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NBASE-T(エヌベースティー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

NBASE-T(エヌベースティー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

NBASEーT (エヌベースティー)

英語表記

NBASE-T (エヌベースティー)

用語解説

NBASE-T(Multi-Gigabit Ethernet)は、既存のLANケーブルインフラを最大限に活用し、ギガビットイーサネット(1Gbps)と10ギガビットイーサネット(10Gbps)の中間速度を実現するイーサネット技術である。具体的には、2.5Gbpsと5Gbpsという二つの新しい速度モードを提供する。これは、データ通信量の増加に伴い1Gbpsでは性能が不足し、かといって10Gbpsへの移行はケーブル敷設や機器導入のコストが高いという課題を解決するために開発された。NBASE-Tは、主に既設のカテゴリ5eやカテゴリ6のケーブルを使って、これらの新しい速度を実現することを目的としている。

現代のネットワーク環境では、Wi-Fi 5(802.11ac)以降の高速無線LAN規格の登場により、無線部分の通信速度が有線LANの1Gbpsを上回ることが珍しくなくなった。高性能なWi-Fiアクセスポイントは、複数のクライアントが同時に接続した場合に、1Gbpsを超えるスループットを容易に達成する。このような状況において、アクセスポイントからネットワークスイッチへ接続するバックホール回線が1Gbpsではボトルネックとなり、無線LAN本来の性能を十分に引き出せない問題が生じていた。また、企業内での大規模なデータ転送、高解像度動画の編集、仮想化環境やストレージへのアクセスなど、ギガビットイーサネットでは処理しきれない用途が増加していた。

一方で、10ギガビットイーサネットへの全面的な移行は、費用と労力の両面で大きな負担となる。10Gbpsの速度を安定して100mまで伝送するには、主にカテゴリ6a以上の高性能なLANケーブルが必要となり、既存のケーブルを全て引き直すとなると莫大なコストがかかる。また、10Gbps対応のネットワークスイッチやNIC(ネットワークインターフェースカード)も、1Gbps対応製品に比べて高価である傾向があった。NBASE-Tは、このような背景から、既存のケーブル資産を活かしつつ、手頃なコストでネットワークの高速化を図るための実用的な解決策として登場した。NBASE-Tアライアンスという業界団体によって技術仕様が策定され、その後、IEEE 802.3bzとして国際標準化されたことで、異なるメーカーの機器間での相互運用性が保証されている。

NBASE-Tは、既存のカテゴリ5eケーブルで最大100mまでの2.5Gbps通信を、カテゴリ6ケーブルでは最大100mまでの5Gbps通信を実現する。もちろん、カテゴリ6aやそれ以上のケーブルを使えば、NBASE-Tの2.5Gbps/5Gbpsに加え、本来の10Gbps通信も可能となる。NBASE-T対応のネットワーク機器は、接続されたケーブルの種類や品質、そして対向の機器の能力に応じて、最も最適な速度を自動的に判別し設定する「オートネゴシエーション」機能を備えている。これにより、1Gbps、2.5Gbps、5Gbps、そして10Gbpsといった異なる速度の機器が混在する環境でも、互換性を保ちながら円滑に通信を行うことができる。例えば、NBASE-T対応のNICを搭載したワークステーションがNBASE-T対応のスイッチに接続され、ケーブルがカテゴリ5eであれば2.5Gbpsで、カテゴリ6であれば5Gbpsで通信が確立される。仮にケーブルがカテゴリ6a以上であれば、10Gbpsでの通信も選択肢に入る。もし対向の機器がNBASE-Tに非対応で1Gbpsのみをサポートしていれば、1Gbpsで通信が行われるため、下位互換性も確保される。

NBASE-Tの主な用途としては、前述の高速Wi-Fiアクセスポイントのバックホール回線が挙げられる。Wi-Fi 6(802.11ax)やWi-Fi 7(802.11be)といった最新の無線LAN規格では、単一のアクセスポイントで数Gbps以上のスループットを叩き出すことが可能であり、その性能を活かすためには有線側もNBASE-Tのようなマルチギガビット接続が不可欠となる。また、PoE(Power over Ethernet)との組み合わせも重要である。多くのWi-FiアクセスポイントはPoE給電に対応しており、NBASE-T対応のPoEスイッチと組み合わせることで、電源供給と高速データ通信を一本のLANケーブルで実現できるため、配線がシンプルになり、設置の自由度も高まる。この他にも、高速なストレージサーバーへの接続、動画編集用ワークステーション、高性能な開発環境のPCなど、データ転送量が多く、1Gbpsでは不足するが10Gbpsまでは必要ないという多くの場面で、NBASE-Tは費用対効果の高い選択肢として活用されている。既存のネットワークインフラを大きく変更することなく、段階的にネットワーク性能を向上させたい場合に、NBASE-Tは非常に有効な技術と言えるだろう。

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