【ITニュース解説】APIs 101: What They Are and Why They Matter

2025年09月07日に「Dev.to」が公開したITニュース「APIs 101: What They Are and Why They Matter」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

APIはソフトウェア同士が情報をやり取りするための窓口となる仕組み。天気予報や決済などの外部機能を、自前で開発せず簡単に組み込めるため、開発の効率化に不可欠。再利用性の高さから、現代のアプリ開発の基盤技術となっている。

出典: APIs 101: What They Are and Why They Matter | Dev.to公開日:

ITニュース解説

システム開発に携わるなら、APIという言葉を耳にする機会は多いだろう。これは「Application Programming Interface」の略で、異なるソフトウェアやシステム同士が、互いに通信し、連携するための窓口や取り決めを指す。APIは、あたかも二つのシステムが会話するための言語やプロトコルのようなものであり、どのような情報をやり取りできるか、どのような要求が許されるか、どのような形式で応答が返ってくるか、といった具体的なルールを明確に定義している。この取り決めがあるからこそ、アプリケーションは孤立することなく、様々なサービスと連携し、より豊かで便利な機能を提供できるようになる。

現実世界では、APIは私たちの生活の至るところで利用されている。例えば、スマートフォンで天気予報アプリを使う際、そのアプリが独自に世界中の気象データを収集しているわけではない。代わりに、気象情報を提供する専門のサービスが公開しているAPIを利用し、必要な予報データを取得している。また、オンラインショッピングでクレジットカード以外の決済方法、例えばPayPalやStripeといったサービスを利用して支払いを行う場合も、ECサイトがそれらの決済サービスのAPIを呼び出すことで、安全かつスムーズな決済処理を実現している。さらに、新しいWebサービスに登録する際に「Googleでログイン」や「Facebookでログイン」といったオプションを目にするだろう。これも、あなたのアプリがGoogleやFacebookの認証APIと通信することで、あなたの情報を安全に認証し、手軽にログインを可能にしている事例だ。これらの例が示すように、APIは個々のアプリやサービスが自前で全てを構築するのではなく、外部の専門的な機能やデータを活用するための「架け橋」として機能している。

APIには様々な種類があり、その設計思想や用途によって使い分けられる。最も広く普及しているのは「REST API」と呼ばれる形式である。これはHTTP(インターネット上でWebページなどをやり取りする際に使われる通信規約)のメソッド、例えばデータの取得にはGET、新しいデータの作成にはPOST、既存データの更新にはPUT、データの削除にはDELETEといったものを用いて、システム間の通信を行う。シンプルで分かりやすいため、多くのWebサービスで採用されている。一方で、「GraphQL」はクライアントが必要とするデータを、その都度細かく指定して取得できるのが特徴だ。これにより、不要なデータをまとめて取得してしまう「オーバーフェッチング」を防ぎ、通信効率を高めることができる。また、「gRPC」はProtocol Buffersという仕組みと組み合わせることで、非常に高速なデータ通信を実現する高性能なAPIで、特に多数の小さなサービスが連携するマイクロサービスアーキテクチャのような環境でその真価を発揮する。どのAPIを選択するかは、プロジェクトの要件や目指す性能によって慎重に検討されるべき点だ。

開発者にとって、APIは非常に大きなメリットをもたらす。一つは「再利用性」である。APIを利用することで、開発者はすでに存在し、安定して機能している外部のサービスやコンポーネントを自身のプロジェクトに簡単に組み込むことができる。これにより、決済システムや認証機能、地図表示機能など、複雑な機能をゼロから開発する手間と時間を大幅に削減し、「車輪の再発明」を避けることが可能になる。次に「スケーラビリティ」の向上がある。APIを通じてシステムが連携することで、各コンポーネントが独立して動作し、互いに密接に結合することなく通信できる「疎結合」な構造が実現される。これにより、システムの一部に負荷がかかっても全体に影響を与えにくく、特定の機能だけを拡張したり、変更したりすることが容易になるため、システムの柔軟性や拡張性が高まる。さらに、APIは「イノベーション」を加速させる役割も担っている。例えば、金融機関が自社のデータやサービスを外部に公開する「オープンバンキングAPI」の登場は、フィンテックと呼ばれる新しい金融サービスを次々と生み出し、業界全体の活性化に貢献している。APIは、既存のサービスを組み合わせることで、これまでにない価値やビジネスモデルを創造する可能性を秘めているのだ。

システムエンジニアを目指す上で、APIの理解と活用能力は欠かせないスキルとなる。APIの学習を始めるには、まず公開されている簡単なAPIを選んで実際に触れてみることが最も効果的だ。例えば、「PokéAPI」のように、ポケモンに関するデータを取得できる無料のAPIは、初心者にとって良い練習台となる。具体的な手順としては、まず「curl」コマンドや「Postman」のようなAPIテストツール、あるいはWebブラウザのアドレスバーに直接URLを入力して、APIへのリクエストを送信してみる。例えば、「curl https://pokeapi.co/api/v2/pokemon/pikachu」と入力すれば、ピカチュウに関するデータが返ってくる。返ってくるデータは通常「JSON(JavaScript Object Notation)」という形式で、これは人間にも読みやすく、プログラムでも扱いやすいデータ形式だ。このJSON形式のレスポンスを解析し、自分のアプリケーションでどのように利用できるかを試行錯誤することで、APIの動作原理やデータの構造、活用方法を実践的に学ぶことができる。簡単なAPIから始めて、徐々に複雑なAPIへと挑戦していくことで、着実に理解を深められるだろう。

まとめると、APIは現代のソフトウェア開発において、異なるシステムやサービスを繋ぎ合わせる「接着剤」のような存在である。アプリケーションが単独で全ての機能を持つのではなく、外部の優れたサービスと連携し、その機能を自身のアプリに組み込むことを可能にする。サイドプロジェクトを開発する際、オンライン決済機能を実装する際、あるいはマイクロサービスアーキテクチャを構築する際など、どのような開発においてもAPIの知識は不可欠だ。APIを深く理解し、その活用方法を身につけることは、システムエンジニアとしての開発能力を飛躍的に向上させることにつながる。これからの開発で何か機能が必要になった時、「これをゼロから作るべきか、それとも既存のAPIで解決できないか」という視点を持つことが、効率的で高品質なソフトウェア開発への第一歩となるだろう。

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