CD-ROM(シーディーロム)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
CD-ROM(シーディーロム)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
シーディーロム (シーディーロム)
英語表記
CD-ROM (シーディーロム)
用語解説
CD-ROMは、Compact Disc Read-Only Memoryの略であり、デジタルデータを保存し読み出すための光ディスク型記憶媒体である。その名の通り、一度データが記録されると、ユーザーがそのデータを変更したり消去したりすることはできない読み取り専用の特性を持つ。主にソフトウェアの配布、マルチメディアコンテンツ、データベースなどの大容量データをパソコンで利用するために広く普及した。フロッピーディスクに比べて格段に大きな記憶容量を提供し、その後のDVDやBlu-ray Discといった光ディスク技術の基礎を築いた媒体である。
CD-ROMの物理的な構造は、直径約12センチメートル、厚さ約1.2ミリメートルのポリカーボネート樹脂を基盤としている。この基盤には、データを表現する微細な凹凸(ピットとランド)が螺旋状のトラックに沿って形成されている。このデータ層の上には、レーザー光を反射させるための薄いアルミニウムなどの金属膜が蒸着され、さらにその上から保護のためのラッカー層が塗布されている。CD-ROMドライブは、このディスクに赤外線レーザー光を照射し、ピットからは光が散乱され、ランドからは光が反射されるこの違いを検出することでデータを読み取る。ピットとランドのパターンがデジタル信号の0と1に変換される仕組みである。
標準的なCD-ROMの記憶容量は、約650メガバイトから700メガバイト程度である。これは、当時の一般的なフロッピーディスク(約1.44メガバイト)と比較して数百倍の容量にあたり、これによりOSや大規模なアプリケーションソフトウェア、画像や音声を含む百科事典、ゲームなどのリッチなコンテンツが単一のメディアで配布されることが可能となった。CD-ROMがパソコン市場に登場した1980年代後半から1990年代にかけては、ソフトウェアの物理的な配布形式の主流となり、マルチメディアコンピューティングの普及に大きく貢献した。
CD-ROMドライブは、CD-ROMを読み取るための装置であり、ディスクを高速で回転させながらレーザーを照射し、データの読み出しを行う。初期のCD-ROMドライブのデータ転送速度は、オーディオCDの約150キロバイト/秒を「1倍速(1x)」としており、その後技術の進歩に伴い、2倍速、4倍速、さらには52倍速といった高速なドライブが登場した。これにより、より迅速なデータアクセスとアプリケーションの実行が可能になった。ドライブとコンピュータとの接続インターフェースも、SCSI(Small Computer System Interface)からIDE(Integrated Drive Electronics)、そして現在のSATA(Serial Advanced Technology Attachment)へと進化していった。
CD-ROMの「Read-Only」という特性は、データが製造過程でマスタリングされ、複製されるため、ユーザーがデータを上書きしたり削除したりすることができないことを意味する。これは、ソフトウェア開発者やコンテンツプロバイダーにとっては、配布されたデータが改ざんされるリスクが少ないという利点があった。しかし、ユーザーが自身のデータを保存できないという点で、可変データの取り扱いには不向きであった。この限界を克服するために、後に一度だけ書き込みが可能なCD-R(Recordable)や、複数回書き換えが可能なCD-RW(ReWritable)といった派生技術が登場したが、これらはCD-ROMとは異なる記録方式を持つ。
CD-ROMは、その大容量と信頼性の高さから、コンピュータシステムにおけるデータの標準的な配布手段として長きにわたり利用された。インターネットが普及する以前の時代において、オフラインでの大規模な情報提供やソフトウェアのインストールに不可欠な存在であった。しかし、インターネット回線の高速化とストレージ技術の進歩、特にDVD-ROMやUSBフラッシュドライブ、クラウドストレージの台頭により、その役割は徐々に終焉を迎えた。現在では、ソフトウェアの配布は主にダウンロード形式で行われ、物理メディアとしてのCD-ROMを目にする機会は減少しているが、その技術的な遺産は現代のデジタルストレージ技術の基盤の一部となっている。