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リフト&シフト(リフトアンドシフト)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

リフト&シフト(リフトアンドシフト)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

リフトアンドシフト (リフトアンドシフト)

英語表記

Lift and shift (リフトアンドシフト)

用語解説

リフト&シフトとは、既存のITシステムをクラウド環境へ移行する際のアプローチの一つである。特にオンプレミス環境で稼働しているサーバーやアプリケーションを、最小限の変更でクラウドの仮想マシンやコンテナ環境へ「持ち上げ(リフト)」、そのまま「移動させる(シフト)」手法を指す。このアプローチは、クラウド移行の第一歩として広く採用されており、迅速な移行と初期コストの削減を主な目的とする。

この手法の概要は、現行のシステムを稼働させるために必要なオペレーティングシステム、ミドルウェア、アプリケーション、データなどを一つのまとまりとして捉え、それらをそのままクラウドのインフラストラクチャサービス(IaaS)上に展開することである。具体的には、オンプレミスで動作している物理サーバーや仮想サーバーのイメージファイルをクラウド環境に移行し、クラウドプロバイダーが提供する仮想マシン上でそれを起動させる形が一般的だ。これにより、アプリケーションコードの大幅な書き換えや、システムアーキテクチャの根本的な見直しを行うことなく、クラウドのメリットの一部を享受し始めることができる。

詳細に入ると、リフト&シフトのプロセスはいくつかのステップから構成される。まず、移行対象となるシステムの現状を詳細に把握することが不可欠だ。これには、稼働中のアプリケーションとその依存関係、使用しているOSやミドルウェアのバージョン、ネットワーク構成、ストレージの要件、セキュリティポリシーなどが含まれる。次に、これらの情報を基に、クラウド環境で同等の機能を提供できるリソースを選定する。例えば、オンプレミスで稼働する仮想マシンであれば、その仮想ディスクイメージをクラウドプロバイダーのストレージサービスへアップロードし、クラウド上の仮想マシンインスタンスとして起動させる準備を進める。データベースも同様に、クラウドのIaaS上で既存のデータベースソフトウェアを稼働させるか、マネージドデータベースサービスへデータを移行するかを検討するが、リフト&シフトの文脈では多くの場合、IaaS上で既存のデータベースソフトウェアを継続利用する選択がなされる。

このアプローチの最大のメリットは、移行の迅速性にある。システムを再設計したり、アプリケーションをクラウドネイティブなアーキテクチャに合わせて再構築したりする手間がないため、移行プロジェクトの期間を大幅に短縮できる。これにより、企業はクラウドの導入効果を早期に実感し、ITインフラの運用コスト削減や、ハードウェアの老朽化に伴うリフレッシュサイクルの解消といった恩恵を早く得られるようになる。また、アプリケーションの改修に伴うリスクや、新しい技術スタックへの学習コストも最小限に抑えられるため、比較的低リスクでクラウド導入を進められる点も大きい。既存のシステムが複雑で、その内部構造を熟知しているエンジニアが限られている場合や、法規制などの理由で既存のソフトウェアスタックを大きく変更できない場合にも、有効な選択肢となる。

しかし、リフト&シフトにはデメリットも存在する。最も大きな課題は、クラウドの持つ真の価値、すなわちスケーラビリティ、可用性、耐障害性、運用効率性といった「クラウドネイティブ」な特性を十分に活用しきれない点である。既存のアーキテクチャをそのまま持ち込むため、例えばクラウドのPaaS(Platform as a Service)やサーバーレスコンピューティングといった、より高度なマネージドサービスが提供する自動スケーリングや運用負荷の軽減といった恩恵は直接的には得にくい。結果として、オンプレミスで抱えていた技術的負債や非効率な運用プロセスをクラウド上にそのまま引き継いでしまう可能性があり、長期的に見ると運用コストが高止まりしたり、システムの俊敏性が向上しなかったりするケースもある。また、クラウド環境に最適化されていない古いソフトウェアや設定は、クラウド特有の課金モデルにおいて、予想外に高額な費用が発生する原因となることもある。例えば、常に最大リソースを確保してしまうことで、オンデマンドでスケールアップ・スケールダウンできるクラウドのメリットを活かせないといった状況がこれに該当する。

セキュリティ面でも、オンプレミス環境のセキュリティモデルをそのままクラウドに適用しようとすると、クラウド環境特有の共有責任モデル(Shared Responsibility Model)への理解不足から、不適切な設定や対策漏れが発生するリスクがある。クラウド環境では、プロバイダーがインフラストラクチャのセキュリティを、利用者がクラウド上で稼働させるデータやアプリケーションのセキュリティをそれぞれ責任を持つため、利用者は自身の責任範囲を正確に理解し、適切なセキュリティ対策を講じる必要がある。

リフト&シフトは、あくまでクラウド移行の第一歩として位置づけられることが多い。このアプローチで得られたクラウド環境での運用経験や知見を活かし、次のステップとして「リファクタリング」(システムの内部構造を改善し、クラウドネイティブなサービスに置き換える)や「リプラットフォーム」(プラットフォーム自体をよりクラウドに適したものに変更する)といった、より深いクラウド最適化へと進んでいくことが理想的なパスとされる。最終的には、システムの俊敏性、コスト効率、運用効率を最大化するために、クラウドの特性を最大限に引き出すアーキテクチャへと進化させていくことが、多くの企業にとっての目標となるだろう。リフト&シフトは、その目標へ到達するための現実的でリスクの低い出発点として、システムエンジニアが理解しておくべき重要な戦略の一つである。

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