PCI Express Mini Card(ピーシーアイエクスプレスミニカード)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
PCI Express Mini Card(ピーシーアイエクスプレスミニカード)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
PCI Express Mini Card (ピーシーアイ エクスプレス ミニ カード)
英語表記
PCI Express Mini Card (ピーシーアイ エクスプレス ミニ カード)
用語解説
PCI Express Mini Cardは、ノートパソコンや小型の組み込みシステムにおいて、機能拡張のために使用される小型の拡張カード規格である。この規格は、高速なシリアルインターフェースであるPCI Expressバスと、USB 2.0バスの両方をサポートしており、様々な周辺機器やモジュールをコンパクトなフォームファクタで接続できるように設計されている。主に無線LAN(Wi-Fi)モジュール、Bluetoothモジュール、モバイル通信(3G/LTE/5G)モデム、そして小型のソリッドステートドライブ(SSD)であるmSATA SSDなどに利用されてきた。その小型性と汎用性から、ノートPCの内部空間を有効活用し、ユーザーが手軽に機能を増設・交換できる手段を提供した点で重要な役割を果たした。
PCI Express Mini Cardは、その名称が示す通り、PCI Express(PCIe)バスの技術を基盤としている。PCI Expressは、従来のPCIバスやAGPバスといったパラレル通信方式とは異なり、高速なシリアルデータ転送を行う点が特徴である。各デバイスは「レーン」と呼ばれる専用のポイントツーポイント接続を持ち、このレーン数を増やすことで帯域幅をスケールアップできる。PCI Express Mini Cardでは、通常1レーン(x1)のPCI Express接続が利用され、これにより十分なデータ転送速度を確保しながら、消費電力を抑えている。さらに、PCI Express信号だけでなく、USB 2.0信号も同じコネクタピンを介して供給されるため、無線LANやBluetoothといったデバイスが柔軟に設計できる。これは、PCI Expressバスで制御ロジックを、USBバスでデータ転送を行うといったハイブリッドな利用形態を可能にする。
物理的なサイズに関して、PCI Express Mini Cardにはいくつかの種類がある。最も一般的なのは「Full-Mini Card」と呼ばれるもので、寸法は約50.95mm × 30mmである。これに対し、より小型の「Half-Mini Card」は、約26.8mm × 30mmの寸法を持ち、同じ幅で長さが約半分になっている。これらのカードは、通常、マザーボード上の専用スロットに挿入され、ネジで固定されることで物理的に安定する。
コネクタは52ピンのエッジコネクタを採用しており、カードのエッジ部分がマザーボード側のソケットに差し込まれる。このコネクタには、物理的な形状の違いにより「キーイング」と呼ばれる種類が存在する。例えば、mSATA SSDで使われることが多い「Mキー」や、無線LANモジュールで使われることが多い「A+Eキー」などがある。これらのキーイングは、特定のピン配置や用途を区別するために設けられており、誤った種類のカードが挿入されるのを防ぐ役割も持つ。ただし、物理的なキーは、カードとスロットの形状で決まるため、必ずしも電気的な互換性を示すものではない点に注意が必要である。
電源は、バスを通じて直接カードに供給されるため、外部からの追加電源は不要である。これにより、配線が簡素化され、小型システムでの取り扱いが容易になる。初期のノートPCでは、内蔵の無線LANカードとして広く採用され、IEEE 802.11a/b/g/nといった規格に対応したWi-Fiモジュールや、Bluetoothモジュールが標準的に搭載された。その後、3GやLTE、さらに最近では5Gといったモバイル通信に対応するモデムカードとしても利用されるようになった。また、SATAインターフェースをPCI Express Mini Cardフォームファクタに適用したmSATA (mini-SATA) SSDの登場により、小型ノートPCや一部の組み込み機器において、高速なストレージソリューションとしても普及した。mSATA SSDは、SATA信号をPCI Express Mini Cardのコネクタピンの一部に割り当てることで実現されており、PCI Expressバス自体は使用しない。
しかし、技術の進化とともに、PCI Express Mini Cardの後継となる規格も登場している。最も代表的なのが「M.2」規格である。M.2は、PCI Express Mini Cardよりもさらに小型化・高性能化を目指して設計され、より多くのPCI Expressレーンや、SATA、USB 3.0などの多様なインターフェースをサポートしている。これにより、M.2はNVMe SSDのようなさらに高速なストレージや、より高度な無線モジュールなど、幅広いデバイスに対応できるようになっている。そのため、新しいシステムではM.2スロットが主流となり、PCI Express Mini Cardの採用は徐々に減少傾向にある。しかし、既存のシステムや特定の産業用・組み込み用機器においては、その堅牢性や互換性、コストパフォーマンスの高さから、依然としてPCI Express Mini Cardが利用され続けている。システムエンジニアを目指す上では、過去から現在に至る小型拡張カードの歴史と進化を理解する上で重要な規格の一つである。