だけを読み込めばよく、他の列のデータは読み込む必要がないため、I/O(データの読み書き)のオーバーヘッドが大幅に削減され、処理が高速になる。また、同じ種類のデータが列の中にまとまっているため、高いレベルのデータ圧縮が可能となることも大きなメリットだ。データ圧縮はディスクスペースの節約につながるだけでなく、クエリ性能の向上にも貢献する。列指向データストアのメリットとしては、大規模データセットに対する集計クエリや分析クエリの性能が非常に高いこと、データ圧縮によるストレージの最適化、そして大量のデータを分散システムで扱う際の高い拡張性が挙げられる。しかし、デメリットも存在する。頻繁な更新や単一レコードの高速な読み書きが必要なトランザクション処理には向かない。なぜなら、一つのレコードを更新するためには、複数の列に分散しているデータをそれぞれ更新する必要があるため、オーバーヘッドが発生しやすいからだ。また、列指向データストア、特に分散型やNoSQLのシステムでは、セットアップや管理がより複雑になる傾向があり、専門知識が求められることも少なくない。
では、これらの違いを理解した上で、どのような場合にどちらのデータストアを選ぶべきかについて考える。行指向データストアは、金融システム、顧客関係管理(CRM)ツール、POSシステムなど、データが頻繁に更新され、個々のレコードへの高速なアクセスが求められるトランザクションシステムに最適だ。ユーザー認証や購入処理のようなリアルタイムアプリケーションでも、個々のレコードに素早くアクセスできる行指向モデルが適している。また、データセットがそこまで大規模ではなく、複雑な分析を頻繁に行わない場合は、セットアップと保守が比較的容易な行指向データベースが十分な性能を発揮するだろう。
一方、列指向データストアは、ビッグデータ分析やデータウェアハウスの構築において圧倒的な強みを発揮する。センサーデータ、財務記録、科学的測定データなど、膨大な量のデータを複雑に集計したりフィルタリングしたりする必要がある場合に最適だ。ビジネスインテリジェンス(BI)プラットフォーム、データレイク、データウェアハウスといった環境では、大量の履歴データを分析しレポートを作成することが主な目的となるため、列指向データベースがクエリ時間を大幅に短縮し、分析処理全体の効率を高める。また、多くのデータが欠損していたり、繰り返し同じ値を持つ「スパースデータ」を扱う場合、列ごとに独立して圧縮できる列指向ストレージは、ディスク使用量の削減とコスト効率の面で大きな利点をもたらす。
現代の多くのアプリケーションでは、行指向と列指向の両方の強みを活かす「ハイブリッドアプローチ」が最善の解決策となることが多い。例えば、顧客からの注文といったトランザクション処理にはMySQLのような行指向システムを使用し、その注文データに基づいて売上傾向を分析したりレポートを作成したりする際には、Apache HiveやGoogle BigQueryのような列指向データベースを利用するといった方法だ。このアプローチにより、それぞれのモデルの得意な部分を最大限に活用し、高い性能と拡張性を兼ね備えたシステムを構築できる。
結論として、行指向と列指向のデータストアの選択は、単なる好みで決めるものではなく、アプリケーションの性能、拡張性、さらにはコスト効率に長期的な影響を与える重要な戦略的決定だ。自分のアプリケーションが主にトランザクション処理を行うのか、それとも分析処理を行うのかを慎重に検討し、両者の特性を深く理解することが、効率的でスケーラブル、かつ高性能なデータ基盤を設計するための鍵となる。ビッグデータ、リアルタイムアプリケーション、データウェアハウスなど、どのような環境であっても、適切なデータストアを選択する知識はシステムエンジニアにとって非常に価値のあるものとなるだろう。