【ITニュース解説】Why You Can’t Master Kubernetes Without Understanding Applications, Systems, and Microservices
2025年09月07日に「Dev.to」が公開したITニュース「Why You Can’t Master Kubernetes Without Understanding Applications, Systems, and Microservices」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
Kubernetesを本当に理解するには、アプリケーション、Linuxなどのシステム、マイクロサービスの基礎知識が不可欠だ。YAMLやコマンドだけでなく、これらの要素がKubernetesとどう繋がるかを段階的に学ぶことで、各機能の役割が明確になり、より効果的に習得できる。
ITニュース解説
Kubernetes(クーバネティス)は、今日のITインフラを支える中心的な技術の一つであり、多くの企業がその活用を進めている。しかし、いざ学習を始めると、大量の設定ファイル(YAMLファイル)やコマンド(kubectlコマンド)の羅列に直面し、その本質を理解するのが難しいと感じる人が少なくない。まるで、調理の基本を知らずに複雑なレシピに挑むようなものだ。Kubernetesを真に習得するには、その背景にある「アプリケーションエンジニアリング」「システムエンジニアリング」「マイクロサービスアーキテクチャ」という三つの分野の基礎知識が不可欠となる。これらの分野がなぜ重要なのか、そしてKubernetesとどのように結びついているのかを解説する。
まず「アプリケーションエンジニアリング」は、Kubernetesが実際に動かす「アプリケーション」そのものを理解することだ。アプリケーションの特性によって、Kubernetesでの動かし方が大きく変わる。例えば、ユーザーからのリクエストごとに独立して動作し、過去の状態を保持しない「ステートレス」なアプリケーション(ウェブサイトのフロントエンドなど)は、同じものを複数用意すれば簡単に規模を拡大できる。Kubernetesでは、このようなアプリケーションを「Deployment(デプロイメント)」という機能で管理し、複数のコピーを安定して動かすことができる。一方、顧客情報や取引履歴のように、データを永続的に保存し、その状態が変化すると困る「ステートフル」なアプリケーション(データベースなど)は、個々のデータが失われないよう、安定した保存場所が必要だ。この場合、Kubernetesでは「StatefulSet(ステートフルセット)」という機能と、「PersistentVolumeClaim(PVC:パーシステントボリュームクレーム)」という永続ストレージを要求する仕組みを組み合わせて使う。これにより、アプリケーションが再起動してもデータが失われず、安定した運用が可能になる。さらに、アプリケーションが必要とする設定情報やAPIキーといった秘密の情報を扱う「ConfigMap(コンフィグマップ)」や「Secret(シークレット)」、そしてアプリケーションが正常に動作しているか監視する「プローブ(Liveness Probe、Readiness Probe)」といった概念も、アプリケーションの健全な運用に欠かせない要素だ。アプリケーションの性質を理解することが、Kubernetesの機能を適切に選択し、設計する上で最初の鍵となる。
次に「システムエンジニアリング」は、Kubernetesが動作する基盤であるLinuxやネットワークの知識を指す。KubernetesはLinuxサーバー上で動き、アプリケーションの最小単位である「Pod(ポッド)」は、コンテナという技術で隔離された環境で動作するが、その実体はLinux上で動作するプロセスだ。コンテナが互いに干渉せずに独立して動けるのは、Linuxの「名前空間(namespaces)」によるリソースの隔離や、「cgroups(コントロールグループ)」によるCPU・メモリの利用制限といった技術に基づいている。これらの基本的なOSの仕組みを理解していなければ、コンテナの挙動が理解しにくい。また、アプリケーション同士が通信するための「ネットワークの基礎」も重要だ。IPアドレス、DNS(ドメインネームシステム)、ロードバランシングといった概念は、Kubernetesのネットワーク設計の中核をなす。Podは再起動するとIPアドレスが変わる可能性があるため、Kubernetesは「Service(サービス)」という機能を提供し、アプリケーションが安定した名前や仮想IPアドレスで互いに通信できるようにする。Serviceは、複数のPodにリクエストを分散するロードバランシングの役割も担い、システムの可用性を高める。このServiceの仕組みを理解することで、なぜアプリケーションが特定の名前で他のサービスに接続できるのか、その理由が明確になるだろう。また、永続ストレージの仕組みを理解するには、Linuxのファイルシステムやボリューム、マウントの知識が不可欠であり、CPUやメモリといったリソースの管理方法は、KubernetesがPodをどのサーバーに配置するか(スケジューリング)を決定する際の重要な要素となる。
そして「マイクロサービスアーキテクチャ」は、Kubernetesがその真価を発揮するために設計されたシステム設計思想だ。マイクロサービスとは、一つの大きなアプリケーションを、機能ごとに独立した小さなサービスに分割し、それぞれがAPIを通じて通信し合う構成を指す。例えば、ECサイトの「ユーザー管理」「商品カタログ」「注文処理」といった機能をそれぞれ独立したサービスとして構築する。このアプローチにより、各サービスを個別に開発、デプロイ、そして必要に応じて個別にスケーリングできるメリットがある。しかし、多数の独立したサービスが連携する中で、「サービスディスカバリ」(サービスが互いをどう見つけるか)、「スケーリング」(サービスを効率的に増減させる方法)、「トラフィックルーティング」(外部からのリクエストを適切に振り分ける方法)といった課題が生じる。Kubernetesはこれらの課題を解決するために設計されている。KubernetesのService機能は、サービスディスカバリを担い、変動するPodのIPアドレスを抽象化して、アプリケーションが名前で互いにアクセスできるようにする。スケーリングにはDeploymentと「Horizontal Pod Autoscaler(HPA:ホリゾンタルポッドオートスケーラー)」が使われ、CPU使用率などに基づいてPodの数を自動的に調整する。外部からのアクセスをルーティングするには「Ingress(イングレス)」が機能し、HTTP/HTTPSリクエストを適切なサービスに振り分ける。これらのKubernetesの機能は、マイクロサービスアーキテクチャの課題を効率的に解決するために存在している。
これらの三つの分野の知識は、Kubernetesの各機能がどのような問題に対応し、どのように動作するのかを理解する上で不可欠だ。Kubernetesの学習は、いきなりYAMLファイルやコマンドから入るのではなく、段階的に知識を積み重ねていくことが推奨される。まずLinuxとネットワークの基礎を学び、次にDockerなどのコンテナ技術で簡単なアプリケーションを動かしてみる。その上でマイクロサービスの基本的な考え方を理解し、最後にKubernetesのコア機能(Pod、Deployment、Service、Ingressなど)へと進むのが良い。そして、Nginxのようなウェブサーバーを実際にデプロイし、Serviceで公開し、Deploymentでスケーリングし、データベースをStatefulSetと永続ストレージで追加するといった実践的な演習を通して、各Kubernetesオブジェクトが現実の問題に対する解決策であることを体感することが重要だ。
結論として、Kubernetesの本質は、YAMLファイルを暗記することではなく、「アプリケーション」(何を実行するのか)、「システム」(どこで実行するのか)、そして「マイクロサービス」(それらがどのように連携し合うのか)という三つの基盤知識を連携させて理解することにある。これらの知識を統合することで、Kubernetesは単なる複雑なツールではなく、現代のシステムを効率的かつ堅牢に運用するための強力な味方となるだろう。