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【ITニュース解説】Think Like an Architect: How Do You Choose the Right DB Strategy for Microservices?

2025年09月11日に「Medium」が公開したITニュース「Think Like an Architect: How Do You Choose the Right DB Strategy for Microservices?」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

マイクロサービスの設計では、データの構造やデータベースの選び方が非常に重要だ。なぜなら、これらの選択がシステム全体の設計と機能に直接的な影響を与えるからだ。

ITニュース解説

システム開発では、すべての機能が一体となった「モノリシック」なシステムが長く主流だった。これは一つの巨大なアプリケーションと、それを支える一つのデータベースで構成される。しかし、機能の追加や変更がシステム全体に影響を与えやすく、特定の機能だけを高性能にしたい場合でも全体を調整する必要があるなど、柔軟性や拡張性の面で課題があった。

そこで登場したのが「マイクロサービス」という考え方だ。マイクロサービスは、一つの大きなシステムを、それぞれが独立して動作する小さなサービスに分割して開発する手法である。例えば、オンラインショッピングサイトを考えるなら、「商品の検索サービス」「注文管理サービス」「ユーザー認証サービス」といった具合に、機能ごとにサービスを分けるイメージだ。各サービスは独立しているため、それぞれが異なるプログラミング言語を使ったり、独立して開発やデプロイ(稼働させること)したり、個別にスケーリング(性能を向上させること)したりできる。

このマイクロサービスアーキテクチャにおいて、非常に重要なのが「データベース戦略」の選択だ。各サービスがどのようにデータを管理し、どのデータベース技術を使うかという決定は、システムの性能、信頼性、開発のしやすさに直結する。間違った戦略を選ぶと、マイクロサービスのメリットが失われ、かえって複雑で扱いにくいシステムになってしまう可能性がある。

マイクロサービスにおけるデータベース戦略には、主に三つのアプローチがある。一つ目は「サービスごとにデータベースを持つ戦略(Database per Service)」だ。これは、各マイクロサービスがそれぞれ専用のデータベースを持つ方式で、マイクロサービスの理念に最も合致しているとされる。例えば、注文管理サービスは注文データを管理する独自のデータベースを持ち、ユーザー認証サービスはユーザー情報を管理する独自のデータベースを持つ。この戦略の最大の利点は、各サービスが完全に独立しており、互いに影響を与えにくいことだ。あるサービスのデータベースに変更があっても、他のサービスには影響しないため、独立して開発や更新ができる。また、各サービスに最適なデータベース技術を選択できる「ポリグロットパーシステンス」という考え方を実践できる点も大きい。例えば、高速なデータアクセスが必要なサービスにはキーバリュー型のデータベースを、複雑なデータ構造を扱うサービスにはリレーショナルデータベースを選ぶといった具合だ。しかし、この戦略には課題もある。サービス間でデータを共有する際は、直接データベースにアクセスするのではなく、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を通じたデータ要求や、イベント(変更通知)によるデータ同期といった複雑な仕組みが必要になる。また、複数のデータベースを運用するため管理が複雑になり、サービスをまたがる厳密なトランザクション管理も難しくなる。

二つ目の戦略は「共有データベースを持つ戦略(Shared Database)」である。これは、複数のマイクロサービスが同じ一つのデータベースを共有する方式だ。モノリシックなシステムに近い考え方で、既存のシステムをマイクロサービスに移行する際に一時的に採用されることもある。利点としては、データ共有が比較的容易で、既存のデータベース管理の知識を活かしやすい点が挙げられる。しかし、この戦略はマイクロサービスの利点を大きく損なう可能性がある。データベースのスキーマ(データの構造)変更がすべての共有サービスに影響を与え、サービス間の結合度が高まる。特定のサービスが高負荷をかけても、他のサービスも影響を受けやすいため、個別のスケーリングが困難になる。また、データベース技術の選択肢が一つに限定され、ポリグロットパーシステンスのメリットも享受できない。

三つ目の戦略は「共有スキーマを持つ戦略(Shared Schema per Service)」だ。これは、物理的には一つのデータベースを使うものの、そのデータベース内に各マイクロサービスが専用のスキーマ(論理的なデータの区画)を持つ方式である。サービスごとにデータを論理的に分離できるため、共有データベース戦略よりも結合度が低い。管理面では複数の物理データベースを持つよりはシンプルかもしれない。しかし、物理的なデータベースは共有しているため、共有データベース戦略と同様に、物理的なスケーラビリティの限界やデータベース技術の選択肢の制約といったデメリットは残る。

これらの戦略と並行して、どの種類のデータベースを選択するかも重要な決定だ。リレーショナルデータベース(RDBMS)は、データを表形式で管理し、ACID特性(データの正確性や一貫性を保証する性質)を厳密に守る必要がある場合に適している。例えば、銀行の取引記録や在庫管理など、データの整合性が最も重視される場面で使われる。PostgreSQLやMySQLなどがこれにあたる。一方、近年注目されているのがNoSQLデータベースだ。これは、リレーショナルデータベースでは扱いにくい、大量のデータや、構造が頻繁に変わるデータ、高速な読み書きが求められる場面で真価を発揮する。NoSQLにはいくつかの種類がある。キーバリューストアは、シンプルな「キー」と「値」のペアでデータを格納し、高速なデータ取得が求められるキャッシュやセッション管理に適している(Redis, DynamoDBなど)。ドキュメントデータベースは、JSONのような柔軟な形式でデータを保存し、構造が不定なデータや階層的なデータを扱うのに向いている(MongoDB, Couchbaseなど)。カラム指向データベースは、大量のデータを効率的に分析することに特化しており、ビッグデータ分析やログデータの管理で利用される(Cassandra, HBaseなど)。グラフデータベースは、データ間の複雑な関係性を表現するのに優れ、SNSの友達関係やレコメンデーションシステムなどで活用される(Neo4j, Amazon Neptuneなど)。

適切なデータベース戦略を選ぶためには、いくつかの要素を総合的に考慮する必要がある。まず、データの独立性として、各サービスが自身のデータをどれだけ独立して管理できるか。次に、スケーラビリティとして、特定のサービスが急なアクセス増に直面した際に、その部分だけを効率的に拡張できるか。また、データの読み書き速度といったパフォーマンスも重要だ。データの一貫性についても、厳密な整合性が求められるのか、多少の遅延があっても最終的にデータが一致する「結果整合性」で許容できるのかを見極める必要がある。ポリグロットパーシステンスの採用メリット、複数のデータベースを運用するチームのスキル、既存システムやインフラとの互換性なども考慮すべき点だ。

最終的に、マイクロサービスにおけるデータベース戦略の選択は、メリットとデメリット、つまり「トレードオフ」を理解し、ビジネス要件やチームの能力、運用体制といった様々な要素を慎重に検討して決定する必要がある。正解は一つではなく、システムの目的や状況によって最適な選択は変わる。これらの選択が、柔軟で高性能なシステムを構築するための土台となることを理解しておくことが重要だ。

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