GPON(ジーポン)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
GPON(ジーポン)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ジーポン (ジーポン)
英語表記
GPON (ジーポン)
用語解説
GPON(ジーポン)は、Gigabit Passive Optical Networkの略称で、光ファイバーを利用して家庭や企業に超高速なインターネット接続を提供するネットワーク技術の一つだ。FTTH(Fiber To The Home)サービスなどで世界的に広く採用されており、特に大容量のデータ通信が求められる現代において、その重要性は増している。一本の光ファイバーを複数の利用者が共有しつつ、非常に高速なデータ転送を実現する点が最大の特徴となる。また、「パッシブ」という言葉が示す通り、ネットワークの途中に電力供給を必要とする機器を置かずに光信号を分岐させるため、運用コストが低いという利点も持つ。
GPONのネットワークは、主に三つの主要な要素で構成される。一つは通信事業者の中央局に設置されるOLT(Optical Line Terminal)で、ここがネットワーク全体の制御とデータの送受信を担う。次に、加入者宅に設置されるONT(Optical Network Terminal)またはONU(Optical Network Unit)があり、これが光信号を電気信号に変換し、ユーザーのデバイスに接続するインターフェースとなる。そして、OLTとONT/ONUの間には、光スプリッタという装置が介在する。この光スプリッタは、OLTから送られてきた光信号を複数の経路に分岐させ、あるいは複数のONT/ONUから送られてきた光信号を一本に集約する役割を果たす。光スプリッタは電力を必要としない受動的なデバイスであるため、電源供給の心配がなく、屋外や地下など様々な場所に設置できるメリットがある。この構成により、GPONはポイント・ツー・マルチポイント(Point-to-Multipoint, P2MP)方式でサービスを提供する。
GPONの通信速度は非対称であり、OLTからONT/ONUへ向かう下り方向で最大2.488ギガビット/秒(Gbps)、ONT/ONUからOLTへ向かう上り方向で最大1.244ギガビット/秒(Gbps)を実現する。これは、一般的なインターネット利用において、動画視聴やダウンロードといった下り方向のデータトラフィックが、アップロードといった上り方向のトラフィックよりも圧倒的に多いという実態に合わせて設計されている。通信には異なる波長の光が利用され、下りには1490ナノメートル(nm)、上りには1310nmの波長が割り当てられており、一本の光ファイバーケーブル内で双方向の通信を同時に行うことが可能だ。
下り方向の通信において、OLTから送信されたデータは光スプリッタによって接続されているすべてのONT/ONUにブロードキャストされる。しかし、データはAES(Advanced Encryption Standard)という強力な暗号化技術によって暗号化されており、各ONT/ONUは自分宛てのデータのみを復号して受信するため、他の加入者のデータを盗聴される心配はない。一方、上り方向の通信では、複数のONT/ONUが同時にデータを送信すると信号が衝突してしまう問題がある。これを解決するため、GPONではTDMA(Time Division Multiple Access、時分割多重アクセス)方式が採用されている。OLTは各ONT/ONUまでの距離を測定する「Ranging」というプロセスを実行し、それぞれのONT/ONUがOLTにデータを送信する際に発生する伝送遅延を正確に把握する。この情報に基づいて、OLTは各ONT/ONUに対し、データを送信できる特定の時間枠(タイムスロット)を動的に割り当てる。これにより、各ONT/ONUは割り当てられた時間枠内でのみデータを送信し、OLTに到達するタイミングがずれることなく、データの衝突を回避しながら効率的に上り通信が行われる。
GPONはITU-T(国際電気通信連合 電気通信標準化部門)によってG.984シリーズとして標準化されており、信頼性と相互運用性が保証されている。最大で1対64のスプリット比に対応しており、一本のOLTポートから最大64台のONT/ONUに対してサービスを提供できるため、通信事業者は設備投資を抑えつつ広範囲の加入者に高速サービスを提供できる。その高い帯域幅、効率的な伝送方式、そしてパッシブなネットワーク構成による運用コストの低さから、GPONは現代のFTTHインフラの基盤技術として広く普及し、今後もその重要性は変わらないだろう。さらに、将来的なさらなる帯域需要の増大に対応するため、GPONのアーキテクチャを踏襲しつつ、より高速なXG-PON(10-Gigabit-capable Passive Optical Network)やXGS-PON(Symmetric 10-Gigabit-capable Passive Optical Network)といった上位互換技術も開発されており、通信インフラの進化を支え続けている。システムエンジニアを目指す上で、このような光アクセスネットワークの基礎技術を理解しておくことは、非常に有益となる。